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2015年12月26日
長谷川幸洋と云うジャーナリスト風を吹かせている安倍官邸の密偵が、面白いコラムを書いている。彼には珍しく、“政局物”だ。もう、ここからして、このコラムは安倍官邸の腐臭を振り撒いているわけだ。ファブリーズを幾ら吹きかけても、その臭いは消えない。安倍政権と云うのは、広告制作会社の企画ものに乗っかった神輿政権なのだが、安倍も菅も、その降りつけがないように演じている点では、政治屋としては一流と言って良いだろう。昨日の「日本の世論2015」ではないが、表面的に、有権者は、政権の騙し絵を知りつつも、そうする気があるなら、多少は政策面にも反映するに違いない程度、眉に唾しながら、安倍首相期待していますよ、オベンチャラを、マスメディアに倣って追従している。
以下の長谷川のコラムは、前半は、一応、一つの考え方を披露している。以前、筆者も解説しているが、両議院の2/3の賛成があったとしても、改憲をするには、その条文、それに類する条項に関して、その都度、国民投票に掛ける必要があるわけで、与党勢力が2/3の議席を得たら、即、改憲されるものではない。つまり、国会に、改憲の発議権が生じると云うことだけなので、国民投票の洗礼を受けなければならないし、否決されたら、50年、100年は、日本国憲法の改憲は、事実上、不可能と云うことになる。安倍晋三だったら、二度でも三度でも、国民投票をしてしまうかもしれないが、そこまで実行したら、金王朝よりも暴政を晒すわけで、自民党が割れるだろう。
基本的に、安倍の望みは、自衛隊を自他ともに認める軍隊にしたいわけだが、想像以上に、その道のりは長い。安倍にしてみれば、集団的自衛権行使容認までを、違憲と認識される方法で、たかが内閣如きで実質「改憲」させたわけだから、墓の下で、爺さんに会った時の自慢話は、一応出来るので、それだけで、鬼の首を取った気分だろう。公明党と云う政党は、与党病に完全に罹患しているが、何かにつけ、顔を立てないわけには行かないことで、暴政のスピードアップにブレーキが掛かる点では、不愉快なわけである。出来れば、公明党さんも、時と場合によっては、政権から離れていただいても結構ですよと云う構図を作っておきたいのは当然だ。
安倍や菅の、神聖な信じられないほど貴重な「夜の三時間半」を橋下・松井の為に費やした事実は大きい、と長谷川は語るのだが、酒を飲んじゃ、単におだを上げ、どこの新聞社はケシカラン、あのキャスターは首だ‥等、権力遊びの時間に過ぎないのだから、神聖も貴重もあったものではない。居酒屋談義よりも厄介なのは、彼らが権力を握っていからだ。時には、貴重な人材を潰すし、明治維新以降、日本を実質的に牛耳ってきた、欧米勢力と、その手先である霞が関官僚の牙城を大修繕して、補強させているのだから、その罪が一番デカイ。
おおさか維新がもの珍しさも手伝って、現状一定の支持を得ているが、結局、大阪圏を除けば、来年の夏まで、その勢いを保つ保証はゼロで、与党連合構想になるかならないか、長谷川が言うほど、確定的ではなく、未知の要素が半分以上ある中で、改憲連立政権まで話が拡がったとしても、「与太話」の一種である。次期参議院選で、おおさか維新が安倍自民と同種の政党だと有権者に理解された時には、改選議席以下になる可能性の方が高いくらいで、躍進など、安易に計算する馬鹿はいない。まあ、安倍・菅・橋下・松井、どう考えても「おだを上げた」以上には思えない。
まあ、公明党への警鐘の意味はあるだろうが、公明党も、共産党の旗幟鮮明度に合わせて、相対的に集票力を減少させるだろうから、そろそろ、公明党の選挙盤石も怪しくなりつつある。つまり、官邸としては、共産党の志位委員長が提唱する「国民連合政府構想」が気がかりで仕方がないと、実は長谷川が知ったかぶりして“本音”を語ってしまったというのがオチである。民主党に、アンタらが考えるほど“日本共産党”は甘くない。何ひとつ、証拠立ては出来ないが、「なにせ共産党だよ」と云う、使い古された“印象操作”で、枯れ尾花を、本当は恐ろしいお化けだからね、岡田さん気をつけてと云う話法を駆使して、その構想が事実化しない為にするコラムと云うことだ。つまり、菅も、野党連合を怖がっている証左コラムになってしまった。幸洋くん、君、お仕置き必須だね(笑)。
