http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/889.html
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スプートニク日本語の記事は、「なぜそれが米国に必要か?」というタイトルを付けながら、まっとうな答えを示しているとは言えない。
ロシアプーチン政権も、米国・韓国・日本が役に立たないとわかっていながら進めている“対北朝鮮強硬策”の背後に隠れている狙いは知っている。
ロシアや中国は、国際社会で対北朝鮮制裁の行き過ぎを押しとどめる“諫め役”を担っているが、裏を知っているのでそんな対応は必要ないとわかっている。
何より、今回の「朝鮮半島危機」シナリオには、米国・韓国・日本に加えて北朝鮮までがかんでいる。(いつものことだが)
2月の人工衛星の打ち上げは事実だが、1月の“水爆”と称した核実験は事実かどうかあやしく(6〜12個と言われる保有核爆弾を1個処理した可能性はある)、今回の「朝鮮半島危機」シナリオの幕開けを告げるイベントだったと言える。
北朝鮮も芝居が好きなので、“国際社会”から核爆弾の小型化やICBMの大気圏再突入の技術に疑問を提示されると、待ってましたとばかりに、それらに対応できているとわざわざ写真や映像を公開した。そして、制裁をあざ笑うかのように、ミサイル発射実験や核実験の準備に動いている。
意味不明というか実にわかりにくい話だが、今回の「朝鮮半島危機」シナリオの目的は、六者会合の05年9月合意を履行する“環境”をつくりだすことである。
[05年9月六者会合共同声明内容]
1)北朝鮮は、すべての核兵器と核計画を放棄
2)北朝鮮は、核拡散防止条約及び国際原子力機関の保障措置に早期復帰すことを約束
3)米国は、北朝鮮に攻撃・侵略を行う意思がないことを確認
4)米国は、北朝鮮の核平和利用の権利を尊重して適当な時期に軽水炉提供問題を議論
5)米朝は、相互の主権を尊重、国交正常化のための措置をとる
6)日朝は平壌宣言に従って、懸案の解決を基礎として国交正常化のための措置をとる
7)6ヶ国は、適当な場で朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議
これらの合意のうち、1)〜4)は既に履行されたが(4)は裏口からのようだが)、5)〜7)は未だ履行されていない。
米国は、1兆5千億円とも言われている経済協力金が北朝鮮に支払われる日朝国交正常化ののち(ミサイルや核兵器の問題が片付いたのち)、5)を履行するつもりである。
要するに、日朝国交正常化が行き詰まっていることが、朝鮮半島問題の解決を遅らせているボトルネックなのである。(北朝鮮の核やミサイルに関する動きではなく)
それで現状を打開できるとは思わないが、“危機の高まり”を演出することで、安倍政権に日朝国交正常化を急がせているのである。
(日本国民は“鈍感”なので、北朝鮮の軍事的動向に対し、気がふれたおかしな国という思いは抱いても、深刻な危機感は抱いていない。“危機の高まり”は、米国民にはそれなりの効果がある。また、日本国民の多くは、拉致問題解決と日朝国交正常化もリンクしていない)
そのようななか、六者会合の05年9月合意を履行する“環境”をつくりだす新しい動きがあった。
安倍首相は、北朝鮮が中距離ミサイルを発射した金曜日(18日)の参議院予算委員会で、「北朝鮮のミサイル発射は、日朝平壌宣言と六者会合の共同声明に違反している」と答弁した。
安倍首相が、ことさら「日朝平壌宣言」と「六者会合共同声明」を持ち出したのは、「日朝平壌宣言」と「六者会合共同声明」が死文化しておらず今なお有効であることを確認(宣言)するためである。
米国と韓国の隠れた目的は次のようなものである。
今回の「朝鮮半島危機」シナリオがもたらす米国の利益は、アジアでのプレゼンスを高めるとともに、韓国や日本にミサイル防衛システムなどを売り込むチャンスが増大することである。
“危機の高まり”が韓国朴政権にもたらす利益は、4月13日に行われる総選挙を有利に進められることである。
現在与党セヌリ党内で大問題になっているが、非大統領派議員の“公認外し”まで行うことで、与党セヌリ党の勝利だけでなく、親大統領派の勢力拡大を目論んでいる。
朴大統領は、任期中に、父親の悲願でもあった「南北統一」の道筋をなんとか付けたいと思っている。
北朝鮮だけでなく、関係諸国が揃って“瀬戸際外交”に励んでいるのが「朝鮮半島危機」の実態である。
