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米国の“自由研究本”は「失敗してから」が華 「間違えないということは、何かが間違っているんだ」
絶賛!オンライン堂書店
『ナショジオ式自由研究 親子でできる 楽しい科学実験』/『文字の博覧会 旅して集めた"みんぱく"中西コレクション』
2016年7月13日(水)
ザ・絶賛エディターズ
私の編集した本読んでください!
『ナショジオ式自由研究 親子でできる 楽しい科学実験』 カレン・ロマノ・ヤング著、春日井晶子訳、滝川洋二担当:日経ナショナル ジオグラフィック社 葛西陽子
もうすぐ夏休み。子どもたちの宿題のなかでも、「自由研究」は頭を悩ませるものの一つでしょう。どうせやるなら、子どもたちが楽しんでできるものを選びたい。そんなご家庭を応援したくて、『ナショジオ式自由研究 親子でできる 楽しい科学実験』を出版しました。米国のナショナル ジオグラフィックが制作した書籍の日本語版です。
原書の見本が届いたとき、米国でも“自由研究本”が出ているのかと驚いたのですが、ページをめくってまたびっくり。掲載している58個の実験は、すべて、子どもたちが実際に試したもので、その様子が実験のプロセスとともに紹介されています。
「間違えないということは、何かが間違っているんだ」
たとえば表紙にも載せた「水を光らせよう」という実験。期待と緊張を漂わせている女の子が、光った後に何ともいえない笑顔を見せてくれます。なかには難しい実験もあって、子どもたちも悪戦苦闘します。「ジャガイモ電池」は、本書のなかで何度も失敗しています。そういう場合は、「何が問題だったのか」「どうすればうまくいくのか」と誘導し、考えるヒントを与えてくれます。
原書のタイトルは「Try This!」(やってみよう!)。失敗すること、そして失敗から学ぶことを大いに推奨しています。前書きには、こんなことが書いてあります。
「間違えないということは、何かが間違っているんだ」
「その間違いを直さないと、本当に間違いがおきるよ」
「間違ったことをみとめないということは、何もしていないのと同じことだ」
日本語版を監修していただいたガリレオ工房の滝川洋二先生は、こんなふうにおっしゃっています。
「失敗を通じて工夫を体験することは、アメリカの教育の新しい方向で、この本がアメリカの教育の先端の紹介になっているのです」
「NGSSの動きを実験を通して知ることができるのがこの本です。この本の実験はすべてNGSS のどこに位置付くかが検討されて紹介されているからです」
また、本の紹介には「すべての実験はSTEMに基づく」とあります。
はて、NGSS? STEM? これって何でしょう?
競争力ある人材を育てるためのSTEM教育
調べてみると、米国から世界に広がりつつある新しい教育の潮流が「STEM教育」だということがわかりました。STEMは「Science, Technology, Engineering and Mathematics」の頭文字。STEM教育は、科学・技術・工学・数学の分野で世界をリードできる人材を育成することを狙いとしていて、米国ではその分野のカリキュラムや人材育成を手厚く行う方針を打ち出しているのだとか。
この方針に従って開発された指導要領が「次世代科学スタンダード(NGSS、Next Generation Science Standards)」。つめこみ型ではない教育、つまり実際に体験し、子どもたちに楽しんで学ぶ経験を持たせることを主眼としています。実際の体験を重視するのは、失敗もふくめた試行錯誤が、とても重要なものだと考えているからです。
本書『ナショジオ式自由研究 親子でできる たのしい科学実験』は、こうした基準にのっとって制作されたのでした。著者カレン・ロマノ・ヤングさんは、どのようにSTEMに従い、いかに子どもたちが楽しんで自ら参加することができて、最終的に科学的知識となりうるか、本書を作るために試行錯誤を繰り返したそうです。
科学的態度を小学生で身につける
本書では「人と動物」「いろいろな力」「水のはたらき」など、7つの分野、合計58種類の実験が載っています。「バイオフィルムを育てよう」「ネコのIQテスト」「ボトルの中の雲」「おばけ手袋」「アイススケーター効果」「日時計を作ろう」など楽しい実験が目白押しで、一つずつお見せしたいのですが、ここでは巻末にある「実験を考えて、まとめて、発表しよう」のパートを紹介します。
最初にこのパートを見たときに、これはレポートの定型だ、これを子どもに実践させるのか、と感心しました。大学、さらには社会人のレポートと全く同じ考え方なのです。
何を知りたいかを設定し、そのための実験方法を検討し、対照実験を設定し、どのような形にまとめるかを示す。たとえば、「他の人が見てわかるように必ず実験メモをとりましょう」といったことも書いてあります。科学的態度の基礎の基礎が身につくわけですから、大人になってから恥をかくこともないでしょう。
実際にやってみる。失敗も経験し、その原因をさぐり、解決する。そうした手法・思考方法を自然と身につけようというのが、この本なのです。失敗は大いに結構。失敗するところから、それをどうやって次に活用するのか。そして何よりも「楽しくやろう」という本です。真面目な顔で取り組む必要はありません。
マニュアル本とはひと味違います
実は私も理科嫌いで実験室に足を踏み入れるのも嫌なタイプでした。「楽しんでいいんだよ」というメッセージがあれば、もっと前向きにいられたのになあと思います。
