22. 2015年10月07日 21:23:05
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2015.10.1 00:13 【シリア情勢】 ロシアが「イスラム国」を初空爆 武器倉庫などが標的と露国防相 http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010003-n1.html 【モスクワ=黒川信雄】ロシア上院は30日、プーチン大統領の要請に基づいて露軍の海外派遣を承認するか否かを審議し、全会一致で承認した。インタファクス通信によると、露国防省高官は30日、シリア領内のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」を標的とした空爆を開始したことを明らかにした。アサド政権維持を狙うロシアが空爆に踏み切ったことで、シリア情勢がさらに複雑化することは確実な情勢だ。 ロイター通信は米政府高官の話として、空爆開始に先立ち米側に通告があったと述べた。空爆の規模は明かさなかったという。 ロシアのイワノフ大統領府長官は記者団に、「イスラム国」への空爆を実施すると表明。タス通信によると、ショイグ露国防相は、「イスラム国」の施設や武器倉庫が攻撃目標になることを明らかにした。 ロシア憲法は、海外派兵には上院の承認が必要だと規定している。イワノフ氏は、ロシアの軍事介入の目的は、シリア政府軍の戦闘を「空から支援」することだと表明し、地上軍の展開については否定した。 また、米国主導の有志連合がシリア反体制派支援のために行っている空爆は、国連安全保障理事会の決議や当該国の要請を受けておらず、国際法違反だと主張。「シリアのアサド大統領から軍事支援を求められている」と述べ、軍派遣は正当だと強調した。 プーチン露大統領は9月28日、国連総会の一般討論演説で、米国主導の空爆が成果を挙げていないと批判していた。 露、強引に欧米抱き込み シリア空爆 アサド政権と「大連合」 2015年10月1日
ロシアがイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への攻撃を名目として、シリアでの空爆に踏み切った。アサド政権の存続をめぐって米国との対立を抱えたままの空爆開始には、イスラム国打倒という共通点をもって「大連合」を組むという自国の主張に、欧米諸国を強引に引き寄せる狙いがありそうだ。 「国際法違反だ」。2015年9月30日、オバマ米大統領との首脳会談を終えたプーチン大統領は、米国が主導する有志連合の空爆を強く批判した。アサド政権を含む対テロでの「大連合」構想を提唱したプーチン氏と、オバマ氏の思惑の違いが際立った瞬間だった。 その後のプーチン政権は素早い動きを見せた。ロシア上院が2015年9月30日、軍の海外派遣を承認した数時間後、米メディアが空爆開始を報道した。空爆は米国に対し、アサド政権を温存する目的を譲らない姿勢を明確に示したといえる。 ロシアのイワノフ大統領府長官は、今回の軍事介入は空爆に限定する方針を言明した。国民の間でも中東への軍事介入の必要性に懐疑的な見方もあるなか、批判を最小限にとどめる狙いがあったとみられる。 ただ、ロシアの思惑通りに欧米諸国が歩み寄るかどうかは不透明だ。米政府は、アサド政権の退陣を確実にする政権移行を「譲れない一線」と位置付けている。ロシアの空爆の規模や期間も不明で、対立が解消されるとは考えにくい。 2015.10.2 05:03 【主張】 露のシリア空爆 国際連携なき介入やめよ http://www.sankei.com/world/news/151002/wor1510020013-n1.html
