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カリフォルニア州パサデナで開催されたローズ・パレードで、上空にスカイライティングで描かれた「Trump is disgusting(トランプにはむかつく)」の文字〔AFPBB News〕
世界中から消え始めたトランプ関連商品 過激な発言で自身のブランドを大きく毀損、次は共和党、米国も?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45790
2016.1.18 堀田 佳男 JBpress
過激な発言をすればするほどドナルド・トランプ氏(69)は自分のブランドの価値を落としている――。
暴言と呼んで差し支えない発言を繰り返している共和党大統領候補のトランプ氏。過去の大統領選では、1つの発言ミスで支持率を落として姿を消した候補も少なくなかった。
しかし同氏は暴言などものともせず、むしろ過激な意見や失言をプラスの方向に換える力を持つかにさえ見える。それでも今、「トランプ・ブランド」に傷がつき始めたとの見方が強まっている。
共和党レースでは、全米レベルで支持率トップを維持しているが、トランプ氏の言動によって自身の首を絞める結果が出始めているのも事実である。
■トランプ躍進4つの理由
本題に入る前に、なぜここまでトランプ氏が躍進しているのか。筆者の分析を簡単に述べておいたい。
1 利益団体から選挙資金を受け取らない。富裕層の献金者やロビイスト、企業・団体などから選挙資金を受け取らない。影で誰からも操られていない点が多くの有権者に評価されている。
2 ビジネスでの成功者である。4回の破産を経験しながらも、総資産87億ドル(約1兆円)を築いた手腕は並みのビジネスマンではない。破産を乗り越えたという経験も逆に評価され、政治家としても期待がかけられている。
3 本音をストレートに語る。小学校4年生でも分かる容易な英語を使い、有権者が抱く本音を言葉にしている。既存の政治家にはない発言力に一部有権者は心をつかまれている。
4 行動力への強い期待感。政治家ではないからこそという期待感がある。不動産業で多くの交渉をまとめた実績から、パレスチナとイスラエルの中東和平も「半年くれれば実現できる」と豪語する。有権者は本当に実現できるかもしれないとの思いを抱く。
既存の政治家ではないからこそ多くの課題を克服できるかもしれないとの期待がある。その一方で、多くの有権者は「危ない候補」との認識を共有する。共和党の代表候補、さらには米大統領に当選させてしまうと対外的に米国を孤立させるとの憂慮もある。
実はトランプ氏の過激な発言が繰り返されるたびに、自身が築き上げた「トランプ」という商業ブランドに傷がついている。損失は計り知れない。
同氏は1968年に父親が営む不動産会社に入社。その後、父親から受け継ぐと社名を「トランプ・オーガニゼーションLLC」に改名し、以後莫大な資産を築く。現在トランプいう名前がつく事業のほとんどは同社の下で行われている。
商業不動産の開発、投資、売買、マーケティング、管理だけでなく、住宅用不動産、ホテル、リゾート、ゴルフコースの開発も行っている。
さらに「トランプ・エンターテインメント・リゾーツ」という別会社ではカジノ経営にかかわる。しかも米国だけにとどまらず、ヨーロッパ、アジア、中東、中南米諸国にまで進出している。
また金融をはじめとする他事業にも手を伸ばしている。
■名前こそ最大の価値だったはずが・・・
すでに売却、事業中止に追い込まれたものも含めると、住宅ローン会社「トランプ・フィナンシャル」、書店「トランプ・ブックス」、テレビ制作会社「トランプ・プロダクションズ」、モデル事務所「トランプ・モデル・マネジメント」、航空会社「トランプ・シャトル」など数多くの分野にまたがっている。
「トランプ・アイス」というミネラルウォーターを製造・販売していた時期もある。ペットボトルの表面には同氏の顔写真が貼られており、自己顕示欲の強さを見せつけた。
米フォーチュン誌は2011年時、トランプ・ブランドの価値は2億ドル(約236億円)と推定。しかしトランプ氏自身は「自分のブランドの価値は30億ドル(約3540億円)に達する」と修正している。
だが昨年の出馬以来、数々の暴言によって自身のブランドの価値は下落している。
トランプ氏は米紙とのインタビューで以前、「トランプという名前こそが自己資産の中で最も重要なアイテム」と述べていたにもかかわらずだ。
昨年の出馬直後、メキシコ人に対する蔑視発言によって、米メディア大手NBCユニバーサルがミス・ユニバースのテレビ放映を中止。さらに米スペイン語放送大手のユニビジョンもミス・ユニバース関連イベントを今後一切放映しないと表明した。
米百貨店大手メーシーズはトランプ・ブランドのメンズ用アパレルを今後は扱わないと発表。それに対してトランプ氏は「NBCもメーシーズも不法移民を支援してるってことだな」と反駁したが、ブランド力の低下は免れない。
それだけではない。イスラム教徒の米国入国の禁止を言い放ったことで、その影響は世界へと飛び火した。
日本ではほとんど馴染みがないアラブ首長国連邦に本社を置くインテリア用品大手「ライフスタイル」は2015年12月9日、中東、アフリカに展開する195店舗から、トランプという名前の商品をすべて撤去することを決めた。
■世界中のイスラム教徒を敵に回す
同社CEO(最高経営責任者)サッチン・ムンドゥワ氏は「トランプ氏はイスラム教を信奉するすべての国で、自分のブランドを汚してしまった。もう誰も彼を信用しないだろう」と語ったが、問題はそれだけではない。
全世界に18億人いると言われるイスラム教徒を侮辱し、敵に回したに等しい。
また、2014年にトランプ氏が購入した英国の有名ゴルフコース、ターンベリーは買収後に「トランプ・ターンベリー」と改名。2020年全英オープンの開催地に予定されていたが、トランプ氏の数々の発言により関係者から「同地での実施はあり得ない」という声が漏れている。
米東部にあるラトガース大学経営学部のアシュワニ・モンガ教授は「自分のブランドを傷つけたことは明らか。多くの人は彼のブランドへの関心を失ったし、今後は支持しない可能性さえある」と述べている。
「ブランドが最も重要なアイテム」と述べた人物にしては大きなマイナスである。
ただ資産約1兆円を抱えるトランプ氏だけに、実質的な財政的打撃には至っていないかもしれない。大統領選で使途すると思われる100億円ほどの自己資金にしても、「ピーナッツに過ぎない」(トランプ氏)と述べている。
しかも、暴言を繰り返しても支持率は下落せず、高止まりしたままだ。
それでも共和党の代表候補になれば自身のブランドだけでなく、伝統的な共和党のブランド、ひいては米国の威信を大きく傷つける結果を招きかねない。米有権者がどう判断するのか、まずは予備選前半の結果を眺めたいと思う。
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