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(回答先: マイナンバーは赤字健保を救えるか 高齢者医療の負担、ダラダラIT活用では無理 投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 18 日 06:59:40)
【第96回】 2015年6月18日 早川幸子 [フリーライター]
年を取って病院へ行く回数が増えると、出費もどんどん増える?
「膝が痛くて、毎週のように整形外科に通っている」
「月1回、高血圧の薬を内科で処方してもらっている」
「入院して白内障の手術を受けた」
若いときは病気ひとつしなかった人でも、年を重ねると病気やケガで医療機関を利用する機会が増えていく。
通院している人の割合を比べてみると、40〜44歳は3.4%なのに対して、70歳以上になると12.4%。若い人の約4倍もの人が通院している。入院にいたっては、40〜44歳が0.3%なのに、70歳以上は3.7%で、12倍もの開きがある(厚生労働省「患者調査」2011年。10万人に対する割合)
受診率の高さは、医療費にも反映される。
2011年のひとりあたり医療費は、45〜64歳が27万5700円なのに対して、70歳以上は80万6800円(2012年度「国民医療費」)。若い世代の3倍の医療費を使っている。
こうしたデータを見ると、高齢になってからの医療費負担に不安を覚える人もいるだろう。だが、健康保険があるので、このすべてを自己負担するわけではない。しかも、高齢者特有の受診回数の多さを考慮して、70歳以上の人の自己負担額は、現役世代のそれよりも、かなり低く抑えられるようになっている。
病院の窓口負担割合は
70歳から引き下げられる
医療機関の窓口では年齢や所得に応じて、かかった医療費の一部を負担する。この一部負担金の割合は、70歳未満は所得に関係なく3割(未就学児は2割)。だが、70歳になると2割になり、75歳以降は1割に引き下げられる(ただし、現役並み所得の人は3割)。
以前は、70〜74歳の人の窓口負担割合も1割だったが、2014年4月2日以降に70歳になった人から2割に引き上げられることになった。生年月日でいうと、1944年(昭和19年)4月2日以降に生まれた人だ。
70〜74歳の人の窓口負担の引き上げは、2006年に改正された法律で決められたものだ。本来なら2008年から実施されるはずだったが、政治的な理由で凍結され、昨年、ようやく実施に至ったという経緯がある。
このときの法改正では、同時に高額療養費の上限額を引き上げることも決められたが、低所得層への配慮などから今回も据え置かれることになった。
現役世代に比べると
かなり低い高額療養費
高額療養費は、病気やケガをしても医療費を支払うために借金したり、生活できないといった事態が起こらないように配慮した制度で、福祉元年と呼ばれる1973年(昭和48年)に導入された。
1ヵ月に自己負担する医療費には上限を設けることで、高額な治療をしても、実際に支払うお金は低く抑えられるようにした。患者にとっては有難い制度だが、70歳未満と70歳以降では、自己負担限度額や利用条件が異なる。
70歳未満の場合、1ヵ月の自己負担限度額は所得に応じて5段階。たとえば一般的な収入(年収約370万〜約770万円)の人は【8万100円+(医療費−26万7000円)×1%】。医療費が100万円だった場合は、8万7430円だ。
高額療養費に該当する月が1年間に3回以上になると、4回目からさらに負担が下がる「多数回該当」という制度もある。たとえば、一般的な収入の人の場合は4万4400円になる。
これを、「個人ごと」「1ヵ月ごと」「1医療機関ごと」に計算する。入院でも通院でも区別なく、この金額が1ヵ月の自己負担上限額になる。
家族が同時に病気になって医療費がたくさんかかった場合、家族の医療費をまとめて高額療養費の申請ができる「世帯合算」という制度もあるが、それぞれの自己負担分が2万1000円を超えることが利用条件だ。
だが、70歳以上になると、表のように自己負担限度額は4段階に分類される。「1ヵ月ごと」に計算するのは同じだが、金額は「通院のみ」と「通院と入院」で異なり、世帯合算のハードルも低い。そのため、70歳以上の人の医療費の自己負担はかなり低く抑えられるようになるのだ。
通院のみは1万2000円
入院もしたら4万4400円
夫婦ともに70歳で、年収が「一般」の場合の自己負担額を見てみよう。
●通院のみ…個人ごとに月1万2000円
通院だけの月は、夫婦それぞれに高額療養費を計算する。
70歳未満は医療機関ごとに1ヵ月の高額療養費を計算するが、70歳以上は複数の医療機関の窓口に支払った自己負担額をすべて合算できる。
