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2015/02/10 06:32
< 政府・与党は、JA全中=全国農業協同組合中央会を一般社団法人に転換し、地域農協への監査権を廃止することなどを柱にした農協改革案を正式に決定しました。
9日の自民党の会合で決まった農協改革案では、全中を農協法に基づく組織から一般社団法人に転換した上で、会計監査部門を一般の監査法人として分離・独立させることなどが柱となっています。
「(政府・与党案を)受け入れました。まさに大変革、大きな変わり目でありますけれども、その内容にそって決断させてもらった」(JA全中 萬歳章会長)
地域農協にとっては経営の自由度が高まることになりますが、一方で、全中の下部組織にあたる都道府県の中央会が「連合会」として存続するなど、引き続き中央会の影響力が残る可能性もあります>(以上「TBSニュース」引用)
60年振りの農協改革だという。これまで散々農協を集票マシーンとして利用してきたのは自民党だった。しかしTPP参加に関して農協が頑強に反対していることに自民党が反発したといえる。
しかし安倍自公政権の「岩盤破壊改革」などという修飾語を信用してはならない。彼らが目指しているのはTPP参加後に米国の投機家たちによるISD条項発動により、日本政府に莫大な賠償請求がされると予想されるからだ。
そもそも農協法は単協を想定した法律だった。しかし全国に数万もあった単協が財政基盤や経営基盤の脆弱性からバタバタと破綻したことから、全中・全農などを設置して農協の体質強化を図り、あわせて農協の合併を推進して単協の強化に努めてきた。
しかし本当の目論みはTPP参加後に米国穀物メジャーと全農の対立が表面化して、ISD条項発動へと到るのではないかと政府は秘かに心配しているのではないだろうか。米国になくて日本にある制度や基準の撤廃を政府は急いでいる。
ちなみに自動車分野で頭の痛かった「軽基準」は撤廃に向けて自動車税を引き上げて、軽自動車を優遇していた政策も併せて後退させ「軽基準」なし崩しに撤廃しようと目論んでいる。それは日本独自の制度や基準は非関税障壁として攻撃される目標になるからだ。
農協も全中・全農を農協法から外せば、単なる民間会社に過ぎず、あとは株式会社法に従っているだけだとすれば米国の投機家たちがISD条項を使って牙を剥くのが困難になる。そうしたTPP参加後を見通しての農協改革だと理解しなければならない。
徳川家康が大阪城と「和睦する」条件として外堀の埋め立てを認めさせるや、アッという間に内堀まであらかた埋め尽くし、大阪城は裸城となり、大阪側の敗北を決定づけた。安倍自公政権もTPP反対の牙城たる全中・全農を農協から切り離すことにより弱体化しようとしている。
確かに農協は改革が必要だ。ホームセンターよりも高額な肥料や農薬や農業資材を販売していては農家が農協離れしても仕方ないだろう。経営努力を忘れた農協が農家にとって存在意義が薄れているのも確かだ。
しかし農業に株式会社などの新規参入を促す政府としては農協は目障りだろう。農協にとっても農協の会員として農協活動に協力しない巨大な株式会社が農業に参入するのは組織存続にとって脅威に違いない。
なぜ農協が規制改革の目玉にされるのか、それは時代の変化をよそに農協が自ら変わろうとしなかったからだ。農業従事者はあと十年もすると大幅に減少する。そうした状況に対して農協はどのような手を打ってきただろうか。農協自体が変わらなければならないのは誰もが気付いていることだ。
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