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シーア派指導者の死刑執行 サウジへの抗議広がる
1月4日 5時34分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160104/k10010360111000.html
イスラム教スンニ派が支配するサウジアラビアが、シーア派の指導者の死刑を執行したことを受け、シーア派のイスラム教徒が多い中東各地でサウジアラビアに対する抗議デモが広がっていて、宗派対立の先鋭化が懸念されています。
サウジアラビアが、スンニ派の王族が実権を握る政府への抗議デモを主導したなどとして、シーア派の指導者のニムル師の死刑を執行したことを受けて、シーア派の大国、イランでは抗議デモが広がり、2日、首都テヘランにあるサウジアラビア大使館が襲撃されて放火されました。
大使館の周辺には3日も数百人が集まり、治安部隊が警戒に当たるなか、ニムル師をたたえるプラカードを掲げるなどして、サウジアラビアに対して抗議の意思を示していました。
サウジアラビアへの反発は中東各地にも広がり、シーア派のイスラム教徒が多いイラクやバーレーン、それにレバノンでも抗議デモが行われました。
こうしたなか、サウジアラビア政府は声明を出し、「イランの敵対的な態度は、テロを支援し、中東地域の不安定化を狙う、その素顔を見せたものだ」と強く非難しました。
サウジアラビアは、シリアやイラク、それにイエメンなどでシーア派の勢力を支援して影響力を強めようとするイランを改めてけん制していて、中東各地でイスラム教の宗派対立の先鋭化が懸念されています。
各国のシーア派指導者が非難
サウジアラビアがイスラム教シーア派の指導者のニムル師の死刑を執行したことについて、シーア派の大国、イランの最高指導者、ハメネイ師は3日、演説を行い、「サウジアラビア政府による政治的な誤りだ。不当に流された血を神は決して見過ごさない。サウジアラビアの政治家たちは神の報復を受けることになる」と述べて、サウジアラビアの対応を厳しく非難しました。
また、イラクのシーア派の最高権威、シスターニ師や、レバノンのシーア派組織ヒズボラの最高指導者、ナスララ師も、ニムル師の功績をたたえるとともに、サウジアラビアを非難する声明を出しました。
一方、イランのロウハニ大統領は、サウジアラビアを厳しく非難しつつも、首都テヘランにあるサウジアラビア大使館が襲撃されたことについて、「どのような事情があっても正当化されるものではない」などと述べ、犯罪行為には厳正に対処する姿勢を強調しました。
死刑執行されたニムル師は
死刑が執行されたニムル師は、シーア派のイスラム教徒が多く住むサウジアラビア東部の宗教指導者で、国内では少数派のシーア派住民の信仰や職業選択の自由などの権利を保障するよう訴える活動を続けてきました。
若者から高い支持を受けたニムル師は、中東の民主化運動「アラブの春」が起きた2011年、抗議デモを主導し、反政府活動を強めました。
そして、2012年に拘束された際、治安部隊に銃で足を撃たれ、これをきっかけに支持者たちが抗議デモを行い、治安部隊との衝突で死傷者が出る事態となりました。
ニムル師は2014年、テロ行為などを扱う特別な刑事法廷で、国王に逆らい宗派対立を扇動したなどとして、死刑判決を受けていました。
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