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安倍首相の命取りになるかもしれない日韓合意
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2015年12月31日 天木直人のブログ 新党憲法9条
安倍首相はさぞかし動揺しているに違いない。
達成感と満足感を抱いて年末年始を迎えるはずが、懸念と不安を抱いて年を越さなければならなくなったからだ。
米国主導でつくりあげられた電撃的な日韓合意は、今年の安倍外交の掉尾を飾るにふさわしいはずだった。
ところがここまで強い反発を招くとは思わなかったに違いない。
そのなかでも、少女像の撤去問題に対する反発は深刻である。
少女像撤去こそが、今度の日韓合意で安倍首相が成し遂げたかった最大の目的であったはずだ。
それがあいまいな決着で終わり、しかも日韓合意の最大の対立点として残った。
そしてこの少女像撤去問題は、安倍首相にとって致命的になる可能性が出て来た。
私がそう思うのは、きょう12月31日の朝日新聞に掲載されていた韓国の歴史学教授の次の言葉を読んだからだ。
すなわち、チョンヒョンベク成均館大教授はつぎのように書いている。
「・・・(韓国の女性団体は)『民族の恥を表に出すな』という韓国男性の圧力のなか、戦争による女性の人権侵害問題を国際社会に告発した。これは韓国社会が民主化したからこそ可能だった。今回の慰安婦問題合意が高度の政治判断であることは事実だ。『年内妥結』を公言した朴槿恵大統領の功績を実現するためでもあった。米国の要求を受け入れた面もある。慰安婦問題という人権問題を、韓日両政府がそのように政治利用したことを遺憾に思う」
私は、今度の政治決着の最大の矛盾と欺瞞を表す言葉は、この言葉に尽きていると思う。
今度の合意は、米国との同盟関係を競い合う日本と韓国の両政府が、米国政府の意向を汲んで作り上げたものだ。
日米韓の三カ国が日米同盟維持を最優先して作り上げたものだ。
そうであるなら、今度の政治決着は成功すること間違いないはずだった。
しかし、皮肉にもその政治決着が日米韓同盟をゆさぶることになるかもしれない。
日米韓の指導者は、政治決着を急ぐあまり、女性の人権重視という、彼らが最も重視しなければいけない問題を見落としていた。
これから本格化する反対運動の過程で、少女像が女性の人権問題、特に戦争下における女性の犠牲の象徴として国際社会に広く認識され、世界中の女性が反発るようになれば、誰もそれを撤去せよとはいえなくなる。
このことは、とくに安倍首相にとっては深刻だ。
女性の地位向上を政治目的の為に利用しようとしている安倍首相が少女像撤去を求めるなら、それは天に唾することである。
安倍首相には少女像を撤去させることはできない。
そして、そのことは、安倍首相こそが末代まで続く負の遺産を日本国民に残した首相として、歴史に名を残すことになるからだ。
新年早々から安倍首相はみずから画策した日韓合意の後始末に追われることになる(了)
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