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『ニューズウィーク日本版』2016−2・16
P.10
「キャメロンを悩ます「ブレグジット」の行方
EU残留へ向け歩み寄りを見せたが加盟国と党内保守派の説得という難題が残る
ギリシャの金融危機、難民の大量流人―大きな2つの政治的難題にさらされてきたEUに、「第3の試練」が訪れている。EU離脱をちらつかせる、イギリスの存在だ。
キヤメロン英首相が率いる保守党は、昨年5月の総選挙でEU離脱の是非を問う国民投票の実施を公約に掲げて勝利した。多くの保守党議員が支持するのはイギリス(Britain)のEU離脱(exit)を意味する「ブレグジット」。キヤメロン自身は残留支持派だが、イギリスの政治的自立の維持と移民流人の抑制を条件にEU側と再交渉を行うと明言している。
先週、EUのトゥスタ大統領は加盟国向けの書簡で譲歩案を示し、こう述べた。「私見だが、この提案はキャメロン首相のすべての懸念に答えている。それでいて、EUの理念に関しても一線は越えていないつもりだ」
イギリス国民の主な関心事は、EU入りした移民への福祉施策だ。キャメロンは、移民がイギリス国内に住む条件として、税額控除や児童手当を4年間制限する案を要求。トゥスクはこれに対し、大量の移民が急激に流入した場合に限り、キャメロンの唱える福祉制限を認める譲歩案を出した。
キャメロンはさらに、出稼ぎ外国人労働者に対し、祖国に残る子供への児童手当の送金を禁止しようとしている。トゥスクは異議を唱えつつも、代案として貧困国出身の労働者への扶助の抑制を提案した。
保守党は、「かつてないほど固い結束」というEUの政策目標をイギリスには当てはめたくないと考えている。それを反映したキャメロンの要求が、加盟各国の議会の権限強化だ。トゥスクは、イギリス側の「EUの政治統合にはこれ以上関与しない」という主張にも歩み寄りを見せ、加盟国議会の55%が反対すれば、EUの法案を却下できる方針を示した。
国民の4削が離脱に賛成
だが、実際にトウスタの譲歩案が実行されるかどうかは未知数だ。イギリスは他の加盟国を味方に引き入れなければならず、事は容易には運ばないだろう。
英議会でキャメロンはEU案に対して一定の評価を下したが、その行方は今月18日から始まるEU首脳会議で合意を得られるかどうかに懸かっている。キャメロンはそれまでにEU各国を行脚し、説得に当たらなければならない。特に、イギリスに向かう移民の経由地になっている東欧諸国を納得させるのは、骨が折れる作業になるだろう。
EU首脳会議で承認を得たとしても、キャメロンには6月の国民投票に向けた根回しという課題が残る。野党・労働党からの支持を取り付けるよりも、今回のEU案に納得していない与党内の保守派議員らを説得するほうが難題かもしれない。
先日、イギリス国内で行われた世論調査では、国民の43%がEU離脱に賛成、36%が残留、残り21%が決めかねていると答えた。ブレグジット賛成派の数は、増加傾向にある。
ブレグジットは他の加盟国だけでなく、イギリス自身にも金融市場から科学研究分野までさまざまな面で多大な影響を及ぼしかねない。また、テロや移民問題といった危機的な問題が発生した際に、イギリスが前例となりEU離脱を望む国が相次ぐかもしれない。そうした、EUの政治的基盤が揺らぐ事態も想定しておく必要がある。
ブレグジットというカードの取り扱いは本当に悩ましい―キャメロン本人が一番痛感しているはずだ。
ジョシュア・キーティング」
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英首相のEU合意案、議会で嘲笑を買う[スプートニク日本語]
2016年02月15日 23:07
キャメロン英首相は議会で英国がEUに留まる条件についての提案を行ったが、キャメロン氏の所属の保守党内のEU懐疑派は首相が予期したのとは違う反応を見せた。
議員の1人は議会中に次のような声明を行なっている。
「この合意は外見も匂いも疑わしい。見た目は輝いているかもしれないが、少し押せば中身はぶよぶよだとすぐに判明するだろう。我々の尊敬する友人には議会を前に、人糞からキャンディーを作るまでに成り下がったと認める覚悟はあるだろうか?」
合意案には政治家のみならず、マスコミも失笑している。
リサーチ・アセスメント・ポータルの「ユーゴヴ(Ugov)」の世論調査では、英国民の大多数がEU離脱を希望という結果が出た。
「EUを捨てろ」運動の活動家、ジェック・モントゴメリ氏はRTテレビからの取材に対し、「EUに加盟することで英国一世帯あたりには年間平均で3000ポンドの利益があると言われてきた。ところがこれを証明する者は何もない事が判明したんだ」と語っている。
議会内ではこれから開始される改革をめぐって状況が白熱化している。キャメロン首相は閣僚らに対し、自身がEUとの最終的な合意締結にこぎつけるまでは、EU離脱ないし存続を争うキャンペーンへの参加を禁じた。議会内のEU懐疑派は、EU離脱に賛同する政治家らが言論の自由を剥奪される一方で、EU加盟の維持の利益を唱える首相の論拠がことあるごとに発表されるのは不公平だとして、不服を訴えている。
http://jp.sputniknews.com/europe/20160215/1616486.html
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