★阿修羅♪ > 国際11 > 287.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
TPP交渉 大筋合意先送りの意味:クリントン候補の"TPPジレンマ"
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/287.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 8 月 05 日 03:38:01: Mo7ApAlflbQ6s
 


※関連参照投稿

「TPP、綱渡りの8月 3つのシナリオ検証:二国間合意の“集大成”でしかないTPP、内実が「日米FTA」でもいい米国」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/283.html

============================================================================================================-
2015年08月04日 (火) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「TPP交渉 大筋合意先送りの意味」
合瀬 宏毅 解説委員

ハワイ、マウイ島で開かれていたTPP環太平洋パートナーシップ協定の閣僚会合は、先週土曜日、大筋合意に至らず、閉幕しました。

参加12ヵ国は、会議終了後の記者会見で、今月末にも、改めて閣僚会議を開くとしましたが、そこで合意できるかどうかは不透明な状況です。今夜はTPP大筋合意見送りの背景と、今後の見通しについて見ていきます。

先月28日から始まった会議では、どの国の閣僚も今回を最後にしようと、精力的に交渉を重ねていました。ところが参加国の間で知的財産、中でもバイオ医薬品の開発データの保護期間。それに乳製品の二つの分野で、主張が対立。最後まで解消しませんでした。

まずバイオ医薬品です。
バイオ医薬品はバクテリアなど生物を使って生成される医薬品で、ワクチンなどに広く使われています。
膨大な開発費用がかかるため、大手の製薬会社を抱えるアメリカは、保護期間を12年と主張していました。
 

一方、マレーシアなどの新興国やオーストラリア、ニュージーランドなどは、これを5年以下にすることを要求。保護期間が長くなれば、ジェネリックの開発が遅れ、利用者負担が増すからです。中でも医療費を、全て国費で行うオーストラリアは、データ期間が長くなれば、それだけ財政が圧迫されるとして、強硬に反対してきました。
交渉ではルールの導入を一定期間、猶予する案も検討されましたが、結局、両者は譲りませんでした。

さらに、交渉を複雑にしたのは、乳製品の輸入拡大を求めるニュージーランドの存在でした。乳製品の競争力の強いニュージーランドは、アメリカや日本、カナダなどに、乳製品の輸入拡大を強く要求。
知的財産の分野での交渉を搦めて、乳製品の輸入拡大を、各国に迫りました。

日本などは一定の輸入枠を提案しましたが、ニュージーランドの要求はそれを遙かに上回る水準だったといいます。
甘利経済再生大臣が会議終了後の記者会見で「交渉の終盤になると、できるだけ、自分の要求をねじ込みたいという思惑が働く」というように、ニュージーランドは、最後まで強硬な姿勢を崩すことはありませんでした。

ニュージーランドが、乳製品で、いくつもの国と対立している状況では、会議全体を纏めるのは困難です。結局、交渉参加国は一旦会議を閉じて、冷却期間を設け、改めて今月中に閣僚会合を開くことで合意した模様です。

多国間交渉は良く、複雑な連立方程式を解くようなもので、交渉は最後が最も難しいと言われます。

経済規模も地理的条件も異なる12ヵ国が、21分野、31項目で駆け引きを行うわけですから、対立が激しくなるのは当然です。
ただ5年にわたる交渉の多くの部分で、合意が近かったことも事実で、早期妥結を目指してきた日米にとって、大きな誤算となりました。

その交渉の状況です。
 

31項目のうち今回、投資家保護のルールを定めた投資分野の他、他国に進出する金融機関に関する、金融サービス分野のルールなど5つでまとまり、交渉が終結したのは22となりました。
残り9つも知的財産など、一部を除いては決着は近いとされています。

また懸案となっていた日米間の農産物や自動車分野ですが、多くの分野で前進があったようです。
例えば牛肉・豚肉ですが、輸入が急増した場合に関税を引き上げることを条件に、日本が関税を10年から15年掛けて大幅に引き下げることで調整。
主食用のコメについては、7万から8万トン程度の輸入枠を日本が新たに設けることで決着できないか、交渉を進めています。

一方で、アメリカが日本の自動車部品に掛けている関税ですが、大半を協定発効後即時又は5年以内にゼロし、自動車本体については20年以上をかけてこれを撤廃する方向で交渉が進んでいます。

まだ交渉が終わったわけではないので輸入数量などは変わる可能性はありますが、日米での懸案事項はほぼ決着したようです。

甘利経済再生大臣は、会合後の記者会見で「課題は相当絞り込まれ、もう一度閣僚会議を開けば決着が出来ると思う」と述べ、安倍総理は今日、甘利大臣に対し、次の閣僚会議での大筋合意を目指し、各国との調整や協議に全力を尽くすよう指示しました。

しかし、そううまくいくかです。

今回、交渉12ヵ国の閣僚が集まったのは、アメリカで、大統領に強力な交渉権限を与える法案が成立し、アメリカが譲歩する余地が生まれたと、各国が期待したからです。

たしかに今回アメリカは各国を説得し、精力的に交渉を纏めようとはしました。
しかし最も対立が大きかったバイオ製薬のデータ保護期間では12年という自らの主張を譲ろうとはしませんでした。国内の有力産業である製薬業界への、強い配慮があったものと思われます。

