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シーア派指導者処刑はサウジの「国内対策」だった【サウジ・イラン断交(前編)】/川
2016年01月08日(金)16時20分
http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/01/post-6.php
(以下、抜粋)
サウジの今回の集団処刑は、サウジがイランを挑発して、国交断絶に持っていこうと仕組んだものとは考えられない。
処刑を決めたのはサウジの国内治安やテロ対策を担当する内務省である。内相は副首相を兼ねる国王に次ぐ有力者のムハンマド・ナイフ第1皇太子であり、外交的な波及を前もって勘案して、治安対策をとったとは考えにくい。あくまで国内治安を守るために、集団処刑が行われたと考えるべきである。
つまり、シーア派宗教者を処刑しても、それによりイランで大きな反響が広がるとは予期しなかったということだ。テヘランでの民衆の暴走がサウジ大使館の焼き討ちまで進むことまでは誰も予想できないとしても、イランで何らかの反発が起こると考えないようでは、それ自体がサウジ政府の外交感覚が問われることに変わりはない。
ニムル師はサウジの中での「アラブの春」を代表する顔となった。2012年にデモ弾圧の渦中で逮捕され、2014年に死刑判決を受けた。国際的な人権組織アムネスティ・インターナショナルは報告書で、ニムル師は暴力を否定し、あくまで表現の自由の行使ということで意見表明を通じての平和的な活動だったと認定している。
「最も危険な宗教者」
サウジ内務省が「テロリスト」として処刑した47人のうち、ニムル師を含む4人がシーア派活動家。それ以外はスンニ派で、特にアルカイダを支持する宗教者として2004年に逮捕され、死刑判決を受けていたファーリス・ザハラーニ師が含まれていた。
結果的にイランの民衆がニムル師の処刑に反発して暴走したために、サウジ・イランの断交という形になって国際的に大きな反響を呼び、ザハラーニ師の方はニュースにもならない。しかし、サウジ内務省が今回の大量処刑で警戒していたのは、国内のシーア派の反発ではなく、サウジの国の根幹である厳格なスンニ派の立場から王政を断罪するザハラーニ師の処刑に対するスンニ派民衆の反発だったはずである。
強硬派宗教者の処刑の背後の危機感
サウジ政府が、戦闘的サラフィー主義のイデオローグであるザハラーニ師を拘束から10年以上を経てアルカイダのメンバーとともに処刑したことは、ISによるテロが続いたことへのサウジ政府の危機感と、今年もISやアルカイダに対して強い姿勢で臨むことを示したものである。シーア派の宗教者のニムル師を、ザハラーニ師と一緒に処刑したことは、2011年と2015年の状況の変化の中で考える必要がある。
体制の危機にはならない国内のシーア派
逆に言えば、サウジのシーア派は体制にとっては深刻な脅威にはなりえないということである。それでもサウジ内務省がニムル師を処刑した第1の理由は、ザハラーニ師処刑でサウジのスンニ派の強硬派からの反発を警戒して、スンニ派厳格派を標的にして弾圧している印象を緩和するために、シーア派宗教者も付け加えたのではないか、と私は理解している。
・Re: 中東の「地殻変動」がもたらすものは、天木氏の「サウジ王制の危機」そのものではないか。軍隊も弱いしインテリジェンス
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/277.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 1 月 06 日 20:24:10: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
- 本当の危機は断交ではなく、ISを利する民衆感情の悪化(サウジ・イラン断交(後編))/川上泰徳 仁王像 2016/1/10 20:53:55
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