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戦後70年を経た日本の安全保障体制と、これからの道(私論)[岡本行夫氏]
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/686.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 5 月 12 日 17:24:27: Mo7ApAlflbQ6s
 


 安保法制の条文が明らかになった今、親米主義者の安保観が垣間見られる言説の一つとして、敗戦70年目の首相談話の内容を考える「21世紀構想懇談会」で元外務官僚岡本行夫氏が行ったプレゼンテーションの資料を確認するのは役に立つことだろう。

 岡本氏は「安全保障では“保守”、歴史認識では“リベラル”」と自称してはばからないが、安全保障も歴史認識も同じ対米従属をベースとした価値観であり、保守でもリベラルでもなく良く言ってせいぜい現実追随主義者といえる人物である。

 外国の軍隊を屈辱的な地位協定の基で領土領海内に駐留させることを是とする人物が、保守主義や愛国主義を自称するのは笑止千万である。

 先の大戦について日本の内閣総理大臣は政治的に反省し謝罪すべきだと思っているが、歴史認識としては、勝者敗者いずれかの論理に引きずられない総合的で歴史的な評価が必要だと考えている。
 末期大日本帝国やナチスドイツは悪だったという歴史認識で始末が付けられるのなら、歴史から学べることはあまりに少ないからである。


※ 参照書き込み

『【外務省の本性】内閣官房参与の岡本行夫氏(元北米1課長)は過去に松尾元室長とクルーザーヨットを共同所有』
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/591.html

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20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会(「21世紀構想懇談会」)

第三回議事説明資料


2015年4月2日
(21世紀構想懇談会説明資料)

戦後70年を経た日本の安全保障体制と、これからの道(私論)

岡本行夫

基本認識


(1)日本がとりうる防衛体制

日本の選択肢は三つだけ。「非武装中立」か「武装中立」か「同盟」。

(「集団安全保障」はアジアにおいては存在できる基盤がない )。

@「非武装中立」は、国民の2.6%しか支持していない(内閣府調査)。

A「武装中立」のためには、自衛隊の大増強と、更に核武装の覚悟も必要。日本が取り得る道ではない。

Bさすれば、「同盟」しかない。どの国と? 中国?ロシア?韓国? 結局 米国との同盟しかない。

(2)日本の戦略環境

東アジアは軍人数でみた世界のトップ5ヵ国のうち3ヵ国(中国、ロシア、北朝鮮)が集中し、軍備集積度が世界で最も高い地域。
中国は領土と資源・エネルギーを求めて膨張主義を止めず、ロシアは武力による国境変更を躊躇せず、北朝鮮は核兵器と弾道ミサイル開発を続けている。しかも、日本はその全てと領土問題を抱えている。

そうした戦略環境の中で、日本の防衛費はGDP対比で言えば世界で103位という「軽負担」。それなのに侵略される怖れなくやってこれたのは何故か。憲法9条の存在ではない。日米安保体制である。

(3)防衛力の考え方

本来、国家の防衛力の水準は、周辺の脅威に対応する「所要防衛力」として決められるべき。

しかし日本は財政的理由から、51大綱をもって「基盤的防衛力(平和時に必要な防衛力の限界)」の考え方に転換し、「GNP1%」という経済指標をもって上限とした。
その後、07、16大綱を経て、即応性・機動性・柔軟性を重視する(ただし量を軽視)22大綱の「動的防衛力」に進み、現在は25大綱の「統合機動防衛力」(質、量とも重視)の下にいる。

しかしいずれの大綱も「基盤的防衛力」の考え方を基礎とし、簡単に言えば、日本が財政事情で一方的に防衛費を決めて残りを米国に頼るという構図が続いている。


2.日米安保体制

(1)仕組みと効果

日本の防衛力(盾)と米国の攻撃力(矛)の組み合わせによる日本防衛(第5条)と極東の平和と安定の確保(第6条)。

日米安保の最大の目的は「抑止」。抑止力とは、周辺諸国に対し、「安保条約は現実に発動される態勢にある」という印象(パーセプション)を与え続けること。関係が必要。

(2)課題

@ 柱は1本か2本か

日本の防衛体制は「日米安保」という1本柱か、「自衛隊」と「日米安保」という2本柱か、という二つの思想。「小規模限定侵略は独力対処」というのは2本柱論。しかし安保条約の下では、いかなる侵略でも最初から日米が共同対処する。この認識のズレがFSX問題でも顕在化。

