1. 2015年10月06日 21:39:29
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ロシアのシリア反政府勢力空爆は意図的−米当局米国はロシア軍によるシリア反政府勢力への攻撃を意図的な行動だと結論付けた。写真はロシア国防省のウェブサイトに掲載されたシリア空爆の様子 PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES By ADAM ENTOUS 2015 年 10 月 6 日 18:03 JST ロシアはここ数日、一連の空爆で米中央情報局(CIA)の支援を受けたシリアの反政府勢力を標的にしてきたが、米国はこれをロシア政府による意図的な行動だと結論付けたという。複数の米当局者が語った。 この結論は米軍の指揮官らに共有され、ロシア政府に対する米国の怒りを増幅させた。また、米政権内ではオバマ大統領が望んでいない代理戦争に深入りすることなく、現地の代理勢力をどう支援できるかという議論が過熱してきた。CIAが支援する反政府勢力を助けることについて、ホワイトハウスは現時点で明確な態度を表明していない。紛争拡大の引き金となりかねない一歩を踏み出すのに二の足を踏んでいるのだ。 米当局者は、同国が支援する反政府勢力をロシアが標的にするのは、オバマ大統領のシリア政策に対する直接的な挑戦だと述べた。不信感をあらわにした米国防総省は、反政府勢力が配置されている領域についてロシア政府と情報を共有しないことを決めた。ロシア軍がその情報を利用してより直接的に反政府勢力を攻撃したり、シリアのアサド政権に情報を提供したりする可能性が疑われるためだ。 米政府の幹部は反政府勢力の本部をロシアが空爆したことについて、「最初の日だけなら偶発的なミスと言えるかもしれない」とした上で、「3日も4日も続けば、意図的なことに疑問の余地はなくなる。彼ら(ロシア軍)は攻撃対象を把握しているのだ」と述べた。 米当局者らは今や、ロシアが先月30日の空爆開始以降、アサド大統領にとって最も直接的な脅威である反政府勢力を直接標的にしていることを確信しているという。ロシアの狙いはアサド政権の基盤建て直しだけでなく、オバマ政権にメッセージを送ることでもあると米国側はみている。 ロシア当局者は先週、過激派組織「イスラム国(IS)」などテロリスト集団と戦うためにシリア空爆を開始したと述べた。ここでは、シリア政府があらゆる敵対者を指すときに使う言葉が引用されていた。米情報当局者はロシアによる空爆について、IS掃討というよりもアサド政権を支援し、政府の支配領域で反政府勢力が拡大するのを防ぐことに主眼があると見ている。 プーチン大統領を含むロシア政府の幹部らは、今回の軍事作戦が空爆に限定されると述べてきた。一方、インターファクス通信によると、ロシア下院国防委員長を務めるウラジーミル・コモエドフ提督は、ロシアの「志願兵」がウクライナで分離派を支持した時と同様に、シリアにも現れる可能性を否定できないと述べた。 CIAが支援する勢力の一部が攻撃された後、米当局者らはロシアが米国によって訓練された戦闘員を意図的に狙ったのか、それともアサド政権に抵抗する数多くのグループを無差別に狙ったのか判断できなかった。ただ、空爆2日目までに、米当局者らはロシアがシリア西部の広範囲にわたりCIAの支援するグループを狙っていたとの結論を下したという。 関連記事 【特集】シリア・イラク情勢 ロシアのシリア戦略、知っておきたい5つのこと ロシア軍機がトルコ領空を侵犯 米・NATOは強く懸念 シリア反政府勢力の構築、甘くみた米国防総省 アラブ諸国とロシアの愛憎相半ばする関係
アラブ諸国はこの数年、ロシア政府とは愛憎相半ばする関係にある。写真は国連の潘基文事務総長主催の昼食会に出席したロシアのプーチン大統領(9月28日) PHOTO: ZUMA PRESS By JAY SOLOMON 2015 年 10 月 6 日 18:26 JST 【ニューヨーク】アラブ諸国の外交官らは先週、ロシアのラブロフ外相と相次いで非公式に会談した。会談に詳しい当局者が明らかにした。 だがラブロフ外相は、シリアのアサド政権を支援するロシア政府の作戦を縮小する意向は示さなかったという。 このときロシアと会談した国を含むアラブ諸国はこの数年、ロシア政府とは愛憎相半ばする関係にある。 特にサウジアラビアとカタールは、2011年にシリアで内戦が発生して以来、アサド大統領への支援をやめるようロシアのプーチン大統領に圧力をかけている。この2国はシリア政府が内戦で数万人の市民を犠牲にしたと非難している。さらにアサド政権と同じシーア派のイランが、アラブ世界での影響力を強化するためシリアの内戦を利用していると懸念している。 こうした懸念をよそに、最近、プーチン大統領に好意的になった国々もある。エジプトはロシアから数十億ドル規模の武器を購入するため交渉を重ねてきた。ヨルダンとサウジは共同でロシア政府と民生用原発の開発について協議している。 アラブ諸国の当局者は、アラブのこうしたロシア接近は、米国やオバマ政権との関係緊迫化も一因になっていると述べる。 米国と湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国は、米政府が7月にイランと核開発問題で合意に達したことで関係が悪化した。この合意は、イランが核開発を抑制することと引き換えに対イランの経済制裁を解除するもの。 GCC加盟国の一部は、エジプトのシシ大統領への米政府の生ぬるい姿勢についても批判している。シシ政権は2014年の軍事クーデター後に誕生した。 それでも先週、シリアの反体制派に対するロシアの空爆開始は多くのアラブ政府から厳しい批判を浴びた。 この会談に詳しい当局者によると、GCCの閣僚らはロシアのラブロフ外相に対して、空爆はシリアの内戦終結に向けた外交的解決を一層困難にする公算が大きいと伝えた。 さらにGCC閣僚は、ロシアの介入によりイスラム国(IS)やアルカイダなどスンニ派の過激派組織の立場が強化される可能性があると主張した。スンニ派の過激派組織が自らを、ロシア、アサド政権、イラン政府が組織するシーア派武装集団の同盟と対決してシリアのスンニ派を守ろうとしていると主張し支持を集める可能性があるからだ。 だが、そうしたアラブ各国の批判を、ラブロフ外相は黙って聞くばかりだったという。 関連記事 オバマ米大統領、ロシアのシリア空爆を批判 ロシアのシリア空爆、イスラム国の立場を強化
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