食道がんとお酒 食道がんとお酒の関係はよく話に聞きます。が、具体的なお酒の量と罹患率との関係は知りませんでした。たまたま見ていたテレビ番組で紹介されていました。関心のある方も多いと思いますので、見た内容などを載せます。 食道癌は、年間18000人が罹り、その内8割が男性だそうです。原因はたばこの喫煙とお酒の飲酒が大きく影響しています。 2013年4月、NHKのためしてガッテンで、「がんリスク414倍」というテーマで放送していました。その情報も追加します。 アルコールと食道がんの罹患率
日本酒を飲まない人を1として(1日の飲酒量)
1合 6倍
2合 54倍 3合 77倍 上の表は、アルコールを飲むと顔が赤くなる人の場合です。 赤くなる人は、アセトアルデヒドが体内に蓄積されます。
お酒を飲んでも顔が赤くならない人(1日の飲酒量)
1合 1倍
2合 6倍 3合 11倍 お酒に強い人はよくしたもので、食道がんに罹りにくくはなっているのですね。
日本酒1合(180ml) (アルコール22g)に相当する他の酒
缶ビール 500ml ワイン 240ml 焼酎 90ml ブランデー・ウイスキー 60ml
日本酒以外のお酒をよく飲まれる方は、上記の表で換算して日々の生活に生かしてくださいね。リスクを下げるという野菜・果物を日々取り入れてください。
がんとアセトアルデヒド アセトアルデヒドは、飲酒後に体内でエタノールの中間代謝物として生成されます。悪酔いや二日酔いの原因となります。また、アセトアルデヒドには発がん性があり膵臓がん、口腔がん、食道がん、咽頭がん、大腸がんなどの発症が高くなるそうです。 アセトアルデヒドは添加物としてタバコ製造会社によってタバコにも添加されているようです。添加する理由は、アンモニアと同様にニコチンの吸収・効果の増幅作用があり、より少量のニコチンで依存性を発揮させたり、燃焼を促進させたりするようです。 口の中をきれいにすると、アセトアルデヒドは低くなります。歯磨きやうがいはもちろんのこと、デンタルフロス、歯肉ブラシなども使って口腔内を清潔に保ちましょう。 飲酒後の睡眠、アルコール分解に悪影響 2011年1月6日の読売新聞によると、飲酒後に睡眠を取ると、アルコールの吸収や分解が大幅に遅れることが、国立病院機構久里浜アルコール症センターと札幌医科大学の共同研究でわかったそうです。 飲酒後に仮眠して車を運転することの危険性を裏付けるものとして注目されています。 札幌医大で昨年3月に20歳代の男女24人に実験をしました。体重1kg当たり0.75gのアルコール(体重60kgで45g=ビール約1リットルに相当)を摂取し、直後に4時間眠った場合と4時間眠らなかった場合を比較したら、眠った場合は眠らない場合に比べ、約2倍のアルコール濃度が検出されました。 眠ったことで、アルコールを吸収する腸の働きと、分解する肝臓の活動が弱まった可能性が高いと、松本博志・札幌医大教授は分析しています。 実験と同じ量のアルコール摂取で体重60kgの人では、一般的に、完全に分解されるのに7時間半程度かかるそうですが、睡眠を取るとさらに時間がかかることになります。 海外の研究を調べると、アルコールが完全に分解された後も少なくとも3時間は運転技能が低下することがわかっているようです。脳の神経細胞にアルコールの影響が残り、ブレーキの反応が遅れるそうです。 国立病院機構久里浜アルコール症センターの樋口進医師は、「飲酒後に仮眠を取ったから大丈夫と考えるのは危険。酔いがさめても、すぐには正確な運転ができない」と指摘しています。 食道がんのリスク最大414倍とは お酒を飲むとアルコールからアセトアルデヒドが生成され、アセトアルデヒドが肝臓で分解されて無害になります。人によっては、アルコールからアセトアルデヒドになる過程が苦手で時間がかかる人や、アセトアルデヒドから無害にする過程が苦手で時間がかかる人がいます。遺伝的に肝臓でのアセトアルデヒドの分解が苦手なタイプの人がいます。 アセトアルデヒドは、二日酔い物質、悪酔い物質とも言い、発がん性があります。 今までは、アルコールの分解が苦手な人は、肝臓が悪いからと言われていました。肝臓でアルコールがなかなか分解されないと、そのまま血液中を流れ、唾液として口の中にしみ出してきます。