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中国の原油輸入、市場に臆測交錯 ガソリン需要拡大で増加 備蓄減速、伸び鈍化も
中国の原油輸入に注目が集まっている。景気懸念が高まる中、2015年の輸入量は約24億バレルと前年比9%増え、過去最高水準だ。原油安が年初からの世界的な金融市場の混乱の引き金となった。カギを握る中国需要への関心は高く、16年の輸入量の伸びを巡り市場に臆測が交錯している。
中国の原油輸入のけん引役の一つは、ガソリン需要の拡大だ。個人の自動車の保有台数は13年に1億台を突破。15年には軽減税率を打ち出した。保有車数は伸び、ガソリン需要は日量270万バレル弱と前年比で1割強増えたようだ。
国家備蓄の積み増しも需要を底上げする。15年末の国家備蓄は推定で1億9千万バレルと、前年比で約1億バレル増えた。中国は20年までに国家備蓄を5億バレルまで拡大することを目指しており、4合目まで到達したことになる。
国際エネルギー機関(IEA)は、万一に備えて、1日あたりの純輸入量の90日分の備蓄を求めている。中国は加盟国ではないが、今後の備蓄需要を見る上で参考になる。15年の純輸入量である日量約650万バレルをもとに計算すると、現状の備蓄量は約29日分に相当しIEA基準には遠く及ばない。
16年も中国の備蓄需要は続くのか。市場の見方は分かれている。サウジアラビアのジャドワ・インベストメントは強気だ。16年以降に1億2千万バレルが備蓄されると予想する。英アーガス・メディアのトム・リード氏は「原油価格が80ドルに達するまでは、原油を貯蔵し続ける」とみる。
住友商事グローバルリサーチの舘美公子氏は「原油輸入ライセンスを取得した独立系製油所が輸入を増やしている」と指摘する。石油製品の輸出を加速しているため、15年並みの原油輸入は続くと予想する。
一方で悲観的な見方もある。米価格調査のプラッツ社のソン・イェンリン氏は「戦略備蓄の減速で、16年の輸入量は6%増に鈍化する」とみる。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の竹原美佳氏も「16年に完成する国家備蓄設備は2カ所で、貯蔵能力は計3780万バレルにとどまる」と備蓄向けの輸入が減るとみている。民間備蓄が推定で約2億4千万バレルもあることもポイントだ。
官民の備蓄は4億3千万バレルと66日分に相当する。国家備蓄をみると伸びしろはあるようにみえるが、IEA基準は備蓄する主体は国家、民間を問うてはいない。目標とする5億バレルは純輸入の77日分で、官民を合わせた現状からすると余地は限られているともいえる。
景気減速も不安材料で、ガソリン消費量も流動的な面がある。16年は日量280万バレルと増えるが、伸びは鈍化する見通しだ。ガソリンと備蓄の需要が減れば、輸入量の伸びが鈍化し、原油安を招く可能性もある。
春節(旧正月)の影響で変動しやすいため1〜2月の輸入量を平均すると、中国の原油輸入量は日量710万バレルで前年同期比7%増えた。15年12月の日量780万バレルを下回る。ただ、年初のデータは実態を反映しないとの声もある。既に3月以降のデータに市場の関心は向かっている。
[日経新聞3月17日朝刊P.20]
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