≪ 橋下維新いよいよ与党に!? 安倍首相と会談3時間半。2016年の政界はこうなる
■安倍・橋下会談の中身
2016年の永田町は与野党の構図が大きく変わるかもしれない。予兆はある。安倍晋三首相は12月19日、政界引退を表明したばかりの橋下徹前大阪市長と会談した。一方、野党側も来年夏の参院選を見据えて野党統一候補の擁立に動き出した。日本の政治はどんな形になるのか。
安倍・橋下会談は3時間半という異例の長さと菅義偉官房長官、松井一郎大阪府知事も同席していた点がなにより雄弁に重要さを物語っている。首相も官房長官も夜の日程は連日のように2段重ね3段重ねで詰まっている。
そんな政権の2トップがそろって橋下氏のために3時間半も夜を空けたのは、会談が政権の最重要案件であったからにほかならない。
菅官房長官によれば、橋下氏が「市長退任の表敬をしたい」と言ってきたのを首相の側が会合をセットしたそうだから、安倍首相が「この機会にぜひ話し合っておこう」と判断した形になる。そんな相手は日本に何人もいない。安倍首相にとって、橋下氏はそれくらい重要な相手なのだ。
もう時効だから書くが、私も首相と官房長官がそろって出席した夜の政治家会合に同席したことがある。2013年11月14日に都内の中華料理店で開かれた「アビーロードの会」だ。これは2人のほか第1次安倍政権で閣僚を務めた渡辺喜美氏(当時、行革相)、塩崎恭久氏(当時、官房長官)らと作った会合だった。
このときの会合では、みんなの党(当時)の代表を務めていた渡辺氏が特定秘密保護法案をめぐって用意した政策ペーパーを安倍首相に渡して、自民党との修正協議を申し入れた。首相はその場で「では、明日から担当者同士で協議しよう」と受け取った。
ごく短いやりとりだったが、これがその後、みんなの党で内紛を起こす引き金の一端になる。渡辺代表が「与党にすり寄るのではないか」という観測が高まって、野党路線に傾いていた江田憲司衆院議員との確執が深まったのだ。結局、江田氏は1ヵ月後に離党し、新党を立ち上げた。
■おおさか維新の会がいよいよ与党に!?
今回の会談は、官房長官によれば、橋下氏が安倍首相に憲法改正などについて意見を聞いたという話になっている。真相はうかがい知れないが、政治家同士はほんの一言二言のやりとりだけでも「すべてを了解できる」独特の間合いがある。あうんの呼吸というやつだ。これは、だれか第三者が解説できるような代物ではない。
自民党の谷垣禎一幹事長は会談から3日も経ってから「あの会談について触れるつもりはない。フレームアップしないということだ」と述べて不快感を表明した。幹事長にしてみれば「いったい何を話したんだ。オレより橋下氏のほうが重要なのか」と鼻白んだ気分になったに違いない。
いずれにせよ安倍、菅両氏と橋下、松井両氏が党派を超えて息を合わせたのは間違いないだろう。ずばりいえば、おおさか維新の会は連立政権にまで踏み込みかどうかはさておき、いずれ実質的に与党化するとみていいのではないか。
そうなると、与党は自民党と公明党におおさか維新を加えて3党体制になる。2党と3党では政治の運動力学がまったく異なる。重要案件で2党が合意すれば、残る1党は妥協するか、与党を離脱するかしかなくなるからだ。
意見の違いがあっても、与党を離れないなら妥協する以外にないが、相手が2党となると、妥協のプロセスは1党が相手の場合より、はるかにスピードアップするだろう。結果的に安倍首相の立場が強まって、公明党は苦しい場面が多くなるのではないか。だからこそ安倍首相は橋下勧誘に熱心なのだ。
■だからといって憲法改正、とはならない