※ 関連参照投稿
「米朝、平和協定で一時交渉 1月核実験実施で決裂:腹が据わらぬ安倍政権に日朝国交正常化を急かせるメッセージ」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/652.html
「北朝鮮 プルトニウム製造は英国型黒鉛炉・ロケットには欧州製装置・ウラン濃縮遠心分離器+軽水炉原発は米国“公認”」
http://www.asyura2.com/16/senkyo201/msg/142.html
「国民の理解も得られず憲法違反の不必要な解散を行ってまで政権の4年間延命を図ろうとする安倍首相が隠したほんとうの目的」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/835.html
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制裁は役に立たないが、なぜそれが米国に必要か?[スプートニク日本語]
2016年03月20日 00:30
タチヤナ フロニ
米国のバラク・オバマ大統領は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、ここ10年間で最も厳しい制裁を新たに導入することを決め、関連法令に調印した。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル実験がその理由だ。
新しい制裁により、米国国内のあらゆる北朝鮮国有資産が凍結され、米国から北朝鮮への投資および輸出が禁止される。また輸送、鉱業、エネルギー、金融など、あらゆる産業分野の関連資産がブロックされる。
これまでの制裁は、北朝鮮のミサイル・核開発計画を中断させるどころか、逆に、加速するよう仕向けた。では、米国の狙いは一体何なのか?
ロシア科学アカデミー経済研究所コリア研究センターのゲオルギー・トロラヤ所長によれば、米韓は長い間、ひとつの視点に凝り固まっている。「北朝鮮政権は弱いので、少し後押しするだけで瓦解する」というものである。氏はさらに次のように続けた。
「北朝鮮をめぐっては、多くの神話がある。代表的なものが、米国の主たる目的は朝鮮半島の非核化、つまり北朝鮮が核兵器を拒否することである、というものだ。実際には、金正恩が核兵器を拒否するつもりはない、ということは、誰にも明らかだ。そして米国の新しい制裁は、国連安全保障理事会の制裁と同様、状況を変えるものではない。ただし、北朝鮮と交渉をする気がある者はいない。同時に、軍事行動もまた、誰の利益にもならない。北朝鮮にとり紛争は自殺行為であるし、韓国にとっては人的犠牲と経済的損失を意味する。米国は真剣に、北朝鮮の核施設に対する「外科的」攻撃というシナリオを検討したが、米国はそうした施設が置かれている正確な場所を知らないのだ。また、このような方法で北朝鮮の核計画を終了させる目的が達成されないことは明らかだ。それで北朝鮮が報復攻撃に出ることも大いにあり得る。米国は明らかにそのようなシナリオに準備ができていない。だから北朝鮮は熱核爆弾実験や弾道ミサイル発射によって緊張を高め、神経戦を仕掛けてきているのだ。こうした条件の下では、国境周辺で局所的な小競り合いが起きることも除外できない。南北が自制できなければ、そうした小競り合いが戦争につながる可能性もある」
一方、米国は、北朝鮮の挑発的な行動を、実戦に近い条件での韓国軍との合同演習や、地域におけるプレゼンス強化のための口実として利用している。トロラヤ氏によれば、こうした動きにより、米国は、北朝鮮だけでなく中国に、一定の信号を送っているのである。
「米国は昔から中国周辺のプレゼンスを増大させる計画を持っている。当然のことながら、これは中国から神経的な反応を呼ぶ。しかし、北朝鮮政権を倒すために米韓の軍人が中朝国境に進出するというのは、ホラーの域を出ない話だろう。第一に、北朝鮮がそのような屈辱的な事を許すはずがない。第二に、中国は、米韓軍を近づけるよりは、北朝鮮を庇護することを選ぶだろう」
したがって、軍事シナリオによって北朝鮮問題を解決しようとしても、いずれの当事者も大した利益を上げない。特に米国の物質的、政治的、道徳的な損失は莫大になる。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160320/1812068.html
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