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自衛隊と協力関係を築きたい台湾の複雑な状況 アメリカ空軍戦争大学で教えて(18) 
http://www.asyura2.com/15/senkyo187/msg/315.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 23 日 07:45:58: tW6yLih8JvEfw
 

(回答先: 日米安保と自衛隊の撲滅は叫ばない安保法案反対派 「違憲か合憲か」に集中する矛盾だらけの国会論戦 投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 23 日 07:45:00)

自衛隊と協力関係を築きたい台湾の複雑な状況
アメリカ空軍戦争大学で教えて(18)
2015.6.23(火) 片桐 範之
台湾の嘉儀空軍基地にて。後ろの建物は旧日本軍によって建てられ、まだ使われている(筆者撮影)
 5月下旬、アメリカ空軍の出張で台湾を訪れた。

 日本人にとって台湾は地理的にも文化的にも身近であり、観光や文化交流を見ても、日台関係の発展が今後も止むことはないだろう。しかし、政治的に見ると日本と台湾の間に正式な国交がない。

 事実、日本と台湾の軍事面での関係は基本的にほぼ全て水面下で行われている。従って一般人が知ることもほとんどない。その台湾に、米軍の仕事で出張するというのは貴重な機会であった。

 本稿の字数内で台湾が直面する環境を表現することは難しい。しかし今回の訪台で感じたことは、台湾を取り巻く環境は複雑であり、我々は今後も、より深く注目し続けることが必要であるということだ。

 「日本とは正式な国交がない」「台湾よりも中国の方が重要だ」「台湾海峡は安定している」などと言って台湾を軽視することは大きな間違いである。台湾は日本にとって貿易、投資、そして文化交流などで重要だというだけでなく、日本と台湾の関係次第で東アジアの安全保障は下手をすると大きなダメージを受けかねないのである。

国交がない中、客員研究員として訪台

 今回はアメリカ空軍の「国家安全保障学研究所」の研究をサポートする形で、台湾で1週間を過ごした。

 出張の申請の段階では、数カ月前に自分の研究計画を空軍に提出した。他にも計画を提出している研究者はいたが、私の研究は晴れて審査に合格することができた。

 また、今回珍しかったのは、台湾の国防大学の客員研究員として訪台したことである。これもあらかじめ台湾の防衛当局に申請して大学長からの許可を得ていた。台湾とは正式な国交がないとはいえ、実際は政府の間でできることはいろいろあり、これはその一例にあたる。

 客員研究員としての「仕事」は、国防大学と国立政治大学でそれぞれ一度ずつ講演をするというものだ。元々自分の研究へのフィードバックを現地で得たいと思っていた私にとってはこれ以上ないアレンジメントであった。国防大学の客員研究員としての給与は発生しないし、仕事のスペースをもらえるわけでもないが、自分のキャリアにとっては将来に生かせるユニークな機会であることは間違いなかった。

空軍基地でF16の疑似トレーニングを体験

 まず私が訪れたのは、嘉儀(「ジャイ」と発音する)という、台湾中西部の街にある空軍の基地だった。F16戦闘機を擁する、重要な任務を担う基地である。嘉儀には台北から新幹線で1時間半ほどで到着した。ここを訪問するには台湾国防部からの許可が必要であり、それを得るのに数週間要した。

 無理もない。一般的に軍事施設に入るにはスクリーニングを経て正式の許可が必要だが、今回はそれにも増して難しくなる理由があった。訪問する数週間前に、台湾のある軍事基地に入った人間が許可なく兵器の写真を撮り、それをブログなどで一般公開してしまい、大きな問題となっていたからである。だが、それでも最終的に基地訪問の許可が下りた。

 嘉儀基地では台湾空軍の戦略的な側面など様々な意見を聞いた。私の相手をしてくれた5人の佐官は全員が海外留学の経験を持ち、英語を流暢に話す。食後は基地の博物館を周り、基地の歴史の説明をしてもらった。その博物館は日本の台湾統治時代に旧日本軍によって建てられたものである(冒頭の写真)。


嘉儀空軍基地にて。旧日本軍が建てた建物の中には隊史館がある
 基地の救助部隊に赴きヘリコプターの説明を受けた後は、アメリカのルーク空軍基地にある戦闘機飛行隊を真似て組織された第21飛行隊、通称「ギャンブラーズ」を訪れた。

 基地のビデオを見ながら司令部の説明をしてもらい、数十分にわたって5人の佐官と多くの問題を話し合った。やはり議題の多くは、中国軍と台湾軍の軍事力の差や、台湾とアメリカなどの関係であった。彼らによると、台湾はアメリカや日本との軍事協力を望んでいるのだが、政治的な現実によってかなわないのだという。

 続いて、戦闘機のスクランブル発進用の格納施設(アラートハンガー)に赴き、ブリーフィングを受けた。アラートハンガーで行われる話は一般的にどこでもセンシティブなものであり、記録はできず、写真撮影もNGだったが、いろいろ説明してもらい、待機中のパイロットとも話をすることができた。そして、近くのハンガーにあるF16戦闘機を見せてもらい、シミュレーターを使ったF16の疑似トレーニングも体験させてもらうことができた。