ロシアのプーチン政権がシリア内戦に単独で介入し、空爆を始めた。シリアなどで勢力を広げる過激組織「イスラム国」の掃討作戦だという。 テロと過激思想を拡散するイスラム国は、国際社会にとって共通の深刻な脅威である。 だからこそ、米欧や中東の周辺国からなる有志連合は、昨年来、空爆作戦を続けてきた。 ロシアは自らの空爆について、内戦の一方の当事者であるアサド政権の要請だとしている。だが、単独介入は国際連携を乱し、有志連合の掃討作戦を混乱させかねないと言わざるを得ない。 米露間で偶発的な衝突が起きる可能性も否定しきれない。ロシアは空爆を中止し、米側との間で政府、軍同士の協議を急ぎ、そうした事態を回避すべきだ。 なぜ、ロシアはここにきて動いたのか。 米国はさっそく、ロシアの最初の空爆対象がイスラム国ではなく、他の反政府組織だったと厳しく非難した。ロシアのいう「イスラム国掃討」を言葉通りには受け取れないということだろう。 混乱に乗じ、中東での影響力拡大を狙う介入ではないか。米欧が強い不信感を抱くのも当然といえよう。 ロシアがウクライナのクリミア半島を一方的に併合し、米欧の要求を突っぱね、同国東部のロシア系武装組織への軍事支援を続けていることを忘れてはならない。 シリアの人道危機は、20万人以上の死者と大量の難民を出している。死者の圧倒的多数は政権側の攻撃によるものとされ、アサド政権の正当性は失われている。 ただ、内戦終結にはアサド政権の排除が必要と考えるオバマ大統領と、同政権の存続が必要だとしているプーチン大統領との対立は続いたままだ。 反政府勢力の大勢をイスラム過激派が占める現状で、いま直ちにアサド政権が崩壊すれば、シリア全土が過激派の手に落ちる。それは、流血と混乱の永続化につながるとの見方も少なくない。 そのような難しい状況だけに、関係国が十分協議して事態打開に向かうことが求められている。 先の米露首脳会談は平行線のまま終わり、米国はロシアの単独行動を止められなかった。オバマ大統領は話し合いを続け、指導力を発揮すべきだ。 2015.10.1 09:07 【シリア情勢】 米、ロシア空爆の標的は「イスラム国」ではなく反体制派と非難 http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010014-n1.html 【ワシントン=青木伸行】ロシアがシリアで空爆を開始したことを受け、カーター米国防長官は9月30日、国防総省で緊急記者会見を開き、空爆の標的はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」ではなく、アサド政権と敵対し米国が支援する反体制派であるとの見方を示し、強く非難した。 ロシアはイスラム国を空爆したと主張しているが、カーター氏は「実際には、イスラム国がおらず他の勢力がいた地域を攻撃した恐れがある」と述べた。そのうえで「アサド政権と敵対する勢力への攻撃は無分別、逆効果、非生産的であり、失敗する運命にある」と厳しく非難した。 国連総会が開かれているニューヨークでは、ケリー国務長官がロシアのラブロフ外相と会談し、「イスラム国以外への空爆には重大な懸念がある」と伝えた。 双方は、有志連合国、ロシア両軍の偶発的な衝突を回避する措置を検討するため、米露国防当局者の協議を緊急開催することでは合意した。ケリー氏は会談後、1日にも開かれるとの見通しを示した。 一方、国務省のカービー報道官によると、ロシアはイラクの首都バグダッドにある米国大使館を通じ、「イスラム国に対する空爆作戦の開始」を米側に事前通告した。また、米軍機などがシリア領空の飛行を避けるよう求めてきた。 同氏はしかし、「米軍主導の有志連合はイラクやシリアでの飛行を予定通り継続する」と強調している。 露シリア空爆、反体制派攻撃か…米が批判強める 2015年10月01日 12時38分Tweet http://www.yomiuri.co.jp/world/20151001-OYT1T50031.html?from=ytop_ylist 【モスクワ=田村雄、ベイルート=久保健一】ロシア国防省は9月30日、シリア国内にあるイスラム過激派組織「イスラム国」の拠点8か所を空爆したと発表した。 