またニュージーランドもいまのところ、各国への輸入拡大の要求を取り下げてはいません。
そもそもニュージーランドは、TPPの元になった経済連携のオリジナルメンバーで、例外無き関税撤廃を掲げ、高い水準の自由化の実現を目指してきました。

ところがいつの間にか後から加入したアメリカや日本が、交渉の主導権を握り、早期妥結を目指している。そうした展開に強い反発を抱いているのも確かです。

一時はニュージーランドを除外して交渉を纏めようという動きもあったようですが、他の国も同調すれば、TPPは空中分解しかねません。

このように次回、この二つの国が、譲歩する見込みがなければ、各国は閣僚会合に応じないでしょう。かなり難しい課題だと思います。
また例え、交渉が纏まっても、いくつものハードルがあります。
 

TPPが発効するためには、大筋合意後に各国で議会による批准など国内手続きをとる必要があります。
アメリカでは、大統領が条約に署名するためには、議会に90日前に通告。その後、批准案提出から議会審議まで30日をおく必要があります。

仮に8月末に大筋合意したとしても、署名は11月末、議会に諮るのは1月になる可能性があります。
アメリカでは2月以降、次期大統領の予備選に入り、政党間での協力が難しくなります。これ以上遅れれば、最悪、批准は次の大統領が動き出す2年後以降になるかもしれません。8月は大筋合意のぎりぎりのタイミングです。

言うまでも無く、TPPは日本にとって通商戦略の柱です。

二国間や多国間での、自由貿易圏作りが、世界で進む中、韓国や中国などに遅れをとった日本が、アジア太平洋地域での、新たな貿易ルール作りを目指して参加したのがTPPでした。
世界のGDPの40%を占めるTPPは今後、他の国からの参加も期待でき、そこでのルールはアジア全体の標準となる可能性があります。

そうなれば日本企業にとって大きなメリットとなります。

一方でアジア地域では、中国が経済的に大きな影響力を増しており、TPPとは別に中国主導の経済圏作りも着々と進んでいます。

もし大筋合意ができなければ、日本の通商政策は根本から、見直さざるを得なくなり、TPPを成長戦略の柱としてきた、安倍政権としても、大きな打撃となります。

日本としては、アメリカやニュージーランドに強く働きかけ、その譲歩を引き出して、閣僚会合に繋げる。こうしたことが必要です。残された時間が少なくなる中、この一ヶ月は日本経済にとっても、重要な期間となります。
 
(合瀬宏毅 解説委員)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/224415.html

=====================================================================================================================-

2015年08月04日 (火) [NHK総合]
ここに注目! 「クリントン候補の"TPPジレンマ"」
橋 祐介 解説委員

ここに注目です。先週末ハワイで開かれたTPP=環太平洋パートナーシップ協定をめぐる閣僚会合で、交渉参加12か国による大筋合意は、次回以降に先送りとなりました。アメリカ側への影響について、橋解説委員です。
 

Q1)
どこに注目しますか?

A1)
残りの任期が1年半を切ったオバマ大統領にとって、TPP妥結の成否が「時間との相当に厳しい戦い」になったのは確かですが、実は、さらに影響を受けかねない人物が身近にいるのです。「次の大統領」をめざすヒラリー・クリントン氏です。現に、クリントン氏は、TPPについては、賛否を曖昧にしたまま明確にしていないのです。
 
Q2)
なぜですか?
 

A2)
TPPを「迷路」に喩えて「賛成」のコースを進めば、そこには与党・民主党がつくる壁が立ちはだかっているからです。民主党の有力な支持基盤である労働組合は、関税撤廃によって安い海外製品が国内に大量に流入し、雇用が奪われかねないと懸念しています。党内のリベラル派も、貿易をめぐるルールが消費者ではなく、大企業にばかりに有利になってしまうと警戒しています。
クリントン氏としては、来年早々から始まる予備選挙を控えて、大統領候補としての指名獲得への影響を考えると、そうした党内の意見を無視することは出来ないのです。
 

Q3)
では、どうしてクリントン氏は、TPPに「反対」するコースを進まないのですか?

A3)
今度は野党・共和党がつくる壁が立ちはだかっているからです。クリントン氏は1期目のオバマ政権で国務長官を務めた当時、TPPを「アジア重視外交」の柱と位置づけた、いわば「旗振り役」でもありました。このため、合意に反対を唱えれば「主張に一貫性を欠く」として、ライバルの共和党陣営に格好の攻撃材料を与えてしまいます。つまり、TPPに賛成しても反対しても、クリントン氏は、壁にぶつかってしまうジレンマを抱えているのです。
 

Q4)
今後の見通しは?

A4)
オバマ大統領は、TPPをみずからの任期中の最大の業績のひとつにしたいと考えていますから、年内の署名と協定批准という「ラストチャンス」に賭けて、関係国との調整や議会からの承認の取り付けを急ぐものとみられます。しかし、クリントン氏にとっては、こうした「ふたつの壁」のいずれかを乗り越えない限り、「迷路」は抜けられそうもありません。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/224417.html

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年8月06日 18:42:53 : J73EH7M30E
安倍の目標は自分の政権が少しでも長く続くことだから、別にTPPが先送りになっても構わないと思っているさ。 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際11掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際11掲示板  
次へ