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「日米同盟強化が意味するもの」(NHK 時論公論)
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/247.html
投稿者 gataro 日時 2015 年 5 月 02 日 01:13:18: KbIx4LOvH6Ccw
 

(回答先: NHK番組で安倍首相の米議会演説を批判「今の段階での発言としては物議をかもす」(トピックニュース) 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 01 日 11:10:05)



「日米同盟強化が意味するもの」
島田 敏男 解説委員 / 高橋 弘行  解説委員
NHK 時論公論 2015年04月30日 (木) 午前1:15〜1:30
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/215683.html


(島田)
安倍総理大臣のアメリカ議会での演説に続いて時論公論です。今回の安倍総理のアメリカ訪問、とりわけ日米首脳会談は、これまで以上に両国の同盟関係を強化すると同時に、質的な変化が現れたことを印象付けるものでした。
今夜はアメリカ担当の高橋委員と共に、今回の日米同盟強化が意味するものは何かを、番組を15分間に拡大して考えます。
 

(島田)
まず高橋さん。終わったばかりの安倍総理の議会演説を、どう聞きましたか。
 
(高橋)
過去の反省にも触れてはいましたが、未来志向を前面に押し出しているのが印象的でした。その根底にあるキーワードは「感謝」と「希望」でした。
硫黄島で戦ったアメリカの退役軍人を紹介し、日米の戦争の傷に触れつつ、日本の復興と民主主義国家への仲間入りをさせてくれたアメリカへの感謝を伝えました。
そして「希望」については、これまでの日米同盟、これからの日米同盟がいずれも我々の希望なのだと強調していました。
 
(島田)
私は2つのことが気になりました。一つはアメリカ政府や議会の中でも関心が高まっていた日本と韓国との関係改善について触れられていない点です。
そしてもう一つは、同盟強化の中身としている集団的自衛権の行使容認などに必要な法案の成立を、「この夏までに必ず実現する」と言い切った点です。
この法案は、まだ閣議決定もしていませんので、今の段階での発言としては、いささか物議を醸すかもしれません。
 
(高橋)
アメリカでは、議会で事実上の公約のようにして表明されたことで、安倍総理大臣の強い決意を示したものと受け止められていると思います。
 

【日米首脳会談の内容・評価】
(島田)
それが日本国内では、どう受け止められるかですね。
さて、この議会演説の柱にもなっていたように、日米同盟の新たな姿を明確に打ち出した安倍総理とオバマ大統領の日米首脳会談について見て行きます。
ニュースでも詳しくお伝えしていますのでポイントだけ見てみます。
 
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▼第1に、直前に関係閣僚が合意した新しい日米ガイドライン・防衛協力の指針に基づいて、アジア・太平洋地域のみならず世界規模の同盟協力に拡大・強化して行く。
▼第2に、TPP・環太平洋パートナーシップ協定は単なる経済的繁栄だけではなく、地域の安定に役立つもので、日米が交渉をリードして早期の妥結を目指して行く。
▼第3に、中国の海洋進出に厳しく向き合い、中国が提唱するAIIB・アジアインフラ投資銀行についても日米は慎重に対処して行く。

☆最大の特徴は、安倍総理が自衛隊の役割を大幅に拡大することを約束して、日本の負担を増やす代わりに同盟をゆるぎないものにしようとした点です。
高橋さん、アメリカ側の反応はどうだったのでしょうか。
 
(高橋)
今回安倍総理大臣は公式訪問という、日本の総理大臣が受ける儀礼上の最高の待遇を受けていますが、今回の訪問で、日米間の長年の懸案であった日本の集団的自衛権の行使を初めて可能にする方針を携えてやってきた、と言う意味では、やはりアメリカにとっては歓迎に値する訪問だったと言えると思います。
 