編集部内でも、小学生の子どもを持つ親が、掲載されている実験をやってみました。白い花をカラフルに染める実験、水を吸い上げる実験など、「これをやりたい!」と子どもが身を乗り出して、親子で大いに盛り上がったとか。
さらに「実験」という体験から遠ざかっていた親の世代が、なにより楽しそうに実験の経過や成功を話すのを見るにつけ、これは理科が苦手だった親こそ、子どもと一緒にやるべきなのかもしれないと感じます。
宿題代行業までもある現在、本に載っている通りにやれば何も考えずに自由研究の体裁を整えることも可能になりました。でも、将来に役立つ知識がきちんと身につく、それでいて子どもが楽しめる本書を、ぜひ手に取っていただきたいです。
【そんな私が「やられた!」の1冊】
『文字の博覧会 旅して集めた"みんぱく"中西コレクション』
(LIXIL出版)
『文字の博覧会 旅して集めた"みんぱく"中西コレクション』(LIXIL出版)
趣味というほどのものではありませんが、海外に出ると旅先で地図を買って帰ってきます。現地の言葉で書かれた地図です。
知っているはずの世界が知らない文字で表されているのは、異国の地で道に迷うような楽しさがあります。といっても学術用途で収集しているわけでもなく、しょせん旅のお土産なので、読めもしない文字は絵画的であればあるほど異国情緒が増すというものです。
そうした不思議で楽しい「文字の形」がこの1冊で思う存分堪能できるのです。
本書は大阪にある国立民族学博物館所蔵の中西コレクションを紹介したものです。中西亮氏は印刷会社経営のかたわら、自ら世界をめぐり世界の文字を収集しました。同コレクションには、95種の文字が含まれ、世界で使用されているほぼ全ての文字が網羅されているそうです。
これって大人の…
書籍中で紹介されているもののほとんどが美しい手稿です。中西氏のコメントとともに専門家の解説も記されており、順番に読めば自然と文字の変化と伝播を理解できます。たとえば、東アジアやアメリカ大陸を除く世界の広い地域で使われている言語は、アフリカ〜地中海域から広まったことがよくわかります。
不思議な形をしていると思っていたエチオピア文字はフェニキア由来の古態を残しているのだとか、すごく可愛いエスキモー文字は作られてから日が浅いのだとか、ページをめくるごとに驚きがあります。とくに満州文字はアラム文字をはるか祖先に持つのに、乾隆帝真筆とされる巻物では、記述スタイルが完全に中国のそれに則っていて、この1枚に東西の文化が融合していることが愉快でたまりません。
あれ、これって大人の自由研究ではないでしょうか。理科的なネタがないと悩んでいた小中学生の自分に教えたいものです。
葛西陽子(かさい・ようこ)
2009年日経ナショナル ジオグラフィック社に入社。『遙かなるグルクン』(中村征夫著)『極限高地』(野町和嘉著)『ナショジオが行ってみた 究極の洞窟』(ナショナル ジオグラフィック編)『絶対に行けない世界の非公開区域99』(ダニエル・スミス著)『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編)などを担当。
このコラムについて
絶賛!オンライン堂書店
本の面白さを一番よく知っているのは、その本を仕掛け、書かせ、売る人、あるいは、他人の作った本に心から嫉妬している人。つまり、書籍の編集者だ。このコラムでは、ベストセラーを生んでいる編集者諸氏に、自ら手がけた本と、他の方の手になるお薦め本を紹介してもらいます。自分の仕事も他人の本も絶賛!オンライン堂へようこそ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/book/15/233582/071100022/
小学生~中学生まで、家庭で手軽にできる58の実験を、豊富な写真で楽しく紹介。
所要時間5分~1週間のもの、日々の調べ学習から、夏休みの自由研究の大作まで、幅広く対応。
日本の指導要綱にとらわれない、アメリカの子どもが科学力と思考力をはぐくむ実験を紹介しています。
58の実験に加え、実験をまとめ、発表するための指導も掲載。理科が楽しくなる1冊です。
滝川洋二 監修(ガリレオ工房理事長、東海大学教授)
【主な内容】
第1章 植物
第2章 虫と微生物
第3章 人と動物
第4章 水のはたらき
第5章 いろいろな反応
第6章 いろいろな力
第7章 工作
【著者紹介】
カレン・ロマノ・ヤング
科学エキスパート。児童向け雑誌「Cricket」「National Geographic World」「ギネス世界記録」などに寄稿。
米国デラウエア大学が実施した太平洋の熱水噴出孔の調査に参加。調査船アトランティス号で1カ月間航海し、潜水艇アルビンで海底探査を行った。米国コネチカット州在住。
内容(「BOOK」データベースより)
楽しくできる実験58を収録!授業とは、ひと味違う実験が盛りだくさん!幅広いジャンルの実験。やりたい実験が必ず見つかる!やってみる、考えてみる、試してみる。思考力が身につく実験です。「実験のまとめ方」「発表の仕方」も紹介。レポート作成の基礎力が早くから身につきます。
商品の説明をすべて表示する
登録情報
単行本: 144ページ
出版社: 日経ナショナルジオグラフィック社 (2016/6/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4863133529
ISBN-13: 978-4863133525
発売日: 2016/6/17
商品パッケージの寸法: 25.7 x 18.2 x 1.5 cm
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