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人は食べなくても生きられる
地球上に存在する生物は、
大きく二種類に分ける事ができます。
それは、独立栄養生物と従属栄養生物です。
植物は独立栄養生物に属し、
動物は従属栄養生物に属します。
ところが、地球上には独立栄養生物に属する人間が存在するのです。
何も食べないで生きている人は、
現在でも世界で10人ほど確認されています。
彼らは、空気と水と太陽の光だけで生きているのです。
不食に至るまでの過程として、
ヴェジタリアン⇒フルータリアン⇒リキッダリアン⇒ブレサリアンという段階があります。
不食になるためにはまず、
動物性食品の摂取を止めて
菜食主義者になる事から始まります。
肉を止めて、魚を止めて、卵を止めて、
乳製品を止めて、穀物を止めて、
最後は野菜と果物だけで生活し、
そして、食べる量を少しずつ減らしながら、
やがては菜食すらも止めるという形で行われます。
しかし、不食によって体が痩せ衰えていく事はありません。
腸の状態が健全になると、吸収が良くなって、
ほとんど食べなくても痩せないそうです。
体調も良くなって、
疲れにくくなりますし、
病気にもなりません。
不食になると食べ物を消化するエネルギーを使わなくなるので、
睡眠時間も短くて済みます。
現在、日本には青汁だけで生活している人が20人ほどいるそうです。
以前、『歴史ミステリー』という番組で、
明治時代の不食者を取り上げていました。
その不食者は、長南年恵さんという女性で、
20歳の頃から全く食事を摂らず、
24年間、口にするものは生水程度であったと言われています。
長南年恵さんは43歳で亡くなるまで、
10代の少女のような容姿を保っていました。
不食こそが不老への最高の近道だと言えます。
人間の基礎代謝は1300kcalです。
そのうち脳が使うのが500kcalであり、
意識不明でも500kcalは必要なので、
一日の総摂取カロリーが500kcal以下の人を仙人と呼びます。
長期間、不食を継続すると呼吸が一分間に二回と深くなります。
呼吸が二分間に三回より深くなると完全な瞑想状態になります。
血中酸素濃度は低くなり、心拍数、脈拍数も遅くなります。
脳波もアルファ波やシータ波にまで下がります。
地球上に存在するあらゆる生物の生命維持エネルギーの源は太陽光線です。
植物は光合成によって太陽光線をエネルギーに変換して体内に蓄積しています。
動物は、植物を食べる事によって太陽エネルギーを間接的に体内に取り入れています。
直接、間接を別にすれば、
生物は葉緑素の働きを通じて、
生命を維持している訳です。
しかし、植物という媒体を通さずに、
太陽光線のエネルギーを直接吸収する事もできます。
日の出間際と日没間際の太陽を
一時間凝視する習慣をつけると
食欲が湧かなくなるのです。
太陽凝視以外の方法として考えられるのが、
ブルーソーラーウォーターです。
ブルーソーラーウォーターを飲むと、
お腹が空かなくなり、全く疲れなくなります。
ブルーソーラーウォーターの作り方は、
水道水かミネラルウォーターを青色の硝子瓶に入れ、
プラスチック栓かサランラップか青色のセロファンで蓋をし、
太陽光に一時間当てるだけです。
ブルーソーラーウォーターは、
ペットボトルに移して冷蔵庫に保管する事もできます。
不思議な事に、水が甘くて美味しくなります。
蓋は必ず非金属でなければなりません。
活動エネルギーを生み出すには、電子伝達系という回路で、
一個の陽子と一個の電子で成り立っている安定した分子構造の水素を栄養素から引き離し、
ミトコンドリアの膜の内側と外側に電位差を作らなければなりません。
実は、この水素分子を引き離す仕事を太陽光線が行っているのです。
栄養素を口から摂取するだけでは、
充分なエネルギーを生み出す事ができません。