(島田)
ただ、気をつけなくてはいけないのは、例えば尖閣諸島で万一の事態が起きた場合にアメリカがどこまでの事をするかは依然曖昧だという点です。
去年、オバマ大統領が日本訪問した際に、「尖閣諸島は日本の施政下にあるので、日米安保条約の対象になる」と明言しましたが、一方でアメリカ政府は領土に関する問題では中立という立場は変えていません。
つまりその時々の判断で対応を決めるのが基本ですから、同盟強化で日本側が持ち出しを多くしても、必ずしも日本が期待する所までアメリカが行動してくれるとは限らないという点を、忘れてはいけないと思います。

☆いずれにしても、日米関係は中国の存在抜きには考えられなくなっています。
オバマ大統領は、リバランス・アジア重視を掲げていますけれども、その中で日米同盟と対中国という要素を、どう位置付けているんでしょうか。
 

【日米と中国】
(高橋)
まさにオバマ政権は、対中国政策で、大いなる苦悩といいますか、二面性を抱えています。
 
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まずなんと言ってもアメリカにとって東アジア地域の最大の懸念材料は今や中国の軍事的台頭ですから、なんとか中国を抑え込んでおきたい、コントロールしたいと考えています。特にこの一年で中国は海洋進出をさらに活発化させましたし、軍備増強も続いています。
しかし一方でアメリカにとって中国は、何としても衝突は避けたい存在になっています。経済上の結び付きはあまりにも強くなっています。また軍事面でも、アフガニスタンとイラクの戦争で疲弊したアメリカにとっては、軍備の増強は難しい情勢です。そもそも、アジア太平洋地域へのリバランス、といっても、これは本来中国と敵対するための政策ではなく、中国に安定的に発展してもらい、その利益をアメリカが享受するための政策の位置づけです。
こうしたよく言えば多面的な、悪く言えばどっちつかずのアメリカの対中国政策の中で、アメリカとしては、日米同盟を最大限利用することで、安全保障面では中国への強いけん制になり、経済面でもアメリカの力を強く見せる効果がある、とオバマ大統領は考えているようです。
ただ、会談後の記者会見を見ますと、オバマ大統領は、
『強い日米同盟が中国への挑発になるとは考えていない』とか、AIIBを念頭に、『中国は我々と共に途上国の開発を負担する仲間になりうるかもしれない』と述べていまして、単純に中国に対抗するのではない中国への配慮ものぞかせていました。
 
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(島田)
日本政府関係者は、中国の経済力・軍事力が、トータルで日本を上回る時代になってしまったので、東アジアの安定のためには日米同盟を強化して、両国の力のトータルが中国を上回るというパワーバランスが必要だと言います。
 
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これは中国を仮想敵国として包囲するという意味ではなく、日米で主導権を握り、経済でも、安全保障でも、中国にとっても、そこに寄り添うのが得策になるような構図を作るということだと思います。
 
(高橋)
ですから、今の段階では、日米の思惑が一致したタイミングでの日米同盟強化をうたった日米首脳会談、ということになりますが、この力関係、果たして今後変化するのかしないのかは常に慎重な分析が必要だと思います。
 

【ガイドラインと日米安保のこれから】
(島田)
今回の同盟強化の柱になったのが、首脳会談の直前に関係閣僚同士で合意した新しい日米ガイドライン・防衛協力の指針です。
ただ、この中身はと言いますと、まさにこれから政府が法案を国会に提出し、審議する安全保障法制の仕上がりにかかっています。
野党からは「法案を提出してもいないのにアメリカ政府と勝手に約束するのは、国会無視で、余りに拙速だ」と早速、反発が出ています。
自民党のベテラン議員の中にも「安倍さんは急ぎ過ぎだ」という声は有ります。
私も同感ですが、アメリカ側はどう見ているんですか。
 
(高橋)
アメリカ政府は、もう長い間日本が集団的自衛権の行使を可能にすることを待ち続けていましたから、急ぎ過ぎ、とは思っていないと思います。それに18年前のガイドラインの見直しの時も、日米が見直しを合意した時に、まだ国会ではガイドライン関連法案の審議は終わっていませんでした。しかもアメリカから見れば、今の安倍さんは非常に強いリーダーであり、強い与党を持っているので、先に日米で必要な項目を決めてしまい、それを後から法案審議する、と言う流れはアメリカにとっては「大変都合がいい」と考えていると思います。
 
