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日米安保と自衛隊の撲滅は叫ばない安保法案反対派
「違憲か合憲か」に集中する矛盾だらけの国会論戦
2015.6.23(火) 筆坂 秀世
安保法案の議論はなぜ自衛隊の存在そのものを問わないのか? 2015年4月に横須賀基地で特別一般公開された護衛艦「いずも」(写真:海上自衛隊横須賀地方隊ホームページより、資料写真)
衆議院での「再議決」も辞さない構え
国会は9月下旬までの大幅な会期延長が確実になっている。安保法案を成立させるためだ。
谷垣自民党幹事長も6月21日、山形での講演で「国会で十分審議をし、国民に納得してもらう必要がある。そういうことをしっかりできるよう会期をとって、この国会で法制を仕上げたい」と語っている。
参議院は衆議院と違い、自民党が単独での過半数を持っていない。衆議院でも法案審議は相当混乱しているが、参議院ではさらに審議が暗礁に乗り上げる可能性もある。そのため官邸や自民党執行部では、参議院の審議が暗礁に乗り上げるようなことがあれば、衆議院での「再議決」も検討していると言われている。
「再議決」というのは、憲法第59条の規定で、衆議院から参議院に法案が送付された後、60日以内に議決しなければ参議院は否決したものと見なし、衆議院の3分の2以上の賛成で「再議決」すれば法案は成立するというものである。
ただ実際には、これだけの重要法案を参議院の議決なしに成立させるというのは、将来に禍根を残すだけに、採りうる選択肢とはならないと思う。ただ官邸や自民党執行部は、そこまで本気で安保法案を成立させようと考えているということだ。
議論されない日米安保体制の是非
ところで、これまでの国会論戦を見ていると、日米安保体制そのものについての議論がほとんどなされていないように思う。
この法案の中心は、米軍の活動をいかに自衛隊が支援し、協力していくかということにあるはずだ。日米安保条約がなく、したがって在日米軍も存在していなければ、そもそも集団的自衛権などということは問題にもならないはずだ。
ところが国会での論戦では、「集団的自衛権の行使は憲法違反だ」という議論のみに集中しているように思える。なぜいま集団的自衛権の行使が問題になっているのか。それは日米安保条約(=日米軍事同盟体制)に日本が組み込まれているからだ。だとすれば、問題の根源にある「日米安保体制そのものが是か非か」の議論こそもっと行われて当然なのではないか。
国会論戦が「違憲か、合憲か」に集中しているのは、この肝心要の問題を意図的に避けているようにしか思えない。
例えば民主党である。同党は日米安保体制を容認しているはずである。日米安保体制は日本の平和と安全、あるいは極東の平和と安全に貢献しているという認識があるからこそ容認しているのであろう。
だからこそ2014年基本政策においても、「集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許しません」としている。「許さない」としているのは、あくまでも「集団的自衛権の行使一般」である。逆に言えば、限定的な集団的自衛権の行使は、「やむを得ない」というのが民主党の立場なのである。
日米軍事同盟体制を容認する以上、集団的自衛権行使の問題は避けて通ることはできないからである。今回の法案に対し、反対派は「戦争法案」と呼んでいる。しかし、もともと日米安保体制というのは、“いざとなれば日米共同で戦争します”という体制である。だからこそ抑止力にもなるのである。憲法第9条に照らせば、「これこそ違憲の条約」という議論も当然に成立する。
しかし、日米安保体制容認派は、これは違憲ではないという解釈によって、これを是認してきた。憲法違反という議論を展開するなら、ここまで掘り下げて議論をしないと、一方の違憲状態は黙認するが、他方の違憲状態は否定するという一貫性のないものになってしまうのである。
共産党はなぜ「日米安保破棄」を主張しないのか
この点では一貫しているはずなのが、日本共産党である。同党は日米安保体制にも反対しているからだ。
だが、実際の国会論戦では、この角度からの追及がない。本来なら「そもそも集団的自衛権の問題が出てくるのは、根源に日米軍事同盟があるからだ。日米安保条約を破棄して、この体制から脱却すれば集団的自衛権の問題などそもそも出てこない」という主張を展開すれば、非常に分かりやすいはずなのだが、こういう議論は展開していない。
「戦争法案反対」を掲げる運動も、「日米安保破棄」というスローガンは掲げていない。「戦争法案」と言うのなら、日米安保破棄も掲げて当然ではないか。そもそも反対を叫んでいる人々のどれほどの人が法案を読んでいるのか知らないが、この矛盾に気が付いている様子はない。
実は、日米安保条約破棄などという主張が、まったく非現実的だということを共産党はよく知っているのである。軍備拡張を続け、南シナ海、東シナ海で国際法無視の活動を続ける中国の存在、核を持ちミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の存在を見た時、「日米安保条約破棄」などというスローガンが国民に支持されないのは当然である。だからこの問題には目をつむり、海外で米軍と一体となって自衛隊が活動することは憲法違反だなどという議論ばかり行っているのだ。
要するに、民主党も、共産党も、立場こそ違うが本質問題を避けて議論しているということだ。これでは審議の充実を望めないのも当然なのである。
反対派は「日米安保破棄、自衛隊解散」のスローガンを掲げよ
同じことは、自衛隊についても言える。「戦争法案反対」を掲げている共産党系の市民団体は、そもそも自衛隊の存在そのものも敵視してきた。共産党の若い女性国会議員が、自衛隊の訓練に反対のプラカードを持って押しかけたりしている。憲法違反の軍隊というのが、共産党の立場である。
ならば簡単な話なのである。自衛隊という軍隊が存在するから集団的自衛権の問題が発生するのである。この根源を断ち切ればよいのである。自衛権の解散である。自衛隊が解体されれば、海外で戦争を行う危険性は一切なくなる。そのうえ日米安保条約も破棄すれば、もう完璧である。集団的自衛権など、一切問題にならなくなる。
反対派に推奨したい。「日米安保破棄、自衛隊解散」のスローガンこそ掲げるべきだと。
ただその場合には、日本はもちろん丸腰になる。そんな提案に、大多数の国民は背を向けることになるだろう。
日本はすでに集団的自衛権を行使してきた
反対派の人々は、日本がすでに集団的自衛権を行使してきたという事実もほとんどの人は知らないだろう。沖縄が本土に復帰した1972年以降も、ベトナム戦争に沖縄の米軍基地は使用された。ベトナムに反撃する軍事力があれば、沖縄が空爆されることもあり得た。ベトナムにそんな力がなかっただけのことであり、これは国際的には日本が集団的自衛権の行使をしたと見なされるものである。
イラク戦争でも、「後方支援」なるものを行ったが、「後方支援」などという言葉は、日本政府が勝手に創作したものであり、国際的には兵站と見なされるものである。志位委員長が、武力行使との「一体化」などという概念が、国際法上あるのかと安倍首相に質問したのに対し、安倍首相は「国際法上の概念ではない」と答弁した。その通りである。同様の質問は、すでに16年前、ガイドライン法案審議の際、私も行っている。政府からは、同様の答弁があった。
日米軍事同盟体制を肯定する限りは、集団的自衛権の行使は避けがたいのである。そのことをもっと各党は正直に語るべきである。
もちろん現憲法の下で、その行使に限界があることは当然である。しかし、集団的自衛権の行使を一切否定するということは、日米安保体制を否定するということであり、結局は憲法を改正して、自前の軍隊を持つという方向でしか、日本の主権と独立は守れないということである。
ただ、積木細工のような憲法解釈は、もう限界にきている。これを非現実的とは言わずに、真剣に検討する時期がきているように思う。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44108
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