これに対し、米国のカーター国防長官は同日、空爆が行われたのは「『イスラム国』がいる場所ではない」などと指摘。米側は、ロシアがアサド政権を支援するため、政権と対立する反体制派を攻撃したとみて批判を強めている。 シリア国内では米軍主導の有志連合による空爆が現在も続いている。このため、米露双方の偶発的な衝突を回避するため、1日にも軍当局間で対話を行うという。 今回の空爆地点についてロシアは公表していないが、シリア国営通信によるとラスタン、サラミーヤなど同国中部の7都市。ロシア国防省は「イスラム国」の武器庫、通信拠点などを攻撃したと主張している。作戦ではラタキア近郊のフメイミーム飛行場に配備中の露軍機が約20回出撃したといい、同省は空爆の様子を撮影した映像も公開した。 米 ロシアは反政府勢力を無差別に空爆 10月2日 7時31分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151002/k10010255961000.html 内戦が続くシリアでロシアが過激派組織IS=イスラミックステートを狙って実施したとしている空爆について、アメリカ政府は、実際にはISではなくアサド政権に抵抗している反政府勢力に対して無差別に行われているとして批判を強めています。 ホワイトハウスのアーネスト報道官は1日の記者会見で、ロシアが内戦が続くシリアでISを狙って実施したとしている空爆について、実際にはISが活動していない地域で行われたという見方を示しました。そして、「ロシアは、シリアの反政府勢力に対して無差別に空爆を行っている。内戦を長引かせるだけで、世界が懸念しており、ロシアのさらなる孤立を招いている」と述べ、強く批判しました。 一方、アメリカとロシアの国防当局者は1日、シリアで空爆を行うアメリカ軍とロシア軍が偶発的に衝突するのを避けるためテレビ電話を通じて対応策を協議しました。具体的な対応策など詳しい協議の中身は分かっていませんが、この中でアメリカ側は「ロシアが空爆した地域はISの支配地域ではない」と指摘して懸念を伝えたということで、空爆を巡る両国の対立が激しくなっています。 米露首脳会談 シリア内戦収拾へ妥協を探れ 2015年10月01日 03時04分 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150930-OYT1T50154.html 22万人以上の死者と大量の難民を生み出したシリア内戦の収拾に向け、米国とロシアは妥協点を探らねばならない。 オバマ米大統領は、国連総会出席を機に、プーチン露大統領と約2年ぶりに会談した。シリア情勢について、「アサド政権が続く限り、シリアの安定はあり得ない」と強調し、アサド大統領の退陣を求める考えを示した。 プーチン氏は、シリアやイラクに勢力を拡大する「イスラム国」など「過激派組織に対する防壁だ」と、逆に政権支援を明言した。 ウクライナ情勢などを巡って対立する米露首脳は、「イスラム国」の早期掃討が重要だとの認識では一致している。しかし、アサド政権を関与させることの是非に関して、溝は埋まらなかった。 アサド政権軍と複数の反体制派組織が入り乱れる内戦は、4年を超えた。力の空白は、「イスラム国」など過激派伸長を招く要因となっている。アサド政権軍は劣勢に立たされ、支配地域も西部など国土の約4分の1に縮小した。 テロの脅威を拡散するシリアへの対処は急務である。 プーチン氏は会談後、記者団に、「イスラム国」の弱体化を狙った米仏などの空爆は、シリアの要請がなく「不法だ」と非難した。 ロシアは、アサド政権支援のため、空爆を始めた。シリアに航空基地を整備し、戦闘機や戦車を配備していた。顧問団を派遣し、アサド政権に近いイラン、イラクと作戦情報も交換する。 