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M7クラスの本震の震源に近いとされる熊本県益城町の道路。アスファルトに亀裂が入り、至るところで割れ目や段差ができていた。今回の地震のエネルギーの大きさがわかる(撮影/編集部・直木詩帆)
「大地震起こらない」が常識だった九州でなぜ起こった? 九州・熊本大地震〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160427-00000269-sasahi-soci
AERA 2016年5月2日−9日合併号より抜粋
4月14日に発生した九州・熊本大地震は、さまざまな意味で「想定外」の地震だった。九州に住む人にとっては大地震の発生そのものが衝撃的だったが、一方で専門家からは「決して不思議はない」との声も上がっている。
「九州で自然災害といえば、大雨と台風。大きな地震は起こらないと思っていた」というのが、九州の人たちの「常識」だった。今回、熊本市内で話を聞いた被災者のなかには、マンションを買うときに保険会社から「熊本は地震が来ないから地震保険はかけなくても大丈夫ですよ」と言われたという人もいた。
しかし、専門家らは「大きな地震が起きても不思議はない地域だった」と口をそろえる。
日本全国には2千以上の活断層があるが、政府の地震調査研究推進本部は、地震の発生規模や確率から要注意の断層帯として100程度をピックアップ。連動して動く範囲を考慮した「活断層帯」として長期的に評価している。
産業技術総合研究所(産総研)活断層評価研究グループ主任研究員の吾妻崇さんによれば、
「20年前の阪神・淡路大震災がきっかけです。あの時は、淡路島の断層と神戸市内の断層が両方一度に動きました」
今回動いた布田川断層帯と日奈久断層帯も評価対象で、発生の可能性は「高いほう」だとされていた。
これが市民に浸透しなかったのは、活断層型地震の発生周期が長いからだ。プレート境界型地震は100〜200年ほどの周期で発生するが、活断層型は数千年単位。伝聞も記録もされていないから、「地震は起きない地域」と思ってしまう。
さらに今回、地震は布田川断層帯・日奈久断層帯だけにとどまらず、北東方向の阿蘇地方、大分県中部の別府地方へと延びた。数日後には逆の南西方向でも地震が発生。この広がりも一般市民には不可解に思えた。
「それぞれの場所で偶然に発生したのではなく、関連があると思われます。九州の地質構造から説明ができます」と産総研の吾妻さんは解説する。別府湾から島原湾までを横断するように別府─島原地溝帯が広がり、その一帯は地盤が陥没。平野など低い土地が広がっている。今回の一連の地震の震源域は、地溝帯の南の縁に沿って並んでいるのだ。地溝帯は大きな断層のようなもの。その南の断層面が動いたと解釈できる。
「地震とは点で起こるのではなく、面で破壊が進みます。阿蘇、別府と地震が頻発したのは、本震で破壊が進んでいく方向が北東だったから。今回の本震は、水平方向に地面がずれた『横ずれ断層型』でした。南西側で発生している地震は、地面が動いたことによる影響が後から出てきていると思われます」(吾妻さん)
(アエラ編集部)
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