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[ポジション]剣が峰の米シェール企業 融資交渉次第で淘汰も
原油増産のハードル高く
原油相場が戻り歩調をたどっている。増産凍結に向けたサウジアラビアやロシアなどの協議が流動的となる中、注目は米国の生産動向。シェールオイルの減産が進み、余剰感が薄れるとの見方が相場を支えるからだ。経営難のシェール企業は金融機関との融資の交渉次第で淘汰が待ち受ける。融資交渉が集中する4月は目前だ。
米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は10日、1バレル37.84ドルと前日比0.45ドル下落した。産油国が増産凍結に向けた会合を20日に開くのは難しいと報じられたためだ。ただ、時間外でWTIは再び上昇。「産油国の協議はそもそも期待薄。むしろ米国の動向が市場の材料になる」(大手商社トレーダー)
米エネルギー情報局が9日発表した報告によると米国の2015年12月の原油生産は日量930万バレルで11年9月以来となる前年同月割れ。シェール減産の影響が大きい。シェールの4月の生産は日量487万バレルとピークの15年3月比で約60万バレル減る見込みだ。
シェール企業は昨年、高い水準で設定した先物での売りヘッジで損失を防ごうとした。それでも三井住友アセットマネジメントによれば大手7社の15年の最終損益(特損除く)は約10億ドルの赤字に転落。ヘッジを駆使しても損失を被った。
「リーマン・ショック後のエネルギー企業の破綻社数(62社)を超えるだろう」。米コンサルティング会社のデロイトが最近公表した報告が話題だ。格付け会社はエネルギー企業の格付けの引き下げを検討中。融資交渉が集中する4月以降、「金融機関は融資を打ち切る可能性がある」(マネックス証券の大槻奈那氏)。
市場では退場する企業が出ても「生産減→需給の改善→原油高→再び生産増→原油安」という流れが危惧されてきた。この流れも断ち切られる可能性がある。掘削を請け負う米ハリバートンなど石油サービス会社の苦境が象徴だ。
「値下げ圧力が続いている」。ハリバートンの経営幹部は1月、投資家に説明した。昨年1年間を通じ3割前後も工事費が下がり、大手3社の業績は悪化している。今年、最大手シュルンベルジェは1万人の削減を発表。14年後半以来、合計で2割超が会社を去ることになる。ハリバートンや米ベーカー・ヒューズもリストラが続く。「人手が減っており急な増産には対応できない」(大和証券の壁谷洋和氏)
逆風は佳境を迎えている米大統領選からも吹いている。「環境負荷の高い水圧破砕法を規制すべきだ」。大統領選の候補指名を争う民主党のヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏に共通する主張だ。水圧で岩盤を割ることで採掘が可能となっただけに、シェールの存亡に関わる。
「実現は微妙だが、シェール開発の環境負荷に改めて焦点が当たった」(デンマーク金融大手サクソバンクのオーレ・ハンセン氏)。増産へのハードルが高くなる恐れもある。シェールへの逆風が原油市場の弱気派を吹き飛ばそうとしている。
(飛田雅則)
[日経新聞3月12日朝刊P.19]
- 原油価格は間もなく再び下落の可能性 専門家警鐘を鳴らす あっしら 2016/3/16 19:06:18
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