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四国沖で震度3「南海トラフ巨大地震」予兆か 熊本地震2週間前にも三重県沖で
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160423/dms1604231530001-n1.htm
2016.04.23 夕刊フジ
益城町役場近くを歩く男性。奥の民家は16日の地震で完全に崩れたという=16日、熊本県益城町 (安元雄太撮影)
被害が大きかった阿蘇大橋 =22日、熊本県南阿蘇村 (本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)
大きく亀裂が入った畑。地震で地表に現れた断層とみられる=17日、熊本県益城町(本社ヘリから)
熊本県を襲う群発地震が収まる気配がない。震源域が活断層伝いに阿蘇山を通過、大分県に拡大するなど九州を南北に分断する様相すらみせている。西から東へ進路を取る揺れの連鎖の異常性に加え、地震学者の1人はいま海溝型の巨大地震にも注視している。発生した場合のマグニチュード(M)は東日本大震災(M9)と同級かそれ以上とされる「南海トラフ巨大地震」だ。熊本地震が起きる約2週間前、その兆候が現れたというのだ。21日夜、四国沖で起きたM4・3との関連も気になる。
熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分県で同時多発的に発生している地震は、依然として活発な活動を続けている。
気象庁によると、一時は減少に向かった地震の発生頻度は18日夜の震度5強以降、再び増加傾向に転じ、14日夜から22日午前11時までに震度1以上は793回を数えた。
気象庁の集計では、M3・5以上の地震回数は、1995年以降に内陸や沿岸部で起きた同規模の地震の余震回数と比べると、過去最多ペースという。
恐ろしいのは、熊本の群発地震が鹿児島から四国、近畿、長野へ延びる日本最大の活断層「中央構造線(MTL)断層帯」のライン上で起きていることだ。MTLは実に1000キロ以上に及び、「解明されていないだけで首都圏にも到達している」(地震学者)とも言われる。
東海大学海洋研究所教授で地震予知研究センター長の長尾年恭氏は「このMTL沿いで断層の破壊が進んでいるのは間違いない。破壊の影響は少しずつ蓄積され、ボタンが1つずつ弾けるように、今後10年でゆっくり時間をかけて関東のほうまで地震の連鎖が広がることもあり得る」と警戒感を示す。
直下型地震の恐怖は予測が困難で、いつどこで起きるのか分らないことにある。東京23区内の地下には「いまだに発見されていない活断層が複数ある」(地震学者)とされており、首都直下地震の懸念は熊本の地震でさらに高まったと言える。
この断層破壊の連鎖と前後して、長尾氏が重大な関心を寄せる地震が4月に入り、もう1つ起きた。
三重県南東沖(震源の深さ29キロ)で1日午前に発生したM6・5、最大震度4で、長尾氏は「この地点でこれほどの規模の地震が起きるのは約70年ぶり。南海トラフ巨大地震の前兆である可能性がある」と指摘する。
南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海地震の震源域である東海沖から九州沖までの太平洋海底に延びるくぼみ(トラフ)付近で連動して発生し、その規模はM8〜9級とされる。内閣府が2013年に公表した被害想定では、30年以内の発生確率は60〜70%。最悪32万3000人の犠牲者が出るとしている。
文献などによると、これまで約100〜200年の間隔で発生し、1707年の宝永地震(M8・6)や、1944年の東南海地震(M7・9)、46年の南海地震(M8)と2年を挟んで連動したケースもある。
4月1日の地震の震源である三重県南東沖は、まさにこの南海トラフ巨大地震の震源域に位置する。長尾氏によると、不気味なのは震源域が同じということだけではなく、過去発生した際と共通する特異な現象が出ている点だ。
「最近の研究で、南海トラフ巨大地震の前に、ある特徴を持った地震が起きていたことが明らかになっている。体で感じる本震の前に、体感しない微動が続くという特徴で、4月1日の地震ではこの現象が起きていた」と長尾氏は指摘し、こう続ける。
「三重県南東沖では、これまで微動の後に地震が発生するという前例がなかった。まだ1回しか起きていないので評価をしかねる部分もあるが、同じ現象が続くといよいよ南海トラフが動く準備が整ってきたということになる。巨大地震に向けたステップを確実に上がっていると言える」
21日午後23時20分ごろには、四国沖(深さ約40キロ)でM4・3、高知県室戸市で震度3の地震も起きた。
夕刊フジで「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」(木曜)を連載する武蔵野学院大の島村英紀・特任教授(地震学)は、「今回の地震は震源地が四国沖の南で起きた。これまでも西日本では、南海トラフ巨大地震との関係が深いとみられる地震が観測されており、これも一種の先駆けであった可能性がある」と解説する。激しく鳴動する大地と海底の不穏な動き。列島の下でただならぬ異変が起きている。
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