http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/864.html
Tweet |
[2016針路を聞く](2)米中の争い 抑える役に 元首相 福田康夫
――来年は主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の議長国です。
「中東やウクライナ情勢が動いているにもかかわらず、距離が離れている日本はどうも感覚が鈍い。議長国として、解決の中心的な役割を果たさなければならない。来年は国連安全保障理事会の非常任理事国にもなる。世界秩序をどう組み立てるのかといった議論がもっと必要になる」
中ロと対話を
――G7に入っていない中国、ロシアをどうひきつけ、協力を得るかも手腕を問われます。
「中ロがいない主要国の会議は、ワサビのないすしのようなものだ。世界を二分する印象を与えるサミットでは良くない。環境や人口問題などを先進国だけで解決できますか。中ロとも一緒に、地球の課題に取り組まなければならないのは、自明なことだ」
――対話相手として中ロも呼ぶべきだ、と。
「できたら呼んだほうがいい。ただ中国が何でも反対するというイメージがあるなら、そういう話にはなりにくい。中国はいずれは自由主義経済に溶け込んでいくでしょう。そうでなければ、どうやって経済連携を進めるんですか。中国自身も承知していると思う」
――中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、日米と欧州で対応が割れています。日本は参加すべきでしょうか。
「参加しなくてもいい。だけど張り合って、つまらん競争をしてもしょうがない。日中が主導権争いをすれば、相手の国内でも日中のどっちをとるかで政争が起きるかもしれない。そうなったら混乱の拡散ですよ。少なくとも、日本がそんな元凶になるのは絶対、避けなければいけない」
――英独仏などはビジネス先行で、中国に前のめりの気がします。
「環太平洋経済連携協定(TPP)を考えると、欧州には自分たちがのけ者になりかねないとの不安がある。だから欧州と中国がくっつきやすくなっているのだと思う。世界を分断せず、皆が同じ仕組みの中でやっていく姿をめざすべきだ」
小手先で競わず
――日中関係は交流は回復していますが、海上連絡メカニズムの構築など、目に見える成果は伴っていません。
「信頼関係がなくては物事は進まない。日中はまだ、互いに小手先のことで争っている。たとえば、インドネシアの高速鉄道案件を双方が奪い合うような話だ。指導者が互いに刺激しないことが大切だ。もう少し、メディアも落ち着いて、取り上げてはどうですか」
――今年3月などに訪中しましたが、習近平国家主席とはどんな話を交わしましたか。
「大局的な話です。外交協議が始まったので細かいことは話しません」
――「大局的」とは。
「彼は日中について、後ろ向きなことは言っていない。のめり込むわけでもなく、ごく当たり前に関係を築いていきたい、と。自分たちも直すところは直さなければいけないという意識は持っている。それを信用するかどうかの問題だ。中国は大きすぎるので、動くのに時間がかかる。こちらも忍耐が必要だ」
――来年、米国は大統領選。アジア外交に注ぐ余力は乏しそうです。
「現大統領は成果を急いでいるのでしょう。習近平主席はあと5年以上はやるので、ゆったり構えている。その辺の食い違いがある。米中が争ったら、その間で苦しむのは日本だ。日本は米中関係を悪化させないよう努める必要がある」
(聞き手は
編集委員 秋田浩之)
[日経新聞12月28日朝刊P.1]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK198掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。