高齢になると「毎月、内科と整形外科に通って、今月は眼科にもかかった」など、複数の医療機関を利用するケースが多くなる。これらの自己負担額をすべて合計して、ひとりにつき1万2000円を超えた分は申請すると払い戻してもらえる。
つまり、夫婦ともに通院しても、それぞれ1万2000円が自己負担限度額。夫婦ふたりでも2万4000円を超える医療費はかからない。
●通院と入院の両方…世帯単位で4万4400円
入院もした月は、通院費用も合算して、世帯単位で高額療養費を計算する。
たとえば、「夫が持病の心臓病のために通院治療をしていたが、今月は入院もして手術を受けた」といったケースでは、1ヵ月の自己負担限度額は4万4400円。通院での限度額1万2000円に入院費用を加えて4万4400円を超えたら、払い戻しを受けられる。
さらに、妻も通院していたら、その自己負担分も合算できるので、どんなに医療費がかかったとしても、夫婦で合計4万4400円以上は負担しなくていい。
ただし、世帯合算できるのは、家族で同じ健康保険に加入していることが条件なので、夫婦で別々の健康保険に加入している場合は合算対象にならない。
たとえば、「夫婦ともに70歳で地域の国民健康保険に加入」というケースは合算できるが、「夫が75歳で後期高齢者医療制度、妻は73歳で国民健康保険に加入」というケースでは合算できない。
70〜74歳の人で、70歳未満の子どもなどと同居して、同じ健康保険に加入している場合は、これも合算対象になる。ただし、70歳未満の人の自己負担分は2万1000円を超えていることが条件だ。
世帯合算するとさらに
負担が軽くなることも
70歳以上の人の窓口負担割合は、所得に応じて2段階。通常は年齢に応じて1割、もしくは2割だが、現役並みの所得のある人は3割だ。それを医療機関の窓口で証明するために、70〜74歳の人には健康保険証のほかに「高齢受給者証」が発行される。75歳以上の後期高齢者医療制度の人は、健康保険証にその人の窓口負担割合が記載されている。医療機関は、この負担割合を見て、会計時に患者に請求する金額を計算しているのだ。
高額療養費の自己負担限度額も、入院のみの場合は、記載された窓口負担割合をもとに、病院側が自動的に計算してくれる。そのため、原則的には自分で申請しなくても、窓口では限度額までを支払えばよいことになっている。
ただし、「1ヵ月に複数の病院に入院した」「入院のほかに通院もした」というケースでは申請しないと払い戻しを受けられない。高額療養費の対象になる人には、健康保険から書類が送られてくるので、忘れずに申請しよう。
住民税非課税世帯の人は、窓口負担割合は1〜2割だが、高額療養費の自己負担限度額の限度額は所得が「一般」の人よりも低い。だが、病院側は健康保険証を見ただけでは限度額を把握できないので、証明できるものがないと、窓口では「一般」の人と同じ限度額まで支払わなければいけなくなる。
住民税非課税世帯の人で、入院することが分かっている場合は、事前に加入している健康保険で「限度額適用認定証」を発行してもらっておくと、持ち出しを少なくできることも覚えておきたい。
高齢になると、医療機関を受診する回数は増え、医療費も高くなる。だが、日本の医療制度は、受診傾向を踏まえて70歳以降の医療費の自己負担は軽くなるように設計されている。
自己負担額は所得に応じて、通院だけなら月8000〜4万4400円。入院しても月1万5000〜9万円程度だ。このほかに、入院中は食事療養費が別途かかるが、現在は所得に応じて1食あたり100〜260円だ(一般病床の場合。ただし、2016年度から引き上げられる予定)。
定期的な年金収入、ある程度の預貯金があれば、決して払えない金額ではない。こうした制度があることを知っておけば、老後の医療費を闇雲に恐れる必要もない。
「老後の医療費の備え」というと、民間の医療保険に入ることばかりがクローズアップされるが、それ以前に今ある公的な制度を知っておくことが大切だ。
公的な健康保険は、財政論を巡って「破綻寸前」などと揶揄される。だが、もしも、今のような制度がなくなってしまったら、医療にかかれない人が続出し、国家の存亡に関わることになる。
今のように、「いつでも」「だれでも」「どこでも」平等にかかれる医療は、民間の医療保険では到底とってかわれるものではない。どうしたら、この国の制度を壊さないように、持続可能なものにできるのか。自分ごととして考えたい。
http://diamond.jp/articles/-/73435
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