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サルには尻尾があるのにヒトに尻尾がない理由がついに判明/GIGAZINE
https://www.msn.com/ja-jp/health/other/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%B0%BB%E5%B0%BE%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AB%E3%83%92%E3%83%88%E3%81%AB%E5%B0%BB%E5%B0%BE%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%AB%E5%88%A4%E6%98%8E/ar-BB1j4PTV?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=1f2611d730134ef1a1f66224e994e29f&ei=12
ヒトを含む類人猿の祖先は約2500万年前にサルから遺伝的に分岐し、その他のサルが持っている尻尾を失いました。これまで、一体どういう遺伝的要因によって類人猿の尻尾が失われたのかは不明でしたが、新たな研究で「ヒトを含む類人猿には存在するが、尻尾を持つサルには存在しないDNA」が発見されました。
生物医学やゲノムの研究センターであるブロード研究所のボー・シア博士は、ニューヨーク大学・グロスマン医科スクールの博士課程在籍時に、類人猿がどのような進化によって尻尾を失ったのかを研究しました。 脊椎動物の尻尾の発達には、100以上の遺伝子が関連していることがこれまでの研究でわかっています。シア氏らの研究チームは、「尻尾の発達に関連する遺伝子に含まれる少なくとも1つ以上の突然変異が、類人猿の尻尾の喪失を引き起こした」という仮説を立てて、尻尾のない類人猿と尻尾を持つサルのDNAを比較しました。 分析の結果、尻尾を持つ動物における尻尾の長さに関連しているTBXT遺伝子に、類人猿にはあるもののサルには存在しないDNAが挿入されていることがわかりました。論文の共著者であるニューヨーク大学ランゴンヘルスのイタイ・ヤナイ教授は、「ボー氏は本当に天才です。これまで少なくとも数千人が見てきたものから、違うものを見いだしたのです」と述べています。
DNAの突然変異は動物の進化において大きな役割を果たしていますが、特定の形質や機能に関わる遺伝子が直接変異する以外にも、トランスポゾンというDNAの断片がさまざまな遺伝子に挿入されることでも進化が促進される可能性があると示唆されています。今回、シア氏らの研究チームが類人猿のTBXT遺伝子に挿入されていることを発見したDNAも、Alu要素と呼ばれるトランスポゾンの一種でした。Alu要素はヒトをはじめとする霊長類にみられる遺伝因子のひとつであり、遺伝性の疾患やがんと関連していると考えられているとのこと。 DNAはリボ核酸(RNA)に転写されてからタンパク質にコードされますが、転写されたすべてのRNAがタンパク質にコードされるのではなく、タンパク質にコードされる前にスプライシングというプロセスでRNAの一部が排除されます。この際、タンパク質にコードされる遺伝子配列をエクソンと呼び、コードされないものをイントロンと呼びます。 類人猿における尻尾の喪失に関連することがわかったAlu要素は、最終的にタンパク質となるエクソンではなく、スプライシングで排除されるイントロンに挿入されていました。研究チームは、ヒトと類人猿のTBXT遺伝子内の同じ位置にとどまるAlu要素がスプライシングに影響を与え、最終的に作られるタンパク質のコードと構造を変化させていたと報告しています。 実際に研究チームが、ヒトのTBXT遺伝子にみられるAlu要素をマウスに挿入したところ、マウスの尻尾が欠損または短くなることが示されました。また、尻尾を失ったマウスでは神経管の形成不全による二分脊椎の有病率が高いことも判明しました。 ヤナイ氏は、「今後の実験では、ヒトが尻尾を失ったことが、ヒトの新生児の1000人に1人に見られる二分脊椎のような神経管の先天性欠損症に関与したという、古代の進化のトレードオフが検証される予定です」とコメントしました。
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