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「ひとみ」運用断念 JAXAが正式に発表
4月28日 18時40分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160428/k10010502261000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_004
先月から通信が途絶えている日本の天体観測衛星「ひとみ」で、2つの太陽電池パネルがいずれも衛星本体から分離しているとみられることが分かりました。JAXA=宇宙航空研究開発機構は、復旧の見込みはないと判断し、「ひとみ」の運用を断念することを正式に発表しました。
ブラックホールなど宇宙の謎に迫ろうと、およそ310億円をかけて開発され、ことし2月に打ち上げられた日本の天体観測衛星「ひとみ」は先月26日に通信が途絶え、制御を失って回転するとともに、一部は分解したことが分かっています。
この問題で、JAXAは28日午後3時から記者会見を開き、これまでの解析の結果、2つの太陽電池パネルがいずれも衛星本体から分離しているとみられることが分かったことを明らかにしました。そのうえで、JAXAは、太陽電池パネルがなければ「ひとみ」の電力は回復しないことから、復旧の見込みはないと判断し、「ひとみ」の運用を断念することを正式に発表しました。
今回のトラブルの原因について、JAXAは、「ひとみ」に組み込んだプログラムのミスと、地上の担当者が送ったデータの誤りが重なったことで、「ひとみ」が異常な回転を始めてしまったとみられるとしたうえで、その遠心力で、太陽電池パネルなどが切り離されたと考えられると説明しました。
JAXAの常田佐久宇宙科学研究所長は、人為的なミスがあったことを認めたうえで、「本来は人間に誤りがあった場合でも、どこかの過程で警告や修正が行われるべきで、そうしたシステムになっていなかったことが問題だ」としました。そして、直接的な原因の究明を進めるとともに、今回のトラブルの背景にある設計や製造段階の問題、衛星本体やプログラムのチェック体制や、運用体制などの問題についても徹底して検証を進める考えを明らかにしました。
日本の人工衛星や探査機が運用断念に追い込まれるのは、エンジンの噴射に失敗し、火星を回る軌道に入ることができなかった13年前の火星探査機「のぞみ」以来です。日本の人工衛星や探査機では、その後も小惑星探査機「はやぶさ」や、金星探査機「あかつき」でトラブルが相次いでいて、JAXAの開発体制にどのような問題があるのか厳しく問われることになります。
プログラムとデータ送信にミスか
これまでのJAXAの解析で、今回の一連のトラブルは「ひとみ」のプログラムのミスや、地上の担当者が送ったデータの誤りが原因になっていると考えられています。
3月26日の午前4時すぎ、「ひとみ」は「機体が回転している」と認識し、回転を止めようとする力をかけたとみられます。ところが、実際には機体は回転しておらず、回転を止めようとする力によって、誤って機体を回転させることになってしまったとみられています。
その後、本来なら、その回転を止めるための操作が自動的に行われるはずでしたが、地上の担当者が「ひとみ」に送ったデータに誤りがあり、回転をさらに速める操作が行われてしまった可能性があるということです。この結果、「ひとみ」に異常な遠心力がかかることになり、太陽電池パネルなど衛星の一部が分解したとみられています。
JAXAは、「ひとみ」が誤った動きをしたのは、プログラムのミスが原因になっていると考え、詳しく調べています。
「宇宙の天文台」世界に影響
「ひとみ」は、JAXAがNASA=アメリカ航空宇宙局の協力も得て、およそ310億円をかけて開発した最先端技術を集めた「宇宙の天文台」です。
光では観測が難しい天体をエックス線を使って高い感度で調べるもので、JAXAによりますと、こうした高度な観測の分野では、装置が巨大化、高額化していて、1つの国で賄うことが難しくなってきているということです。
このため各国が協力して、世界で1つの観測衛星を打ち上げる協力態勢ができあがっていて、「ひとみ」は、次の衛星が打ち上げられる2020年代後半まで世界の観測の中心となるとみられブラックホールなど宇宙の謎に迫れると、世界の天文学者から大きな期待が寄せられていました。
今回の運用断念によって世界の観測計画に大きな影響が出るのは確実で、JAXAの常田理事は記者会見で「ひとみと同じような機能でより発展した衛星が打ち上げられるのは2028年。それまで12年間あるが、その間のかなりの部分をひとみが活躍することをわれわれも期待していたし、世界中の天文学者も期待していた。その期待に応えられなくて大変申し訳なく思っている」と謝罪しました。
JAXA元責任者「技術開発の蓄積ある分野で失敗」
JAXAの衛星開発の元責任者で、日本宇宙フォーラムの常務理事の吉冨進さんは、まず「300億円をかけた衛星の喪失は非常に大きく残念だ」と述べたうえで、小惑星探査機「はやぶさ」や金星探査機「あかつき」が当初予定していた観測ができなくなるなど、日本の衛星でトラブルが相次いでいることについて、「地球から遠く離れて飛行する『はやぶさ』や『あかつき』は、衛星の技術としては非常に挑戦的で難しい部分もあるが、今回のような地球を周回する衛星では、これまでの技術開発の蓄積がある。こうした衛星での失敗は、JAXAの中にもショックというか、危機感があるのではないか」と指摘しました。
そして、今回の失敗について「衛星を設計するときには、人のミスを前提にして、1つの故障が起きてもシステム全体がだめにならないようにする『フェールセーフ』という考えがあるが、今回はどこかに盲点があったと考えられる」という見方を示しました。
そのうえで「世界の宇宙開発の中で、これで日本がだめだとらく印を押されることはないと思うが、JAXAは早急に原因究明を行い、同じことが2度と起きないよう、調査結果をほかのプロジェクトにも反映させることが求められている」と話しています。
専門家「考えられないような失敗」
宇宙開発に詳しい千葉工業大学惑星探査研究センターの松井孝典所長は「基本的には考えられないような失敗で、聞いたときにはまさかと思った。外に出ていく探査であれば、まだ、いろいろな経験を積まなければならない部分もあるが、地球の周りを回って観測するものは、技術的には確立している。その部分で失敗があると、日本の技術に対する信頼に懸念も出てきてしまう」と指摘しました。
そのうえで「今回の失敗の原因がプログラミングのミスということであれば、極めて初歩的なミスで、問題はかなり深刻だ。何百億円もかけて進めるプロジェクトに対して、緊張感を持ってやることができていたのか疑問を持ってしまう。JAXAの体制も含めて、どこに問題があったのか、きちんと明らかにしないと、将来の探査への影響も懸念される。信頼の回復に向けて、まずは、原因究明を徹底してほしい」と話していました。
- 「ひとみ」運用断念 基礎的な技術の検証を〜JAXAには、徹底した検証が求められます/nhk 仁王像 2016/4/30 18:26:21
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