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ドナルド・トランプ氏(「Wikipedia」より/MichaelVadon)
貧困大国・米国の化けの皮…大統領選で差別主義者トランプと社会主義者の躍進を生む闇
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14261.html
2016.03.16 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
前回記事
トランプの差別・過激発言に狂喜乱舞する米国民の深い闇 まさに米国民の本音だった!
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14242.html
本連載前回記事で、アメリカ大統領選挙の混迷について、共和党のドナルド・トランプ氏の人気を中心に述べた。今回は、対する民主党の大異変について、見ていきたい。
民主党に起きている異変。それは、自らを「民主社会主義者」と称する上院議員のバーニー・サンダース氏の大躍進である。サンダース氏の健闘により、当初から大本命と見られていた前国務長官のヒラリー・クリントン氏が、意外な苦戦を強いられている。
ヒラリー氏が苦しむ理由を述べる前に、やや複雑な米大統領選の仕組みについて解説したい。本選は11月だが、まずは民主党と共和党がそれぞれ指名候補を決める予備選挙や党員集会が、2月から6月まで各州で開催される。
この予備選は、一般党員の代理人ともいえる「代議員」を選ぶものであり、この代議員が7月の党全国大会で投票することで、各党の候補が決まる。そのため、代議員数の過半数を取った候補が党の指名を勝ち取ることになる。代議員の数は州の人口や党員数によって違い、代議員の配分方式も、票数に応じて比例配分する州もあれば、勝者の総取りになる州もある。
民主党では、「一般代議員」に加えて「特別代議員」という存在がある。一般代議員は、予備選の結果に従って特定の候補に投票しなければならないが、特別代議員は自分の判断で投票することができる。そのため予備選で順調に勝っていたからといって、安心できるわけではない。
この特別代議員の多くはヒラリー氏を支持しており、そういった側面から見ても、ヒラリー氏の勝利はほぼ間違いないと見られている。しかし、一般代議員の動向を見る限り、サンダース氏の支持率が非常に高く、自由の国・アメリカにおいて社会主義者が台頭しているという現象は、今回の米大統領選の大きな特徴といえる。
ただし、このサンダース氏の躍進も、もともとリベラル色が強い民主党の内部選挙であるからこそ実現している、という面も否定できないだろう。
●巨額の金融マネーで選挙を動かしてきたウォール街
2008年のリーマン・ショックに端を発する金融危機は、アメリカ社会の基本構造を大きく変えてしまった。多くの中間層が没落すると同時に、白人をはじめとして多くの貧困者が生まれることになったからだ。
そして今、アメリカで大きなムーブメントが起きている。それは、“金融叩き”が票になるということである。
米大統領選において最大のスポンサーといわれるのが、いわゆるウォール街を中心とした金融マネーだ。金融業界は、選挙において大きな影響力を持つと同時に、政界に対しても強い力を持っていた。
しかし、今回の選挙では、ヒラリー氏がウォール街から資金援助を受けているということが大きなネガティブ要素となっている。金融業界と結びつくことで票が集まらないどころか、むしろ逆風が吹く要素になってしまっているわけだ。
これは、米大統領選における「票」と「金」という2つのバランスが、大きく変化しつつあることを示しているのではないだろうか。これまでは、金があれば、メディアを使って世論を“買う”ことができた。金がなければ、メディアを動かせないため、世論を“買う”ことはできなかった。
だからこそ、候補者は金のほうを向き、ウォール街に対して媚びを売ってきたのが現実である。しかし、それが票に結びつかないということになれば、候補者は自ずとウォール街に背を向けることになる。
●朝日新聞の慰安婦報道謝罪はなぜ起きた?
これは、インターネットの発達によるところも大きいだろう。これまでのメディアといえば、新聞やテレビなど、一方通行の情報発信が中心であった。また、同時に社会的な背景として、地域コミュニティや情報の分断化が進んだ。日本の核家族化のように、人々がバラバラになり、大きな集合体を維持することが少なくなったのだ。
そこに、「オールドメディア」や「レガシーメディア」といわれる新聞やテレビが一方的に情報を投下する、という構図になっていた。だからこそ、メディアを買収してコントロールすることが、選挙において重要な意味を持っていたのだ。これは、世論形成においても同様である。
しかし、ネットが発達した今、この構図は壊れつつある。今や、ネットは一部の専門機関や研究者だけでなく、世界中の老若男女が簡単に使いこなし、情報を取得したり意見を発信したりできるツールとなっている。
ネットにはさまざまな機能があるが、特に「アーカイブ」「議論・評論」「情報収集」「拡散」などの機能がある。これらが、レガシーメディアとネットの世界をガラリと違うものにしているといえる。
例えば、ある情報に触れた時、それが正しいものであるか、どういった経緯で生まれたものか、ネットを使って精査することができる。ネットメディアやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などによって、議論や検証、拡散が行われ、仮に間違っていた場合は徹底的に否定され、嘲笑の対象にもなり得る。
これはアメリカのみならず世界中で起きていることであり、日本においても同様である。例えば、2014年に朝日新聞は慰安婦問題に関する過去の報道について、記事訂正と謝罪を行った。これも、前述したようなネットによる議論や検証の動きが過熱したことが、少なからず影響した例といえよう。
●信頼性が揺らぐ新聞、テレビなどの旧メディア
ある意味、レガシーメディアはその場その場で情報を提供するだけで、その分析や評価がなされたことは皆無だった。しかし、ネット上では、ある論説や言説が正しいのかどうか、またその人物が過去にどんな言動を見せてきたのか、などの事実関係を考察することができる。その結果、間違った情報を提供すれば批判の対象となり、大きく信頼性を損ねることにもつながるのだ。
また、ネットの世界では「権威」というものがまったく役に立たない。レガシーメディアの常連ともいえる、頭に「御用」が付く学者や評論家ではなく、ネット上には各分野のプロフェッショナルや専門家が存在しており、即時に情報発信が可能だ。それゆえ、状況によっては、テレビで御用学者が話している内容より、ネット発の専門家のつぶやきのほうが信頼できるという構図になっている。
そのため、レガシーメディアによる情報操作が機能不全に陥りつつあるという状況が、今回の米大統領選からも見て取れる。また、それが日本でも起きている現実なのだ。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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