太陽の光を浴びると、
体が温まり心地よく感じられるのは、
ミトコンドリアが刺激され、
活性化するからです。
ミトコンドリアを中心として栄養学を捉え直した場合、
食べ物だけではなく、
太陽光線も栄養の一部なのだと言えるのです。
主なエネルギー源は糖質ですが、
糖質は解糖系で分解されるとピルビン酸と乳酸になります。
この際に生み出される活動エネルギーはわずかなので、
ピルビン酸はミトコンドリアに運ばれ、
電磁波や放射線のエネルギーも加味されながら、
最終的に大量の活動エネルギーが作られます。
食べ物以外の要素がいくつも加わり、
最後は燃焼とは別の形で活動エネルギーが得られます。
カロリー計算で成り立っている現代栄養学との間に大きな食い違いが生じるのも当然です。
不食になるためには、
解糖系からミトコンドリア系へとシフトする必要があります。
ブドウ糖が細胞の中に入って来ると、
細胞質では解糖という反応が起こります。
効率の悪い解糖系エネルギーを活用するには、
絶えず糖質を取り込む必要があるため、
糖が不足してしまう時間が続くとすぐに空腹になり、
猛烈な飢餓感に襲われます。
エネルギー効率のいいミトコンドリア系の世界に
入り込む事ができれば、飢餓にも適応できます。
解糖系の世界から離脱するのに最も有効な手段は、断食と断糖です。
断糖とは、今、医療現場で注目されつつある糖質制限食を意味します。
断食が食事そのものを断つ事で解糖系を縮小させるのに対し、
糖質制限食では主なエネルギー源である糖質のみを対象にして、
これを断つ事でミトコンドリア系を活性化させる訳です。
解糖系は糖質をエネルギー源にしていますから、
糖質を遮断すれば解糖系は自然に縮小するのです。
修験僧が五穀断ちをするのは、
糖質制限食によって解糖系の欲の世界から解脱し、
ミトコンドリア系優位の悟りの世界へとシフトチェンジするための知恵なのでしょう。
植物は葉緑素により、
太陽エネルギーを物質化し、
自らを生長させます。
動物は生命小体により、
太陽エネルギーを物質化し、
自らを成長させます。
通常、動物の生命活動は食物を摂る事で、
その熱エネルギーと物質変換が営まれます。
しかし、それだけでなく緊急避難時のバックアップ・システムが準備されています。
それが、解糖系エネルギーや核エネルギーによる補助システムです。
最後には不食、飢餓に備えて究極の生存システムが人体に備わっています。
それが、太陽光によるソマチッド造血です。
普段、食物から充分にエネルギーを摂っている時は、
このシステムは作動しませんが、
不食、飢餓状態になって初めてこの緊急バックアップ・システムは作動するのです。
肥満と関係が深いいくつかの遺伝子のうち、
ベータ3アドレナリン受容体遺伝子というものに変異があると、
中性脂肪の分解が抑制され、
基礎代謝量が低くなります。
この遺伝子変異は、
ネイティヴ・アメリカンのピマ族に多い事が知られています。
ピマ族は、10人に9人がこの倹約遺伝子を持っているそうです。
実は、ピマ族ほどではありませんが、
この倹約遺伝子は日本人にも多く、
約3人に1人が持つと言われています。
民族的に見ると、倹約遺伝子を多く保有している民族は、
イヌイット、ピマインディアン、日本人の順だそうです。
この倹約遺伝子を持っている人ほど飢餓には強く、
不食に向いていると言えます。
不食に対して多くの人が抱く第一の疑問は、
体の蛋白質をどうやって作っているのかという事でしょう。
その答えは、腸内細菌です。
不食者の腸内細菌の種類や割合は、
人間としてはかなり特殊で、
牛などの草食動物に近いそうです。
不食者は牛などの草食動物と同様に、
消化管の中にバクテリアが棲んでおり、
セルロースを分解してアミノ酸を合成できるのです。
では、アミノ酸の材料となるアンモニアは、
どこから調達しているのでしょうか。
私たちの体では、筋肉などの蛋白質が絶えず代謝されています。