そして、アルコールの分解が苦手な人は、口の中の唾液に長らくアルコールがあることがわかりました。この口の中のアルコールが口内細菌によって分解されアセトアルデヒドを出し続け、そのアセトアルデヒドが喉に流れることで、食道がんの発生率が高くなることがわかったようです。食道はアセトアルデヒドから身を守る酵素が少ないということもあります。 アルコールの分解の苦手な人、得意な人と、アセトアルデヒドの分解が苦手な人、得意な人の掛けあわせとなり、以下の4つの組み合わせができます。普通に飲める人が1日1合(日本酒換算)飲み続けた場合の食道がんのリスクを1とすると、このタイプの人が1日3合以上のお酒を飲み続けた場合の数値です。 アルコールの分解とアセトアルデヒドの分解が両方共得意な人は、たくさんお酒を飲んでも食道がんのリスクは、14倍です。日本人の人口に占める割合は50%です。 アルコールの分解は得意だが、アセトアルデヒドの分解は苦手な人は、食道がんのリスクは、77倍となります。日本人の人口に占める割合は40%です。 アルコールの分解は苦手だが、アセトアルデヒドの分解は得意な人は、食道がんのリスクは、56倍となります。日本人の人口に占める割合は4%です。400万人が該当すると言われます。欧米人や黒人では、90%の人がこのタイプだそうです。 アルコールの分解もアセトアルデヒドの分解も両方苦手な人は、食道がんのリスクは、414倍となります。日本人の人口に占める割合は3%です。このタイプの可能性のある人は、顔色が変わらない、ずっと陽気、次の日も酒くさい、酒を飲み始めたころは赤くなったが今は顔色が変わらないという症状があるようです。
食道がんの特徴・症状 食道は、口から胃に繋がる管です。長さが25p、太さ2〜3p、厚さ4oだそうです。食道は、肺、心臓、胃の近くにあります。食道の壁は外に向かって粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4つの層に分かれています。 食道がん楽天 は、男性が女性の5倍罹りやすいそうです。日本人の食道がんは、約半数が胸の中の食道の真ん中から、次に1/4が食道の下1/3に発生します。食道がんは食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。食道の上皮は扁平上皮でできているので、食道がんの90%以上が扁平上皮癌です。 また、熱い物を飲んだり食べたりすると罹患率が高くなります。食道癌を発症すると、食道がしみたり、食べ物がつかえたり、体重が減ったり、胸痛・背部痛があったり、咳が出たり、声のかすれがあったりします。 気管が近にあるので息苦しく感じたりします。食道の周りにはリンパ節も多く転移しやすいようです。大動脈にも近く、大動脈破裂などにも注意が必要だそうです。 何よりも早期発見が一番です。 予防には、野菜・果物の摂取が確実とされています。 初期の食道がん
初期の食道がんは、コブのような物ではなく平らだそうです。ですから、人間ドックなどでX線検査しても見つかりにくいようです。そして、食道の周りにはリンパ節がたくさんあり転移しやすいのが特徴です。 食道がんの早期発見法 ヨウ素デンプン反応を使った検査、内視鏡検査でヨウ素液を流して見ると、食道がんの部分だけ白く見えるようです。この検査だと見逃しがないと言います。 自覚症状として、胸がしみる感じがする、物を飲み込む時に違和感があるなどの症状がある人や、中年以降酒とタバコを続けている人は要注意だそうです。最初はお酒に弱く顔が赤くなっていたが、お酒を飲み続けてその体質が変わった人は、特に注意が必要です。 病院によってはいろんな検査法があるようですから、ヨウ素液を使った検査を希望すると良いそうです。気になる方は早めに検査をしてもらいましょう。自覚症状がなくても検査をして4cmの食道がんを内視鏡で即取ってもらった人もいます。 食道がんの検査 1.内視鏡検査を受けます。食道がんが見つかったら下の検査をします。 2.CT・MRI検査で転移を調べます。 3.NBI内視鏡検査で境界がはっきりとわかります。 4.超音波内視鏡検査でがんの深さを調べます。 食道がんの治療法 1.外科療法 2.放射線療法 3.抗がん剤治療法 4.化学放射線療法 5.内視鏡的粘膜切除術 6.食道内挿管法 再発した食道がんが治る可能性は非常に少ないそうです。