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2015/06/15 05:29
<安倍晋三首相は14日夜、維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長と東京都内のホテルで約3時間、夕食を共にしながら会談した。首相は、最重要課題と位置付ける安全保障関連法案の今国会成立に向け、橋下氏との直接会談で維新の協力を要請したとみられる。維新は既に労働者派遣法改正案で与党に協力姿勢を示しており、維新の今後の対応次第では野党の足並みの乱れが拡大しそうだ>(以上「時事通信」引用)
かつては護憲政党なる旗印を掲げる党があった。社会党という政党だったが、民主党と同じく政権党になりたい夢を果たすために自民党の呼び掛けた「自さ社」三党連立政権に社会党委員長を総理大臣にする約束で参加し「村山談話」で有名な村山首相が誕生した。それにより社会党は「違憲」としていた自衛隊の存在を容認に転じ、社会党としてのアイデンティティーを喪失して解党への坂道を転げ落ちた。
民主党も政権党になって長期政権党の自民党になりたい欲望を募らせ、官僚の使嗾に乗せられて第二自民党になり下がり、有権者の支持を失って党勢は見事に衰退した。第二自民党になる必要もなく、小沢氏を中心として健全野党の道を歩めば良いものを、権力持続欲に駆られた菅・野田二代の代表と執行部中枢にいた前原氏や岡田氏たちにより社会党と全く同じ軌跡を描いた。
そこに登場したのが維新の党だが、マスメディアの付した肩書は「第三極」だったが、私維新の党が登場した当初から「自民党補完政党」だと批判していた。そもそも大阪都構想なる行政区分変更のマヤカシを行政改革の総本命であるかのように叫ぶ胡散臭さが嫌いだった。
行政区分変更で行政改革を断行するのなら明治維新当初の廃藩置県と同様なインパクトを与える道州制の導入を旗印に掲げるべきだ。全国に国と地方自治体の中継ぎの中二階に過ぎない都道府県が必要か、という議論から始めるべきだ。このIT時代に数十程度の地方自治体を掌握するのにどれほどの手間暇がかかるというのだろうか。もちろん明治維新当時とは比較にならないほど交通網は整備され、同州内なら日帰りで業務が行える環境にある。
そうした全国規模で根本的な改革案の提示ではなく、大阪だけの限定的な改革案の提示で全国政党を展開するとは何事だったのだろうか。橋下氏なるタレントまがいの弁護士がどれほどの政治的な素養を得ていたのか疑わしい。関西のテレビ番組で共演した因縁から安倍氏と親しいようだが、それは政治家の感覚ではなく、むしろ芸人の感覚に近いというべきだろう。
国民とカメラのレンズを通してしか向き合ったことのないテレビタレントが知名度から政治の舞台に駆け上がるケースが多くみられる昨今だが、そうした「有名なら選挙で当選して政治家だ」という風潮はあまり感心しない。政治家には無名時代に地道にドブイタの選挙活動をして有権者一人一人と向き合う経験が必要だ。そうした意味では世襲政治家もタレント政治家と近い位置にあるといえるだろう。
日本国民はマスメディアにより世論誘導され、あらかたハンドリングされていると評しても言い過ぎではないだろう。タレント政治家と世襲政治家という近しい位置の政治家が会食したということにどれほどの意味があるというのだろうか。元来が自民党の補完政党に過ぎない維新の党が自民党と協力しても仰天することでもないだろう。
お仲間が公費を使って値段が高級な料理をホテルで食したに過ぎない。「戦争法案」を手直しして維新の党と共同提案しても、周辺事態の縛りなき集団的自衛権行使を容認している限り違憲であることに変わりない。タレント政治家と世襲政治家の揃い踏みにどれほどのニュース性があるというのだろうか。恰も寄席の大喜利を見せられている気分だ。
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