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ルリボシカミキリ(写真:松本 泉)
日本の甲虫はすごい、その多様さの理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170706-00010001-nknatiogeo-sctch
ナショナル ジオグラフィック日本版 7/6(木) 9:49配信
甲虫のすごさを一言で述べるとしたら、それは「多様性」である。世界で約38万種が知られており、実際にはその数倍は生息していると考えられている。甲虫は昆虫綱の「コウチュウ目」という分類群に属する昆虫の総称であるが、生物界の一つの「目」として、甲虫ほど巨大なグループは存在しない。地球上の全生物(バクテリアから菌類、植物、動物などを含む)で、約190万種が知られているので、そのうちの2割は甲虫ということになる。
多様なのは種数だけではない。姿形と生活様式の多様性もずば抜けている。大きさでは、1ミリを切る微小種から、180ミリ近い大型種までさまざまである。生活環境についても、植物の葉、樹皮の下、水中、地下、アリの巣、砂漠など、種によって実に多様で、それぞれの種は環境に合わせて特化した姿形をしている。
日本の甲虫の多様性も極めて高い。たとえば、英国では約4000種の甲虫が知られており、よく研究されていることから、もう増えることはない。一方、日本ではこれまでに約1万種の甲虫が知られているうえ、毎年、100〜200種前後の新種や日本での新記録種が発見・発表されている。調査の進んでいないハネカクシ科やゾウムシ科の研究が進めば、1万5000種程度になるであろうと予測されている。日本の面積は英国の1.5倍だが、甲虫の種数は3倍以上。日本の甲虫がいかに多様かがわかる。
それはなぜか? 日本は南北に長く、亜寒帯の針葉樹林から亜熱帯の照葉樹林まで、実にさまざまな環境がある。また生物地理学的にみると、サハリンや朝鮮半島を経由してのユーラシア大陸、南西諸島や本土の太平洋岸を経由しての大陸南部や南洋諸島、さらにはベーリング海を経由しての北米大陸など、さまざまな地域の影響を受けて、独自の生物相を発達させてきたのである。
たとえば、ルリボシカミキリは日本固有種だが、ヨーロッパ、極東ロシア、中国周辺、北米にそれぞれ近縁でよく似た種がいる。そして特にロシアや中国周辺の種に近い。つまりユーラシア大陸東部の影響を強く受けて日本で独自の進化を遂げた種である。また、われわれになじみ深いタマムシだが、本種の近縁種はほぼすべて東南アジアの熱帯地域に生息している。熱帯アジアを起源としていることは明確で、日本は例外的な生息域なのである。
一見、日本に平和に暮らしている甲虫たちではあるが、それぞれがさまざまな偶然や地史の影響を受けて、今の姿がある。そう考えると、身近な甲虫を見る目が変わるのではないか。
※ ナショナル ジオグラフィック7月号特集「甲虫 生命を包む美しく硬い翅」では、日本の甲虫の美しさを精細写真で紹介します。
丸山 宗利
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