再発した場合には、およそ半年ぐらいの余命だそうです。放射線治療や化学療法で1年以上生きられることもありますが、がんの進行が早ければ3ヵ月以内ということもあるそうです。 消化器系のがんには、カレーが良い 消化器系のがんには、カレーが良いと言います。カレーに含まれるクルクミンががんの発生を抑えるそうです。 http://tom.as76.net/health/gan_sake.php 飲酒と食道がんの発生率との関係について http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/338.html
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果- 私たちは、いろいろな生活習慣と、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2008年現在)管内にお住まいの方々に、アンケート調査の回答をお願いしました。 そのうち、40〜69歳の男性約45,000人について、その後平成16年(2004年)まで追跡した調査結果に基づいて、飲酒と食道がんの発生率との関係について調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので、紹介します。 (Cancer Letters 2009年3月 275巻240-246ページ) 飲酒と食道がん 食道がんには腺がんと扁平上皮がんがあり、原因や性質などが異なることがわかっています。日本や中国などの東アジアでは、食道がんのほとんどは扁平上皮がんです。そのリスクが飲酒・喫煙習慣により増加することは、数多くの疫学研究によって示されています。 しかし、そこに日本人の多くが持っている「お酒を飲むと顔が赤くなる」という体質がどう影響するかについては、あまり調べられていません。そこで、日本人男性で、飲酒と喫煙による食道の扁平上皮がん(以後、食道がんと記す)との関連に、その体質がどう影響するのかについての検討を行いました。 飲酒・喫煙と食道がんとの強い関連 調査開始時のアンケート調査で、飲酒習慣の項目についての回答を基にして、 「飲まない(月に1回未満)」グループ 「時々飲む(月に1-3回)」グループ さらにそれ以上飲むグループ をアルコール量によって3つのグループに分け、合計5つの飲酒状況グループでその後の食道がんの発生率を比較してみました。 喫煙習慣については、 「吸っている(現在喫煙者)」 「吸っていたが止めた(過去喫煙者)」 「吸ったことがない(非喫煙者)」 に分け、さらに現在喫煙者について、喫煙指数(箱・年)によって20未満、20-29、30-39、40以上の4つのグループに分けました。 また、お酒で顔が赤くなる体質については、 「お酒を飲むとすぐに顔が赤くなりますか」という問いに対し 「そうである(なる)」「どちらかといえばそうである」と回答した方を「あり」
「変わらない(ならない)」を「なし」 にグループ分けしました。
約14年の追跡期間中に、215人の食道がんが確認されました。 まず、飲酒については、飲まないグループに比べ、 1日当たり日本酒にして1合以上から食道がんのリスクが上がり 1合から2合のグループで2.6倍 2合以上のグループで4.6倍 高くなっていました。 なお、 日本酒1合と同じアルコール量は、 焼酎で0.6合 泡盛で0.5合 ビールで大ビン1本 ワインでグラス2杯(240ml) ウイスキーダブルで1杯 です。
次に、喫煙については、
過去喫煙者(3.3倍)と現在喫煙者(3.7倍)では非喫煙者に比べリスクが高く、 しかも現在喫煙者では喫煙指数が高ければ高いほどリスクが上昇する (20未満の2.1倍、20-29の2.7倍、30-39の3.0倍、40以上の4.8倍)傾向が確認されました(図1)。 ヘビースモーカーだと、顔が赤くなる体質の影響を受ける
お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした。 ただし、喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れ、1日当たり2合以上の大量飲酒グループで顔が赤くなる体質の食道がんのリスクが、2合未満で顔が赤くならない体質に比べ3.4倍高くなっていました(図2)。 図1.多目的コホート研究における喫煙・飲酒と食道がんリスク 図2.喫煙指数別・飲酒への反応別 飲酒と食道がんリスク