ロシアは、米主導の「有志連合」にシリアとイランを加えた「反テロ連合」構築を名目に、アサド政権を温存しようとしている。 政権の数々の残虐行為を顧みず、露軍が政権永続化を掲げて介入すれば、内戦は、かえって激化しかねない。米仏との偶発的な衝突が起きる事態も懸念される。 オバマ氏が強く反発したのは当然だろう。アサド政権が正統性を欠くことは、論を待たない。 「イスラム国」とアサド政権の打倒を目指す米国は、シリアの穏健反体制派に軍事訓練を行ってきたが、成果は見られない。オバマ氏の戦略は行き詰まっている。 米国も、「アサド退陣」を訴えるだけでは、問題は解決しない。大量の難民流入に直面する欧州では、アサド大統領との交渉もやむなしとの声が出始めた。 「イスラム国」の勢力拡大を抑えつつ、新体制への移行を見据えた外交を進める。困難な道のりだが、米露両大国が足並みをそろえなくては、事態は改善しまい。 露 シリアで空爆 アサド政権支援 米と衝突懸念も 2015年10月1日
ロシア軍は2015年9月30日、シリアでイスラム過激派組織「イスラム国」と戦うアサド政権を支援するため、空爆を開始した。プーチン大統領は同日、アサド政権からの要請を受けてシリアへの軍事介入を決断し、上院が全会一致で承認した。20万人以上の死者を出し、多くの難民を出したシリア情勢は、ロシアの軍事介入で新たな局面を迎えた。 インターファックス通信によると、プーチン大統領は2015年9月30日、政府幹部との会議で「アサド大統領から軍事支援の要請を受け、国際法に基づき対テロ作戦を行う」と宣言した。作戦は空爆に限定し、地上戦は行わないと明言した。 ロシア国防省の幹部も2015年9月30日、「シリア領内のテロリストの拠点を正確に攻撃する航行作戦に着手した」と述べた。米CNNテレビは、シリア中部ホムスが空爆されたと伝えた。空爆地点は「イスラム国」の主要な支配地ではないため、アサド政権と戦う反体制派を狙っていたのではないかという見方も浮上している。ロシアは北西部ラタキア近郊で軍用飛行場を改修し、戦闘機を配備するなど空爆への準備を進めていた。 シリアでは、米国が2014年9月以降、「イスラム国」への空爆を行っている。ロシアが単独で軍事介入すれば、米露が偶発的に衝突する危険も排除できない。 ロシアは「イスラム国」の勢力拡大を防ぐため、国際社会にアサド政権を含む幅広い「反テロ連合」の結成を提唱。プーチン大統領は2015年9月28日、オバマ米大統領とニューヨークで会談し共闘を提案した。しかしオバマ氏はアサド政権の退陣を主張し、ロシアの提案を拒否。これを受けてプーチン氏は、独自空爆を決断した模様だ。 米国はシリア反体制派を支援する。米国を中心とする「有志連合」の「イスラム国」空爆は、1年たっても大きな成果をあげられずにいる。ロシアは「有志連合」の空爆について、国連安保理の決議もアサド政権からの要請もないとして「不法」と非難してきた。 「イスラム国」はロシアと米欧の共通の敵だが、アサド政権の存続を巡る根本的な対立が解消していない。思惑の異なる米露が並行して軍事介入すればシリア情勢は一層、複雑化しそうだ。 米国防総省 強い警戒感 米国防総省当局者は2015年9月30日、ロシア軍によるシリア空爆について、「『イスラム国』掃討の取り組みで建設的な役割を果たすなら歓迎するが、ロシアの今日の措置からは、そうした役割を果たすようにはほとんど見えない」と述べ、強い警戒感を示した。その上で、米軍主導の有志連合による掃討作戦には「変更はない」と述べた。 同当局者によると、ロシア側はバグダッドの在イラク米大使館に2015年9月30日朝、シリア上空で対「イスラム国」作戦を実施すると通告。その間、米軍機がシリア上空を飛行しないよう要請した。米メディアによると、通告は空爆開始のわずか1時間前だったという。 カーター米国防長官は2015年9月29日、ロシア軍による空爆開始に備え、米露両軍間の不測の衝突を回避するため、ロシアとの軍事対話の準備を進めるよう同省職員に指示。