(島田)
新しいガイドラインの中身のポイントを見ておきましょう。
 

まず、東シナ海などでの情報収集や警戒監視で協力する。
次に、自衛隊の島嶼防衛、離れ島の防衛をアメリカ軍が支援する。
そして、日本が集団的自衛権を行使して行う協力について、弾道ミサイルの迎撃や機雷の掃海活動などを中心的なものとして挙げています。
この他にも平時から有事にわたって、日米が幅広く協力し、地理的な制限を設けずに活動するとしています。
アメリカ側は、日本の大幅な協力拡大と受け止めているのですか。
 
(高橋)
アメリカは、日本は憲法改正は極めて困難だということや、しかも与党内に公明党という集団的自衛権の行使に慎重な党を抱えていることは知っていますから、安倍政権はその範囲で最大限の協力を打ち出していると言う認識です。
 
(島田)
とはいうものの、日本国内ではこれから大型連休明けに、ようやく安保法制の法案が国会に提出され、審議が始まる所です。議論すべき点は山ほどあります。
 
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▼集団的自衛権の行使に関して、政府・与党が示す新しい要件の「密接な関係にある国への攻撃で、我が国の存立が脅かされる事態」とはどういう状況か。
▼また、外国軍隊に対する後方支援では、遠く離れた地域の外国軍の戦闘に、どこまで物資の提供や輸送などをする必要があるのか。
▼武力行使との一体化を避けると言いながら、弾薬の提供に問題はないのか。
政府・与党が、どこまでこうした疑問や懸念にきちんと応えることができるかです。アメリカ政府は日本国内での議論をどう見守ろうとしているのでしょう。
 
(高橋)
アメリカからは、「自衛隊の協力は大幅に拡大するだろう」との期待の声が上がっています。アメリカ海軍の太平洋地域を管轄している第7艦隊のロバート・トーマス司令官は、今年に入って、南シナ海での海上パトロールに自衛隊の協力ができることを期待していると発言しています。
また今月23日に出されたアメリカ議会の事務局による報告書では、「今回の日本の方針決定によって、アメリカの抱える紛争に、アメリカにとってより重要な局面で、協力してくれることが期待できる」とありますので期待値はやはり高いと思います。
日本にとって、アメリカとの関係重視と言う大前提の中でどこまで日本独自の判断ができるのかは大きな課題だと思います。
 
(島田)
日本の自衛隊が今まで以上に海外でアメリカ軍と協力し合う姿をアメリカ側が求めている。その背景には、アメリカ自体の国力の低下もあると思います。
オバマ大統領から次の大統領に代わっても日本に負担を求めてくる姿は変わらないでしょう。だから「アメリカから言われたら何でもやる」のではなく、ノーと言うべき時には言える日米関係でなくてはならないと思います。
そのためには、対話の積み重ねによる相互理解が必要ですよね
 
(高橋)
しかも日本にとっては日本とアメリカで中国への向き合い方が違うということに注目すべきだと思います。
アメリカの中国に対する戦略が今後どう変化して、日本はそれにどこまで合わせていけるのか、常にアメリカが中国とどのような距離感を持って接しているのかを把握していくことは極めて重要になってきていると思います。またそれは、日本がそもそも中国にどう向き合っていくのか、ということも同時に問われているのだと思います。
 

【まとめ】
(島田)
以上、見てきましたが、今回の日米同盟の強化は、冷戦の崩壊後、政府同士で長く議論されてきた内容が、実際の日米合意になったものです。                        
その背景にある中国の台頭という現実を冷静に受け止め、日米同盟を強化する一方で、中国との互恵関係、互いに利益を得ることができる協力関係の構築に一層力を注ぐことが重要になると思います。
 
(島田敏男 解説委員/高橋弘行 解説委員)

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【関連記事】

NHK番組で安倍首相の米議会演説を批判「今の段階での発言としては物議をかもす」
http://news.livedoor.com/article/detail/10066929/
http://blog.livedoor.jp/gataroclone/archives/43860171.html


 

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