少しずつ古いものを捨てては新しいものを作っているのです。
要らなくなった筋肉の蛋白質を分解する時、
代謝産物としてアンモニアが生じます。
アンモニアは有害なので、
体内では尿素に変えられ、
主に尿として排泄されます。
こうして捨てられるアンモニアや尿素には、
実はたんぱく質の材料になる窒素がまだかなり含まれています。
不食者は、その窒素を捨てずに再利用しているというのです。
太古の昔から、
私たち人間を含めたあらゆる動物が最も恐れていたのは、
外敵ではなく飢餓でした。
人類最古の生活様式である採集狩猟をしていた頃は、
食事の時間も回数も一定していませんでした。
獲物が捕まえられなければ数日、
時には数週間も空腹で過ごさなければならなかったのです。
人類の長い歴史を振り返ると、
ほとんどが飢餓にさらされている時代であり、
人類は、少ない食糧を効率よくエネルギーに変えながら
淘汰、進化してきた訳です。
人類は、食べた物を内臓脂肪として
効果的・効率的に蓄積する事ができる倹約遺伝子と
断続的な飢餓状態に置かれた時に
体を生き延びさせてくれる延命遺伝子を持っています。
私たち人類が飢餓状態になると、
体は老廃物を無駄に捨てるのをやめてしまいます。
無駄に出す事をやめて、
マクロファージが再利用し、
一つの無駄もなく再利用して、
あとは消化管に棲みついた腸内細菌を栄養にして、
不足分を賄って生き続けるのです。
第一段階 | 酸化エネルギー系 | カロリー理論の根拠 |
第二段階 | 解糖エネルギー系 | 酸素不要 |
第三段階 | 核エネルギー系 | 元素転換 |
第四段階 | 太陽エネルギー系 | 生命小体ソマチット |
一日一食健康法
仏教の世界には、
「一日一食は聖者の食事。一日二食は人間の食事。一日三食は動物の食事」
という言葉があるそうです。
中世の西洋には、
「一日一食は天使の生活。一日二食は人間の生活。一日三食は獣の生活」
という諺があったそうです。
平安時代の『枕草子』には、
「一日一食を一日二食にしたから疫病に罹る人が増えた」
という伝承が記されているそうです。
睡眠は、体、脳、消化器官の三つの疲労回復が目的であると言われています。
中でも消化器官の疲労回復という役割が大きく、
「一食三時間」という言葉もあるほどです。
一食三時間とは、食事を一回摂る毎に三時間の睡眠が必要で、
一日三食の人は睡眠時間が九時間になり、
一日二食にすると六時間になり、
一日一食にすると三時間の睡眠で充分になるという事です。
摂取した食べ物が完全に消化吸収されてから排泄し終えるまで約18時間かかります。
一日三食だと、胃腸を休ませる時間がありませんし、
内臓を酷使する事になります。
食事と食事の間隔を18時間以上あけるためには、
一日一食にする必要があるのです。
通常、人間は朝から夕方まで働きます。
食後の労働は胃腸に負担をかける事になります。
朝も昼も固形物はなるべく食べない方がいいのです。
つまり、夕食のみの一日一食が最も理想的なのです。
食事をすると、その消化のために血液が胃腸に集まり、
その分、脳や筋肉に回る血液が相対的に少なくなるので、
眠くなったり、だるくなったり、頭の回転が鈍くなったりします。
眠い状態で仕事をするとミスや事故が起こりやすくなります。
眠い状態で機械や乗り物の運転操作を行うと
ミスや事故が起こりやすくなります。
従って、食事は一日の労働がすべて終わった夜の時間帯にするのが理想的なのです。
病気の原因の99%は、体内に溜まった毒素です。
健康のためには、栄養の摂取よりも毒素の排出の方が重要です。
毒素の排出量が、昼食と夕食の一日二食の場合を100%とすると、
朝食と夕食の一日二食では66%、
朝食と昼食と夕食の一日三食では75%、
午後三時過ぎの一日一食では127%で、
夕食のみの一日一食が最も毒素の排出量が多いのです。
