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肉・魚中心の食事は超危険!体が腐りアルツハイマー病などの病気リスク増
http://biz-journal.jp/2016/07/post_16104.html
2016.07.31 文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 Business Journal
私たちの体の中では、1日に160〜200グラムものたんぱく質が合成されているといわれています。その材料は、アミノ酸です。それも、アルファアミノ酸と呼ばれる20種類のアミノ酸の組み合わせによって、なんと2万種類ものたんぱく質を私たちの体はつくり出しているというのですから驚きです。
街で久々に友人とバッタリ会っても、そんなに変わったようには思えないかもしれませんが、細胞レベルでみると、人間の体は1年もたつと完全に別物になっています。細胞内では常にたんぱく質の分解が起き続けており、それによって生命体としての恒常性を維持し、秩序を生み出し、健康状態を保つような仕組みになっています。
その仕組みを維持し続けるために、私たちは毎日の食事から植物性、動物性を問わずたんぱく質を摂取し、それを消化・分解してアミノ酸に分解して吸収し、自分のたんぱく質をつくることに利用しているのです。
しかし、私たちは毎日160グラムものたんぱく質をすべて、食事から摂取しなければならないというわけではありません。むしろ、それだけの量を摂り続けると、確実に過剰摂取になってしまいます。なぜなら、私たちの体内では合成量とほぼ同じ量の自分のたんぱく質がアミノ酸に分解されているからです。一部、老朽化したものは廃棄処分されますが、ほとんどのアミノ酸はリサイクルされて新しいたんぱく質合成に使われているのです。
実は、たんぱく質の材料のほとんどは、食事から摂取したアミノ酸ではなく、自分のたんぱく質を分解してつくり出したアミノ酸だったのです。
この仕組みを「オートファジー」と呼んでいます。オートファジーがあるので、私たちは食事から、廃棄された分のアミノ酸に相当する分だけ補えばよいことになります。しかし、どのくらいのアミノ酸が廃棄され、不足しているのかは、おそらく数値化できないでしょう。できたとしても時々刻々変わっていくので、数値化自体が意味をなさないともいえます。
■たんぱく質は多く摂る必要なし
結局、どのようにアミノ酸を摂取するべきかは、体の微細な欲求によって判断するしかないのです。だから、体は常に敏感に保つ必要があるのです。余計なものを摂取して、体を鈍くさせるような食習慣はやめるべきです。農薬や化学肥料を無闇に使用してつくった野菜や米、劣悪な飼料とホルモン剤や抗生物質を大量に使って育てられた食肉、同じような方法で養殖された魚肉、大量の食品添加物などは、すべて体を鈍らせます。
化学調味料も体を鈍らせる物質ですが、さらに困るのは、化学調味料を使うと、その中に含まれているグルタミン酸というアミノ酸を過剰に摂取してしまい、これが体内のアミノ酸のバランスを崩してしまうことです。
特定のアミノ酸だけが過剰な状態になると、体は混乱を起こします。実際にはアミノ酸の不足がない状態であるにもかかわらず、相対的に欠乏状態が出現したと体が錯覚してしまうのです。それを「アミノ酸インバランス」といいます。アミノ酸インバランスが起きている体では、不必要なアミノ酸に対する欲求が生まれます。その不自然な欲求に従って食事をしていると、明らかにアミノ酸の過剰摂取になります。多くの現代人が、このアミノ酸の過剰摂取状態に陥っていると考えるべきでしょう。
たんぱく質は熱や、食品添加物などの化学物質によっても変性を起こしやすい物質です。なんらかの理由で変性が起きた異常なたんぱく質が神経細胞内に蓄積すると、パーキンソン病やアルツハイマー病、ハンチントン病などが起こると考えられています。
オートファジーはこのような変性疾患を起こさないようにしている可能性もあります。オートファジーについては、まだ不明なところが多く、今後の研究に期待するところが大きいのですが、私たち人類がそれほど多くのアミノ酸源、つまり植物性、動物性を問わず、たんぱく質をふんだんに食べることができない食生活が長く続いたため、生存し続けるためにこのようなシステムが体に備わっている必要があったのだと考えられています。ようするに、私たち人類はそもそも過剰に摂取したたんぱく質を体内でうまく処理できないのです。これが、たんぱく質の過剰摂取はいけないという説の根拠です。
オートファジーは、飢餓状態の時に特に激しく起こることもわかっています。食事から栄養を摂れない時は、体はその一部を分解し、それを栄養素としてたんぱく質を合成しようとするからでしょう。したがって、ファスティング(断食)などで体が活性化する時には、オートファジーが激しく起きていると考えられます。また、哺乳類の宿命として、新生児は生まれると同時に飢餓状態に陥るわけですが、その時にもオートファジーが起きているから生きていられるということも確かめられています。
■肉や魚中心の食事は、今すぐやめるべき
いずれにしても、まだ研究の余地が多々あるオートファジーですが、私たちの生命活動に非常に大きな影響を与えていることは確かなようです。私たちは、体内でリサイクルしてまで使うほど大事にしているアミノ酸や、そのアミノ酸によってつくられているたんぱく質を、日々の食生活の中で過剰に摂取して無駄に排泄するなどという愚かしい行為はやめるべきでしょう。自然の摂理に則った食事の方法を理解し、私たちの食生活が地球に負荷をかけたり、環境に悪影響を与えないようにできるはずです。
このようなことを言うと、必ず「そんなことを言っていたら食べるものがなくなる」と反論する人がいます。これまでどおりの食生活を続けることが前提であれば、確かに食べるものはなくなるでしょう。しかし、自分が変化する、成長するということを前提とした場合、いくらでも食べるものはあります。現に、すでに健康的で持続可能な食生活を実践している人は無数にいます。私は、何も菜食主義になれといっているわけではありません。適正なたんぱく質の摂取量を見定めましょうと提案しているだけです。
これまでの数十年間は、理由はさておき、肉や魚が料理の中心にありました。野菜は添え物として扱われてきました。しかし、これからの時代は違います。穀物と豆類を食事のベースに据え、多種類かつ多量の野菜をメインとし、肉や魚が添え物的になるのです。なぜなら、それが最適(オプティマル)で合理的、そして経済的な食事のあり方で、私たちを健康に導き社会を健全化していくからです。
私たちの体は繊細です。私たち自身が思っているよりもはるかに強く、食べものの影響を受けています。それを理解して、自分や家族が食べるもの、調理方法を選択し、実践しなければいけない時代がやってきます。新しい時代への過渡期には、必ず抵抗する旧勢力が存在します。しかし、これまでもそうだったように、時代が変わっていく流れを止めることはできません。その抵抗は、やがて無力になります。いつ、どの段階で、この流れを正視するかということが大事なのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
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