飲酒と喫煙は食道がんの強力な原因 これまでの研究と同様に、飲酒と喫煙の食道がんと強い関連が示されました。 一方、お酒で顔が赤くなる体質については、それ自体、あるいは、飲酒による影響を介しても、食道がんリスクとのはっきりした関連は示されませんでした。※ ただし、ヘビースモーカーについては、顔が赤くなる体質が食道がんと飲酒との関連に関与していることがはっきりと現れました。 そのメカニズムはまだよくわかっていませんが、顔が赤くなる体質の人、即ち、アセトアルデヒドを分解する働きが弱いと考えられる人は、他の酵素が代わりに活発に働き、それが、たばこ煙中の発がん物質の作用を促進するのではないかという仮説などがあります。 食道がんリスクを下げるには禁煙と節酒 この研究からは、喫煙と飲酒が食道がんの大きな原因であることが再確認され、さらに、飲酒で顔が赤くなる体質のヘビースモーカーで、飲酒量が増えると食道がんリスクが高くなるという関係が示されました。 お酒で顔が赤くなることと遺伝子多型の関連、その飲酒習慣への影響については、今後の検討が必要です。どのような遺伝子タイプでも、禁煙と節酒という生活習慣の改善により、食道がんを遠ざけることができるでしょう。 ※ お酒で顔が赤くなる体質と、遺伝子多型のタイプについて
お酒を飲むと顔が赤くなったり頭が痛くなったりするのは、アルコールが体内で代謝されて出来るアセトアルデヒドの作用によりますが、それを分解する酵素ALDH2の働きの強さは、遺伝的なタイプ(遺伝子多型)によって分けられることが知られています。 過去の研究で、その働きが弱いタイプだと飲酒で食道がんになりやすいことが示されています。 今回の研究では、遺伝子多型のタイプを測定したわけではなく、アンケート調査でお酒による反応を回答していただき、赤くなる体質とそうでない体質に分けました。 われわれの別の研究で、アンケートで「お酒で顔が赤くならない」と回答した人の97%と「お酒で顔が赤くなる」と回答した人の約半数は、遺伝子多型の測定では「働きが強いタイプ」でした。 お酒で顔が赤くなる体質には、他の酵素(アセトアルデヒドの生成に関わるものなど)の遺伝子多型も関与しているという報告があります。従って、この研究においても、もし遺伝子多型によるタイプ分けをしたら今回の結果とは異なる関連が示される可能性があり、今後の研究課題です。 晩酌好きなあなたへ
食道がん、頭頸部がんのリスクを知ってください 日本では飲酒が社会の潤滑油となっているのは事実だろう。しかし、日本人の約半数はお酒に弱いタイプの遺伝子を持っており、そのような遺伝子を持つ人が飲み続けることで、食道がんなどのがんのリスクが高まることを知る人は少ないのではないだろうか?
※日本人と欧米人の食道がん
日本人の食道がんの約9割は扁平上皮がんというタイプのがんだ。この扁平上皮がんはアルコール摂取が原因で生じることが明らかになっている。 一方、欧米人の食道がんの約9割は、腺がんというタイプのがんであり、胃酸が胃から逆流する胃食道逆流症(GERD)が原因といわれている。 同じ食道がんでも、日本人と欧米人では原因が全く異なっている。 「日本からアルコールが消えたら、食道がんの発生も9割ほど減るでしょう」
と、飲酒の危険性について警鐘を鳴らすのは、京都大学医学部消化器内科准教授の武藤学氏。 喫煙によるがんの発生リスクはよく知られているが、飲酒によるがんのリスクを知る人が少ないことに危機感を募らせているようだ。 「私の食道がん患者さんでも、飲酒が原因とは聞いたことが無かったという人が多いのです」と語る。 武藤氏によると、特に、お酒を飲んで赤くなる人は要注意だ。