空腹が長く続くと、
腸はモチリンという排泄を促す消化管ホルモンの分泌量を増やします。
モチリンは、腸の蠕動運動を亢進させ、
腸管内に残っている内容物の排泄を促します。
モチリンが起こす胃腸の収縮は強力で、
胃壁の襞に入り込んだ老廃物まで綺麗に掃除してくれます。
胃と腸の間にある弁の幽門が開いて、
胃壁から落とされた老廃物は腸へと流れていきます。
空腹が続くとお腹が鳴る事がありますが、
この時にモチリンの分泌が高まるのです。
モチリンは、通常、空腹時間が八時間以上続くと分泌されるのですが、
食事の摂取量が多いと分泌されるまでに時間がかかってしまいます。
糖質は消化されるとブドウ糖になり、
血液中に取り込まれて血糖値を上げます。
すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から分泌されます。
インスリンの働きによって、上昇した血糖値は三時間後に元の値に戻ります。
しかし、インスリンの血中濃度が元の値に戻るのはさらに一時間後なのです。
そのため、血糖値は食事前の値より低くなり、
そこで空腹感が起こるのです。
空腹感は、血糖値の絶対値ではなく、
食事を摂る事によって上昇した血糖値と、
時間が経過して下がってきた血糖値との差である相対値によって起こるのです。
従って、なるべく血糖値を安定させるようにすれば空腹感は起こらなくなります。
朝も昼も食べなければ、
血糖値は一定のままなので、
空腹感はほとんどありません。
空腹になると血糖値は下がりますが、
血糖値を上げるメカニズムは、
体内にいくつもあります。
血糖値を上げるホルモンは、
グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、
成長ホルモンなどいくつもあります。
しかし、血糖値を下げるためのホルモンは、
膵臓から分泌されるインスリンしかありません。
つまり、私たち人間の体は空腹には適応できますが、
満腹には適応できないという事なのです。
現代栄養学では、
脳のエネルギー源はブドウ糖で、
脳はそれを貯蔵できないから、
ブドウ糖に変換される炭水化物や糖分を補給しないと
脳が活性化しないとされていますが、
糖が不足しても、
肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンを
分解して血糖値を一定に保ちます。
次に筋肉中の蛋白質がアミノ酸に分解され、
肝臓でブドウ糖を作り血液中に供給されます。
さらに外部からの糖分摂取がなくなると、
脂肪を分解する事によってその穴埋めを行います。
最終段階として脳は体内の脂肪を分解して
産生したケトン体をエネルギー源として利用します。
空腹のピーク時になると、
胃の粘膜からグレリンというペプチドホルモンが分泌されます。
グレリンは視床下部に働いて
食欲を増進させる役割を担っています。
お腹が空くと食べたくなるのは、このグレリンのせいです。
グレリンは胃から分泌された後、
血液を通じて脳下垂体に直接働き、
成長ホルモンの分泌を強く促す働きを持ってます。
グレリンは摂食促進作用物質ですので、
食事をすると分泌されなくなり、
それと同時に成長ホルモンの分泌もストップします。
一日三食という生活では、
成長ホルモンが分泌されない環境を作っている事になります。
一日一食にして、きちんと空腹を感じてから食べる事が、
成長ホルモンを分泌させ、
美容と健康を維持するために大いに貢献してくれるのです。
人を含む生物は空腹時間になると、
ミトコンドリアを増殖させ、
サーチュイン遺伝子が活性化され、
人体の組織や臓器の障害が抑えられます。
一日一食⇒空腹時間が長い⇒ミトコンドリアが増える。
一日三食⇒空腹時間が短い⇒ミトコンドリアが増えない。
朝食や昼食の摂取は、
自律神経の働きが乱れる原因にもなります。