ロシア政府に@有志連合による作戦を妨害しないA米軍と連携するシリア反体制派を攻撃しないーことを要求し続ける構えだ。 露、連日のシリア空爆…「反体制派を攻撃」と米 2015年10月02日 00時55分 http://www.yomiuri.co.jp/world/20151001-OYT1T50104.html 【モスクワ=田村雄、ワシントン=今井隆】シリア国内で空爆作戦を始めたロシア軍は1日も作戦を続行し、シリア国営通信によると、新たに北部イドリブなどの拠点を攻撃した。 ロシア国防省の発表では、攻撃したのはイスラム過激派組織「イスラム国」の4拠点。前日の作戦開始以来、空爆したのは12か所に上っており、ロシアは今後も空爆を続ける構えだ。 同省報道担当者によると、ロシア軍はシリア国内に攻撃機、爆撃機を含む50機以上の軍用機、ヘリコプターを配備。インターファクス通信によると、空爆作戦を継続するため、軍用機の燃料供給を担う大型油槽船4隻を新たに投入する方針だという。 一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は9月30日、米中央情報局(CIA)が非公式に支援をしているシリア反体制派部隊の支配地域が空爆されたと報じた。カーター米国防長官は同日の記者会見で「『イスラム国』ではなく、他の組織がいる場所を攻撃したようだ」と語り、反体制派が攻撃を受けたとの見方を示した。 これに対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は、攻撃対象は「シリアと調整して特定している」として、反体制派を狙い撃ちにした空爆ではないと主張した。 露介入 シリア混迷 空爆 アサド政権支援 2015年10月2日
シリアに展開中のロシア軍が空爆に踏み切ったことで大きな波紋が広がっている。ロシアは、イスラム過激派組織「イスラム国」と対立するアサド政権の支援が目的だとしているが、米国は同政権と対立する反体制派を掃討する狙いもあると激しく非難しており、両国の対立はいっそう先鋭化している。 ■空爆地点 ロシア国防省のコナシェンコフ少将は、今回の空爆で「武器庫などを攻撃し、山岳地帯にあった『イスラム国』の戦闘指揮所も破壊した」と説明した。しかし、米政策研究機関「戦争研究所」によると、空爆の対象となったのは中部の都市ホムス周辺の幹線道路沿いや、ラタキア周辺などで、いずれもアサド政権と反体制派との戦闘が続く要衝。今回、ロシア軍が拠点を破壊したと主張する「イスラム国」とは関係の薄い場所ばかりだ。 4年以上続くシリア内戦で、アサド政権は「イスラム国」のほか、穏健な反体制派武装組織「自由シリア軍」、アル・カーイダ系の過激派組織などとの間で混戦が続いてきた。アサド政権は2015年春以降、兵員不足で劣勢に立たされており、今回のロシア軍による空爆は、政権を支えるためにロシアがなりふり構わず強行したとの見方が強い。 「ロシアとは長い付き合いだが、こんな振る舞いはプロらしくないことだ」。核戦略の専門家で冷戦時代からロシアと渡り合ってきたカーター米国防長官は2015年9月30日、ロシア軍の突然の空爆開始に戸惑いを隠せない様子で語った。 ■アフガン侵攻以来 ロシアが旧ソ連地域の外で軍事介入を行うのは、ソ連時代の1979年に行ったアフガニスタン侵攻以来だ。戦争は泥沼化し、約1万5000人が死亡。ソ連軍は1989年に撤退を余儀なくされたことは、国民の間には今も苦い記憶として残っている。 それでも、プーチン政権が軍事介入に踏み切ったのは、シリアの存続がロシアの国益に直結するからだ。2011年以降、中東地域に広がった民主化運動「アラブの春」では、ロシアが良好な関係を保っていたリビアのカダフィ政権が崩壊。アサド政権は、中東地域で親ロシアの「孤塁」だ。 シリアはソ連時代からの友好国で、北西部タルトゥスにはロシア海軍の補給拠点もある。