国防大学、国立政治大学で講義と研究発表

 翌日、客員研究員として迎えられた桃園の国防大学を訪れた。私にとってこの大学は、毎年春に行われるアメリカ空軍戦争大学の研修出張で訪れる、馴染みのある場所である。

 まずは大学の教員10人と会議をこなした。彼らの多くが数年前にアメリカやイギリスなどに派遣されており英語を流暢に話すため、言葉の問題はなく、レベルの高い会議になった。我々が話した話題は台湾の安全保障、中国の軍事力、アメリカの役割、そして日本を含む各国の領土問題などだった。意見は白熱し、台湾軍は日本のどの兵器を購入したがっているのかなど、本音ベースで意見を交換することができた。

 彼らと話していて、台湾は特に日本との軍事交流を望んでいる様子が伝わってきた。話の中で私は彼らに「もし台湾が今後、より強い軍事交流をすることになるのなら、どこの国としたいか」と聞いた。彼らはアメリカ、シンガポール、そしてインドなどを挙げたが、10人中の5人は日本を挙げていた。将来への期待を強く感じさせる数である。

国防大学の大学長と会談し、ギフトを交換する著者
 その後は、350名の学生が集まった大講堂で講義をこなした。学生といっても佐官がほとんどである。東アジアの安全保障に関する私の研究発表は、一人ひとりの学生に与えられたヘッドフォンを通して英語から中国語へ同時通訳され、質疑応答も含めて2時間の講義になった。私の講義は大学内のテレビを通じて合計1000人以上の学生に同時中継されたようである。

 質疑応答では海外からの留学生からも質問が寄せられ、日本の今後やアメリカの外交政策に関する問題などが投げかけられた。台湾軍には、数は限られるが海外からも留学生が来ており、その中の何人かは既に将官になっている。

 翌日は、台湾の外交官などエリートを多く排出してきた由緒ある国立政治大学の国際関係学研究所に赴き、安全保障の専門家である教員数名を前に研究発表をした。南国の雰囲気を漂わせる会議室の中で2時間ほど、数カ月後に出版される研究論文を発表し、それを基に意見交換をした。

 ここで議題に上がったのは、台湾軍と米軍、そして自衛隊の協力や日本の防衛ガイドライン、自衛隊とフィリピン軍の南シナ海での協力などである。内容がセンシティブなためなかなか表立って実務者と議論することはできない内容だが、ここではアカデミックな環境の中で自由な議論ができ、大いに研究に役に立った。

中国との「軍事力格差」を背景に各国と同盟関係を模索

 私が台湾に出張している間にも、東アジア地域の安全保障は変化を遂げていた。ほぼ毎日、重要な出来事が起こっており、変化しつつある現実を反映しながら私は会議をこなした。

 台湾も領土を主張する南シナ海近辺では、中国やベトナムなどが南沙諸島沖の土地を一方的に埋め立てながら軍事施設を建設しており、外交問題に発展している。5月26日、台湾の馬英九政権は「南シナ海平和イニシアティブ」という、領土問題の解決を先延ばしにして平和を優先させるという政策を発表した。本稿を執筆した6月中旬の時点ではこの打開案を積極的に支持する国はまだ現れていないが、南シナ海の緊張緩和を目指す興味深い打開策だと思う。

 さらに台湾の専門家は、まさに今、日本の国会で議論されている防衛法案にも注目している。具体的に何について議論しているのか、それが台湾の安全保障にとってどのような意味を持つのかなど、滞在中に何度も質問を受けた。

 日本と台湾の政府には非公式の交流があり、主に貿易や投資などの経済交流、そして文化交流が進められている。2013年に漁業協定を結ぶなど、ここ数年で関係は改善しているが、それでも尖閣沖では領土問題で主張が対立している。

 しかし、台湾の存続にとって最も重要な要素の1つは台中関係である。台湾軍と中国人民開放軍の能力の差が開き続けていることは誰の目にも明らかで、極めて重要な問題となっている。

 台湾はその問題について打開策を見出せていない。そのため、台湾の関係者は海外に目を向け、あらゆる形で同盟関係を探っている。そのような背景から、上に述べた自衛隊への期待があるのである。

 したがって彼らは、尖閣地域などにおいて台湾の主権を脅しかねない自衛隊の兵力の向上に注目する一方で、今後いかに自衛隊と協力体制を築いて対中戦略を練り、台湾の安全を高めるかを模索するという複雑な状況が続いているのである。

 では、今後具体的にどのような戦略で台湾の安全を高めるかという問題に関してはコンセンサスは見えていない。軍事関係者の間で日米との協力体制への要望がいかに強くても、政治レベルの現実や中国との経済協力がそれを不可能にしているからである。

 日本にとっては、台湾との関係を向上させるためには、アメリカや中国との綿密な交渉と理解を得ることが必要だ。だが現時点ではそれはなされておらず、また、近い将来なされる節もない。

(本文中の意見は著者個人のものであり、必ずしもアメリカ政府、国防総省、もしくはアメリカ空軍戦争大学の政策を反映するものではありません。)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44076  

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コメント
 
1. 2015年6月23日 10:31:55 : Dl97UIRcoY
台湾政府も、尖閣や南沙諸島の領有を主張しているが、中共が退けば国民党が出てくるのでは?台湾や香港の活動家も尖閣に上陸を試みたっけ?

民主台湾政府にしても、対中共ということで日本と交流してきたが、馬氏は大陸よりだし、チベットやウイグル、モンゴル国も中国領という考え方なのだろう?

中共が政権を失ったとしても、次の政権が周辺諸国と領有権問題を解決できる保証はない。権力抗争に利用されるだけだ。


2. 2015年6月23日 19:07:05 : snAc501eHi
日本は、中国の経済封鎖で応援すればよい。

ただし台湾が先に攻撃したら無理ですよ。


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