飲酒で赤くなるということは、アルコール分解がスムーズにいかず、アルコールが分解される過程で発生するアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすい体質を示す。 このアセトアルデヒドは、がんを発生させる毒物だ。 生物学的にいうと、このような人は、アセトアルデヒドを分解するアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)という酵素の活性が弱い。 日本人の約45%は、このALDHの活性が弱い体質(遺伝子)を持っている。 ALDH活性が弱いにもかかわらず、社会的な付き合いなどで飲みはじめ、晩酌も欠かせないとなると、アセトアルデヒドによって、食道などに炎症が発生し、この炎症からがんが発生してくるのだ。 実際、ALDH活性の弱い人が、週に5日以上、一合以上飲み続けると、食道がんになるリスクは、飲まない場合に比べて約5倍になることが明らかになっている。 「日本人の食道がんは、40歳代から増えてきて、70歳ぐらいでピークになる」 と武藤氏。食道がんは、何十年と飲み続けることで発生してくる。 また、飲酒は、食道がんだけでなく、下咽頭がんなどの頭頸部がんの発生原因にもなるため、食道がんと咽頭がんを併発する人は、15〜20%にも昇るという。 加えて、ALDHの活性が弱い人が、2合以上の飲酒を続けると、肺がんになるリスクは約4倍になることも明らかになっているという。 これは喫煙以上の肺がんリスク因子だ。 体内を巡るアセトアルデヒドで様々ながんが発生 ではなぜ、飲酒で、食道がんや頭頸部がん、肺がんの発生が増えるのだろうか。武藤氏は、動物実験の結果から、アセトアルデヒドが体内を巡ることで、がんが発生する可能性を見出している。 口から入ったアルコールは、まず、胃内でアセトアルデヒドに分解される。 ALDH活性が十分にあれば、アセトアルデヒドも胃で分解されるが、ALDH活性が不十分な場合には、このアセトアルデヒドが小腸を経由して体内に吸収される。 そして、肺で気化した後、呼気として出てくる。 呼気中のアセトアルデヒドは、口腔内の唾液などに取り込まれ、再度、体内に入り、食道などに付着する。 アセトアルデヒドは、気化しやすいが粘着性が高いという性質を持つため、肺、口腔内、食道に蓄積しやすく、それらの部位のがんの発生原因になるというのだ。 また、アセトアルデヒドは、お酒のなかにも最初からある程度含まれている。そして、お酒の種類によってその濃度に差があるという。 アセトアルデヒドの濃度が高いお酒としては、リンゴから作られるカルバドスという蒸留酒があり、この蒸留酒の産地であるフランス北部では、食道がんの発生率が高いというデータもあると、武藤氏。 ハイリスクの人は内視鏡による食道がん検診の受診を
お酒を飲むと赤くなる(ALDH活性が低い)にも関わらず飲み続けている人、すなわち、食道がんのハイリスク群は、日本の人口の1割程度と、武藤氏は推計する。そして、そのようなハイリスクの人には、早期発見のために、食道がん検診を受けて欲しいと訴える。 「食べ物、飲み物が胸につかえるといった自覚症状が出てからでは、食道がんは進行してしまっているので治る可能性は約半分です。 自覚症状が出る前に早期発見できれば、食道を温存したうえで治癒できます」 と武藤氏は力説する。 40歳になった頃から、年に1度の内視鏡による食道がん検診がお勧めだ。 ただし、食道がんの早期発見には、それなりの技能が必要と武藤氏。 そのため、日本消化器内視鏡学会が認める内視鏡の専門医がいて、がんや前がん病変を描出しやすいヨード染色や狭帯域光観察(NBI)が可能な装置を用いて検診を行っている医療機関を受診するといいという。 そしてなにより、食道がんや頭頸部がんの予防には、「飲まないに超したことはない」と武藤氏。 しかし、宴会好き、晩酌好きの日本人に対して、禁酒しようとはなかなか言えないのが実情と打ち明ける。実際、日本頭頸部癌学会も禁酒・節酒宣言として、飲酒による発がんリスクを示しているが“禁酒宣言”とまでは言えないでいるという。 「週に何回までの飲酒ならよいか?と患者さんからもよく聞かれます。 でも、週に数回と決めても、結局、毎日飲んでしまうのが人の常でしょう。 付き合い程度に飲むことに留める、すなわち、“ソーシャルドリンカーになる宣言”を是非して欲しいものです」と武藤氏は締めくくった。 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/200803/100121.html
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