A 日米の非対称

米国にとっては日本は多数の同盟国の一つ。(日本にとっては米国は唯一の同盟国)。このことからくる議会やメディアの日本に対する認識不足がある。(例えば日本フリーライド論)。

日本にあっても、地方自治体やメディアの理解不足がある。(例えば日米地位協定不平等論)


B 5条事態優先か、6条事態優先か

日本側は、当然ながら5条事態(日本有事)重視。米側は、日本が直接侵略を受ける可能性より、周辺の紛争が日本に波及する可能性のほうが高いとして、6条事態(極東有事)重視。

もっとも周辺事態法の成立以降、日米間の齟齬は縮小しつつある。

C 沖縄の過重負担

沖縄の不平等感に対する国民的理解と持続的取組みが必要。国として「沖縄問題」の優先順位の引き上げを。
(普天間飛行場移設については、経緯を見れば政府と県との間でボタンの掛け違いがあるが、現段階に至れば普天間の騒音と危険性除去のためには政府方針が唯一の方策。)。

D 中国が狙う日米分断

米国から切り離された日本は、中国にとっては、たやすい標的。中国は米国を重視しつつ、日米間の離間を図っている。98年クリントン大統領の訪中時のミサイル照準の取り外し、習近平政権の「第二次大戦時の反ファシスト連合(米が含まれる)の結束」の呼びかけなど。

3.国際平和協力活動への貢献

(1)日本が国際平和に貢献するべき理由

@グローバル化した世界では脅威は拡散しやすく、すぐに日本にも影響が及ぶ。

A日本だけがリスクをとらなければ、世界で二流市民扱いを受ける(湾岸戦争)。

B消極姿勢は金銭的に高くつく。(湾岸戦争への非協力のコストは130億ドル。インド洋での洋上給油活動中止のコストは5千億円)

(2)新安保法制の意義

成立すれば、日本の国際平和への貢献は重層化する。

今回の一連の作業の本質は、内閣法制局の硬直的見解(「個別自衛権以外の武力行使は全て『他国を武力で守る行為』である集団的自衛権」と定義した1972年見解)を是正したところにある。
(一方、憲法9条は厳然として存在するから、日本の自衛につながらない武力行使は、今後とも許容されない。)

4.日本が目指すべき道

(1)海洋安全保障のための自衛隊強化

米国と共同して海洋の自由を確保するために、自衛隊の態勢拡充が必要。

@ 陸自を着上陸対処の部隊ではなく、機動化した上で世界平和のために迅速に行動できる部隊に。
A 海自を「護衛艦60隻(51大綱の水準)・潜水艦26隻」態勢に。
B 空自の迎撃能力(戦闘機とPAC3)強化
C 過度の財政介入の抑制(実員数を定員数より更に削減する「充足率」方式の廃止等)

(2)積極的平和主義の具体化

@ 日本は、これまで国際平和構築のための多くの支援要請を断ってきた。イラン・イラク戦争の時にペルシャ湾内の商船隊を防護するための国際護衛艦隊への参加。湾岸戦争の際の輸送・医療協力。インド洋におけるテロリストの通交遮断のためのパトロール艦隊への参加。南スーダン及びアフガニスタンへの陸自ヘリの派遣。PRT(アフガニスタン地方復興チーム)への参加・・。
断った理由の多くは、「自衛隊を危険なところには派遣しない」という政治的方針。これを転換できるか。(例えばバグダッド日本大使館警護など)。

B「海洋アジア」での連携強化。
日本は、「海洋アジア」のリーダーとして、航行の安全、地域各国のガバナンス強化、経済の持続的発展などを目指して、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどの域内諸国との関係を強化すべし。

C ODA大国としての復活(省略)

以上


http://www.kantei.go.jp/jp/singi/21c_koso/dai3/siryou2.pdf

 

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