自律神経とは、自分の意志に関係なく内臓の働きを支配し、
交感神経と副交感神経に分けられます。
交感神経は活動する際に優位に働き、
副交感神経は体を休めようとする時に優位に働きます。
人間の体は、この二つの神経によって、
活動的になったり、休養モードになったりしているのです。
朝は眠りから目覚め、
これから活動を開始する時間帯なので、
交感神経が優位に働きます。
心拍数は増え、
血管は収縮して血圧は上がり、
瞳孔は開いて、モチベーションが上がります。
ところが、食事を摂ってしまうと、
消化器系を働かせるために
副交感神経が優位に働きます。
鼓動は緩やかになり、
血圧は下がり、
瞳孔は小さくなって、
体は休養へと向かいます。
食事の後は眠くなってしまう事がありますが、
これは副交感神経の働きによるものなのです。
活動を司るのが交感神経で、
休養を司るのが副交感神経ですから、
体のリズムを考えると、
昼は交感神経が優位に働き、
夜は副交感神経が優位に働くように
心掛けるのが理想的なのです。
自律神経の働きからも
夕食のみの一日一食こそが
人間の正食と言えるのではないでしょうか。
川島四郎
小倉重成
日野原重明
甲田光雄
小山内博
久司道夫
中松義郎
黒川紀章
加藤寛一郎
福島孝徳
三枝成彰
カルーセル麻紀
森田一義
飯山一郎
釜池豊秋
田中宥久子
北野武
石原結實
船瀬俊介
南雲吉則
白澤卓二
原久子
未唯
前田紀美子
荒木飛呂彦
京本政樹
西川貴教
Gackt
内海聡
与沢翼
プーチンさんやオバマさんも一日夕食一回だそうですよ。
朝食有害説
仏教には「朝は少食、昼は正食、夜は非食」という言葉があります。
釈迦の言葉に、一日の食事を朝=一、昼=二、夜=三の合計六と考えて、
これを三に減らす事が健康に繋がるという教えがあります。
ドイツには古くから次の諺があります。
「一日三食のうち二食は自分のため、一食は医者のため」
日本で一日三食が一般的になったのは、
都市部では江戸時代中期以降、
農村部では明治時代以降です。
一日三食という食生活は200年にも満たない浅い習慣です。
人間の食生活が一日三食になったのは近年になってからで、
それまでは昼食と夕食の一日二食が主流でした。
人間にはもともと、朝食という習慣がなかったのです。
人間が朝食を摂るようになったきっかけは、
トーマス・エジソンが発明したトースターを売るために
販売業者が朝食必要論を提唱した事がきっかけであると言われています。
日本においても江戸時代中期までは原則として一日二食で、
一日三食になったのは元禄時代になってからです。
醸造酒の多量生産によって玄米を精製して白米にする事が一般に普及し、
一回の食事の栄養価が低下した事が大きな原因だと言われています。
1971年にカナダのブラウン博士が、
朝はモチリンという消化管ホルモンの分泌が増える事を発見しました。
モチリンの分泌が増えると、腸の蠕動運動が促進されます。
ところが、このモチリンは食事を摂ると分泌量が減ってしまうのです。
だから、モチリンの分泌が増える朝の時間帯は、
食事を摂らないのが正しい選択だという事です。
朝起きて間もない臓器は日中の半分以下しか機能していません。
朝は胃腸がまだ充分に覚醒しておらず、
そこに食物を詰め込むと、
負担が大きくなりすぎて、
消化が充分になされない事があります。
太陽が中天に達するまでの時間は
老廃物を排出するのに適しているのです。
午前中は主に排泄器官が働く時間で、
夜寝ている間は排泄器官も休んでいます。
この排泄しなければならない朝の時間帯に食事を摂ると、
自動的に消化吸収が始まり、
胃や小腸に血液が集中するため、
毒素や老廃物の排泄が充分行えなくなってしまいます。
飢餓の歴史が長かった人間の生理作用には、
吸収は排泄を阻害するという鉄則があり、
食べ物が消化器官に入ってくると、
自動的に排泄よりも消化吸収を優先させるのです。
