http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/849.html
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2023年6月25日 07時27分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/258816?rct=national
生物のDNAに起こる「突然変異」は主に細胞分裂がきっかけになると考えられてきました。ところが実際は、細胞分裂のときだけではなく、細胞中で普段から起きていることが分かってきました。九州大の佐竹暁子教授らが熱帯の樹木を調べて明らかにしました。
細胞分裂ではDNAが複製され、それぞれの細胞に受け継がれます。ところが複製ミスが起きてDNA配列の一部が書き換わることがあります。これが突然変異の主要因だと考えられていました。
佐竹さんらはボルネオ島の熱帯雨林でフタバガキ科に属する樹木、S種とF種を調べました。それぞれ2本ずつを選び、枝や幹など各部から細胞を採り、DNAに蓄積されている突然変異の数を調べました。4本とも40〜50メートルの大木です。
まず、根元に近い枝と、てっぺんに近い枝の細胞のDNAを比べるなどして、木が1メートル伸びるごとに突然変異がどれだけ起こって蓄積されるかを調べました。すると、同じ1メートル成長する間に、S種ではF種の約3.7倍の突然変異が起こって蓄積されていることが分かりました。
S種とF種の細胞の大きさはほぼ同じなので、枝や幹を1メートルだけ伸ばすのに必要な細胞分裂の回数は、ほぼ同じのはずです。でも、突然変異の量は何倍も違ったのです。突然変異が主に細胞分裂で起こると考えると説明できません。
佐竹さんは時間に着目しました。S種は成長が遅く、F種は成長が早い種なのです。調べた木の高さはS種、F種とも平均で約44メートルですが、樹齢はS種が平均256年、F種が平均67年でした。同じ長さだけ成長するのにS種はF種の約3.8倍の時間がかかっているのです。
つまり、突然変異の蓄積は、成長した量(細胞分裂の回数)ではなく、樹齢(時間)に比例していたのです。
細胞分裂の時期ではなくても、普段、何らかの理由でDNAが損傷を受けて突然変異が起こることがあります。今回の結果は、そうした突然変異のほうが、細胞分裂で起こる変異より多いことを示しています。ひとつの枝先で年に1回ぐらいの頻度で変異が起こることが分かりました。樹木には多くの枝があるので1本の木全体では年間で何百もの変異が起こることになります。
佐竹さんは「突然変異は生物の多様性を生む原動力。今回の結果は熱帯雨林の樹木が多様性に富むのはなぜか、その多様性を守るにはどうすればよいか、などを考える手掛かりになる」と話します。 (永井理)
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