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金正恩体制3年 「独裁」の裏で
(上)外貨集め「出稼ぎ」5万人 貿易、中国へ依存なお
金正恩(キム・ジョンウン)第1書記就任から3年。北朝鮮の風景が変わりつつある。形骸化した配給制度に代わり、「チャンマダン」と呼ばれる政府公認の闇市場が全土に広がる。平壌など大都市を含め400カ所程度にも上り、食料品のほか、家電もそろう。ほとんどは中国産で、一般市民の生活物資の6〜7割を賄っているといわれる。
北朝鮮は農家や企業に資材調達や販売の自主性を認め、利益の取り分を多くする改革が進む。こうして生まれた富裕層が国から工場を借りて稼働させたり、列車や公共機関の車を使って中国の商品を主要都市に運ぶ事業を始めたりしている。
経済は小康状態
北朝鮮の実質成長率は2011〜13年で、0.8%、1.3%、1.1%と小幅のプラス成長(韓国銀行調べ)。14年もプラスの見通しで、経済はどん底から小康状態に入ったとの見方が多い。最近は天候に恵まれて食糧事情も改善し、物価も落ち着いているという。
平壌は高層ビルが立ち並び、建設ラッシュが続く。街にはスマートフォンを手にする若者の姿がみられる。暮らしは上向いているようだ。
だが「これ以上経済が上向く材料は見あたらない」と北朝鮮専門家は語る。最大輸出品目の石炭は価格が下落し、中朝関係の亀裂も影を落とす。
経済制裁に加え、慢性的な外貨、電力、食糧の「三難」が続くなかで、正恩体制が力を入れているのが外貨集めだ。
北朝鮮では政府が労働者を外国に「出稼ぎ」に派遣している。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、13年時点でロシア、中国など16カ国、計5万人に上り年12億〜23億ドルを稼ぐ。労働者数が15万〜20万人に上るとの情報もある。中東地域の建設現場の場合、賃金は1人当たり年5千ドルで、うち1000ドルを本人が手にし、残りは北朝鮮当局に送金する。「経済制裁による被害額をカバーできる水準」(KOTRA)という。
今年2月、南北協力事業の開城工業団地で、北朝鮮当局が韓国企業に北朝鮮労働者の最低賃金引き上げを一方的に通告した。このときは韓国側に拒否されたが、外貨への執着をあらわにした。
電力不足続く
エネルギー不足は相変わらずだ。「北朝鮮最大の埋蔵量を持つ茂山炭鉱が昨年11月から電力不足で稼働が中断された」。こんな情報が北朝鮮から流れてくる。
経済疲弊は構造問題でもある。核とミサイルの開発費用に年間それぞれ6億ドル前後を費やす。軍事費全体では100億ドルに達し、国内総生産(GDP)の2割を占める。
経済を下支えするのは北朝鮮の破綻を避けたい中国だ。核実験で最悪の関係になっても貿易は落ち込んでいない。北朝鮮が関係強化を急ぐロシアとの貿易は中国に比べるとわずかだ。
戦後70年を迎え、中国は修復のシグナルを送るが「正恩氏は中国に取り込まれるのを警戒している」(日朝関係筋)。韓国国防研究院の成彩基(ソン・チェギ)責任研究員は「北朝鮮が4回目の核実験を強行すれば、中国は経済で強硬な立場に転換する」と予測する。
(ソウル=峯岸博)
◇
北朝鮮の孤立が著しい。内部で何が起きているのか。正恩体制はどこに向かうのか。閉ざされた「独裁」のいまを追う。
[日経新聞4月18日朝刊P.7]
- 金正恩体制3年 「独裁」の裏で:(下)軍部掌握へ兵器に力 周辺国とは対話進まず:動き出した米国 あっしら 2015/4/20 04:37:32
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- 添付図表の追加 あっしら 2015/4/19 18:04:22
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