アサド政権が崩壊すればロシアは中東の拠点を失うだけでなく、プーチン政権は政治的にも外交的にも大きな痛手を負う。 ■泥沼化懸念 今回の軍事介入の背景には、ロシア国内の「愛国主義」の高まりもある。ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を編入し、米欧との関係は冷戦後では最悪の状態になった。しかし、プーチン政権はその後も米欧に強気の姿勢を崩さなかったことでかえって国民の人気が高まり、シリア情勢を巡っても米国への対抗姿勢を強める結果となった。 カイロ大のヒバ・ファラーグ教授(国際政治)は「ロシアには強気の計算がある」と解析する。米主導による「有志連合」の空爆は「イスラム国」の勢力拡大を食い止めることができず、難民の問題も解決策は見いだせていない。シリア問題で欧米諸国が手詰まりの状態にあるとみており、「ロシアは今後、さらにシリアでの軍事介入を加速していくだろう」と予測する。 ただ、ロシアにも明確な「出口戦略」があるとは言えない。ファラーグ教授は「シリア情勢は今後、さらに泥沼化することになりかねない」と語った。 米、想定外の事態 ロシア軍によるシリア空爆は、米国にとっては想定外だった。空爆の2日前、ニューヨークの国連本部でオバマ米大統領がロシアのプーチン大統領に対し、「アサド政権が存続する限り、シリアに安定は訪れない」と軍事介入を再考するよう迫ったばかりだったからだ。 米国がシリアで描いているのは、イスラム過激派「イスラム国」を数年がかりで排除し、アサド政権を退陣させて民主政権を樹立するという遠大な構想だ。米主導の「有志連合」による空爆は「イスラム国」を押しとどめる狙いがあり、オバマ米大統領自身、シリアの安定化には「長い時間がかかる」と繰り返していた。 ロシアは地中海沿岸のラタキアに迎撃用戦闘機も展開しており、シリア上空で作戦行動を行う「有志連合」の戦闘機を牽制する狙いとの見方もある。今回の空爆では中央情報局(CIA)の支援を受けた反体制派勢力も標的にされた可能性が高く、米国にとっては大きな誤算だ。ロシアの支援でアサド政権が勢力を維持するようなことがあれば、米国の戦略は根本から見直しを迫られることになる。 2014年のウクライナ南部クリミア併合以来、米国は経済制裁をテコに、国際包囲網を構築するなどで対露圧力を強めてきた。しかし、プーチン政権は強硬策を続けており、抑止効果がなかったということになりかねない。 2015.10.7 20:51 アサド政権軍が反体制派へ大規模攻撃 シリア、ロシアは空爆支援 http://www.sankei.com/world/news/151007/wor1510070049-n1.html ロシアの空爆で破壊されたとみられるシリア北西部イドリブの訓練キャンプ=1日(ゲッティ=共同) http://www.sankei.com/world/photos/151007/wor1510070049-p1.html シリア人権監視団(英国)によると、内戦が続くシリアで7日、アサド政権側の地上部隊が反体制派に対し、大規模攻撃を実施した。ロシア軍が空爆で支援した。フランス公共ラジオは監視団の話として、9月末のロシアによる空爆開始以降、陸空の同時攻撃は初めてと伝えた。 ロシア軍機は中部ハマ県で少なくとも4カ所、北西部イドリブ県で3カ所を攻撃。これまでよりも規模が大きかったといい、反体制派の軍用車両や軍事拠点を破壊したもようだ。 AP通信によると、アサド政権側の地上部隊は前線4カ所で砲撃を開始。隣国レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラもアサド政権側に参戦し、反体制派と衝突した。 ロシアは過激派組織「イスラム国」や国際テロ組織アルカイダ系「ヌスラ戦線」を攻撃目標にしていると説明しているが、空爆では少なくとも数回、欧米諸国が支援する反体制派も攻撃したとみられる。(共同) |