その結果、毒素の排泄は充分に行われなくなり、
血液中にも毒素が残る事になります。
その汚れた血液が体内を巡る事によって、
種々の病気の発症の引き金となるのです。
本来、空腹を感じるはずではないのに
空腹感がある事を偽腹と言います。
例えば、いつも朝食を抜く人が、
付き合いでたまたま朝食を摂ったとします。
すると、昼にはいつもより早く、しかも強く空腹を感じます。
これは、胃腸が荒れ、
胃腸の粘膜に傷が付いているために起こる現象です。
胃も腸も荒れているから、
脳が胃腸に騙されて、
空腹感が生じるのです。
実は、朝起きた時に空腹を感じるのも偽腹です。
いつもは夕食後に何も食べない人が、
夜遅い時間に何かを食べたとします。
すると、翌日の午前中は普段より空腹を感じるようになります。
偽の食欲はそのまま辛抱していると自然に消えます。
人間の体は不思議なもので、
食べるからお腹が空くのです。
半日断食して胃が治ってきたら、
たとえ朝食抜きでも空腹感はなくなります。
午前中の活動は、
前日の夜までに摂取した食事のエネルギーだけで充分間に合います。
夜は筋肉も休憩し、脳でのエネルギー消費も少なくなっていますから、
前日の夜までの食事のエネルギーは血液中にたっぷりあり、
余分な分はグリコーゲンや脂肪として蓄えられています。
血液中の栄養素が少なくなると、グリコーゲン、
次に脂肪がエネルギーとして使われるので、
朝食を抜いたくらいで体がエネルギー不足に陥る事はまずありません。
最も避けるべきなのは朝の加熱食です。
消化不良を起こして胃腸を腐敗させる原因となります。
朝食を摂らない人は二種類に分ける事ができます。
@健康のために敢えて朝食を摂らない人。
A毎晩夜更かしをして睡眠不足で朝食を摂る時間がない人。
この二者を同列で語るべきではありません。
朝食必要論者は、朝食を摂らない子供は朝食を摂る習慣がある子供よりも
学校の成績が悪いという疫学データを盾にしています。
しかし、朝食を摂らない習慣の子供は、
夕食を遅い時間に摂ったり、夜更かしをしたりと、
日常生活全般が乱れている傾向が顕著な事も明らかになっています。
TV番組などでは、朝食に関する実験がよく行われています。
朝食を摂った人と摂らない人の午前中の勉強や運動の能力を比較してみますと、
大抵は朝食を摂った人の方が成績優秀で、
それが朝食必要説の裏づけとなります。
しかし、この能力実験は条件の段階で既に公正であるとは言えません。
なぜなら、普段から朝食を摂る習慣がある人を実験の対象としているからです。
朝食の習慣がある人が朝食抜きの生活に慣れるには、
通常三週間程度はかかります。
公正な実験結果を得ようと思うのであれば、
朝食抜きの人の方は朝食を徐々に減らして、
朝食抜きの生活に慣れる時期を待ち、
その時点で、両者の能力の比較をするべきです。
また、普段から朝食を摂らない人に朝食を与えて、
その変化も調べるべきでしょう。
普段から朝食を摂らない人が朝食を摂ると、
勉強や運動の能力の低下が予想されます。
某大学で学生を対象に行った調査では、
朝食を抜いた学生は成績が悪かったという結果が得られています。
その理由として、同大学の教授は、
脳のエネルギー源であるブドウ糖が行き渡らないためだとしています。
ところが、ここには落とし穴があります。
同教授は著書でNHK番組『ためしてガッテン』で行った実験の結果を紹介しています。
この実験では、朝食を抜くグループは翌日の午前中にお腹が空くであろう事を考慮して、
前日の夜にバター入りラーメンを食べてもらい、エネルギーを補給してもらっていたのです。
学生たちはこってり脂の消化にエネルギーを取られて成績が上がらなかったのです。
つまり、「朝食抜きは頭に良くない」という結論を導くための作為的実験だったのです。
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