マスコミでは安倍首相が橋下氏と気脈を通じるのは「橋下氏の力を借りて憲法改正発議に必要な衆参両院で3分の2の議席数を達成し、改正を実現しようとしているからだ」という解釈が広がっている。だが、これはやや皮相な見方だ。
言うまでもないが、憲法改正は衆参両院で3分の2の多数を制すればできる話ではない。両院の3分の2はあくまで改正の発議にすぎず、実際に改正するには国民投票で過半数の賛成が必要になる。
いま国民の過半数が憲法改正に賛成していると言えるか。言えないだろう。それは各種世論調査が示している通りである。たとえばNHKの調査では「憲法を改正する必要がある」が28%、「改正する必要はない」が25%、「どちらとも言えない」が43%だ(2015年)。賛成が多いといっても、実際に国民投票をすれば「どちらとも言えない」の大多数が反対に回る可能性が大きい。
安倍首相自身も「国民の理解が深まっているとは言えない」と認めている。
ここがもっとも政治的に重要なのだが、もしも国会が発議できたとしても、最終的に国民投票で否決されてしまえば、すべては無に帰してしまうのだ。
そうなったら、おそらく安倍政権は崩壊し、次の政権は2度と憲法改正などという重たい課題には挑戦しなくなるかもしれない。肝心なのは憲法改正の実現であり、単に改正を発議することではない。その点を多くのマスコミが勘違いしている。
安倍首相はどうかといえば、憲法改正について終始一貫して「国民の理解を深める。それに尽きる」と語っている。そうでなければ、最終目的が達成できないからだ。つまり、おおさか維新の与党化に成功したところで、直ちに憲法改正が現実に動き出すわけではない。決めるのはあくまで国民であり、安倍首相は国民投票で絶対に勝てるという確信を持てない限り、改正発議には踏み切らないだろう。
■共産党は本音で勝負せよ
さて野党はどうか。こちらは混迷が深まる一方だ。
安保法案反対運動で名を上げた学生団体の「SEALDs」や主婦、学者らは安全保障関連法の廃止を旗印に「市民連合」を立ち上げた。具体的には来夏の参院選で野党統一候補の擁立を求めている。
市民の側から動きが出てきたのは、野党全体の求心力が衰えているからにほかならない。政党が積極的に動かないから、反対派の市民らが不満を昂じらせて声を上げざるを得なくなったのである。
だが、それで野党がまとまるかといえば、残念ながらまとまりそうもない。軸になる民主党は党内がばらばらだし、解党してまで維新の党との合流を目指すかといえば、そんな気運は盛り上がっていない。元気なのは日本共産党くらいである。
共産党は持論の日米安保条約廃棄を棚上げしてでも野党との一本化=国民連合政府構想を唱えているが、これは共産党一流の「隠れ蓑論」である。自分たちの本音を隠して、市民連合に共産党の支持が拡大すればいいと思っているのだ。
共産党が本音を捨てることはけっしてない。野党の一本化に成功すれば、徐々に狼の本性を表して、せっせと自分たちの勢力拡大にいそしむだろう。他の野党もそれが分かっているから、本気で共産党の話に乗れないのである。
共産党には国民連合政府などという隠れ蓑論はさっさと撤回して、ぜひ純化路線をお勧めする。本音で勝負したほうが「ヤル気が見えない野党より共産党のほうがマシ」と考える支持者が増えるのではないか(ただし政権獲得は望むべくもない)。
「市民連合」という名で思い出すのは、70年代に一世を風靡した「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」だ。ベ平連はもっぱら街頭デモが中心で「名乗れば、だれでもベ平連」という具合に市民が勝手に集まった団体だった。
今度の市民連合はデモでなく、選挙応援が中心になるのだろう。はたして野党候補の演説に安保法廃止を掲げる「市民連合」の旗がたなびいて、国民の支持が集まるかどうか。「野党はどれもこれも一緒」とみられて、そろって沈没という逆効果にならなければ良いが…。
≫(現代ビジネス:長谷川幸洋「ニュースの深層」)
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