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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
飲み会増える春は要注意 「急性アル中」の予防策と対処法
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/179867
2016年4月21日 日刊ゲンダイ
新入社員や異動の歓迎会などで、飲酒の機会が増える季節になった。4月第1週は、花見中の人など急性アルコール中毒で救急搬送された人が都内だけで100人を超えた。最悪の場合、死亡する危険もあるだけに、対処法を知っておきたい。日本救急救命士協会の鈴木哲司会長に詳しく聞いた。
急性アルコール中毒は、短時間に多量のアルコールを摂取することで起こる。胃から吸収されたアルコールは、肝臓のアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドと酢酸に分解されるが、分解が追いつかなくなるとアルコール血中濃度が上昇していく。アルコールには脳の中枢神経を麻痺させる作用があるため、血中濃度が上がると記憶障害、平衡感覚障害、運動障害などの症状がひどくなる。
こうした症状のレベルは、アルコール血中濃度によって4つに分けられている。
@ほろ酔い(血中濃度50〜100mg/dl)…全身がほてったり、顔が紅潮して陽気になる。
A酩酊(血中濃度100〜250mg/dl)…判断力が低下し、千鳥足になったり、ろれつがまわらなくなる。
B泥酔(血中濃度250〜350mg/dl)…歩けなくなり、意識が混濁して呼びかけても反応しない。激しい嘔吐も。
C昏睡(血中濃度350mg/dl以上)…体温が下がり、呼吸も弱まって昏睡状態に。呼びかけても反応がなく、死亡する危険性も高い。
■窒息と低体温に気をつける
血中濃度が200mg/dlを超えて酩酊状態になった場合は、急性アルコール中毒の危険性が高くなる。
泥酔状態でも、本人が静かに眠っていて呼吸も脈も正しい場合は、しばらく様子を見てもいい。しかし、呼びかけても反応せず、呼吸が浅くなったり、弱まっている場合は、すぐに医師の診察を受ける必要がある。
昏睡状態のまま放置しておくと死亡する可能性もあるから、すぐに救急車を呼ぶ。
救急車が到着するまでの間の対処も大切だ。
「急性アルコール中毒による死因は大きく分けて2つあります。吐瀉物が喉に詰まることによる窒息死と、体表面の血管が拡張して体温が失われ、低体温症で死亡するケースです。具合の悪くなった人がいたら、まずは衣服やタオルなどで覆って体を温めること。呼びかけても意識がない場合は、吐瀉物が喉に詰まらないように体を横向きにしてください」
もし、吐瀉物が喉に詰まってしまったら、喉に手を入れて異物をかき出すこと。呼吸が停止した場合は、救急車が来るまで一次救命処置を行う必要がある。いざというときのために、人工呼吸と胸骨圧迫による心臓マッサージはできるようにしておくといい。意識がないのに無理に立たせようとしたり、強引に水を飲ませたりするのはNGだ。
もちろん、自分が急性アルコール中毒にならないように予防策も講じておきたい。
「基本的な対策は、短時間に多量のアルコールを摂取しないことです。ただ、肝臓のアルコール分解能力は個人差が大きい。その日の体調によっても差が生じるので、“多量”といっても人それぞれです。まずは、自分の閾値を知り、体調と合わせて自己管理することが大切です」
ついつい飲み過ぎてしまう“チャンポン”を避けたり、アルコールの吸収が早くなる空腹時の飲酒は控えたり、時間をかけてゆっくり飲むのも効果的だ。
気持ち悪くなって頭がボーッとしてきたら、とにかく水を飲み、アルコールを尿と一緒に排出する。アルコールの分解を早めるチョコレートやゼリーなどの甘い物を食べるのもいい。
楽しいはずの飲み会を台無しにしないためにも、急性アルコール中毒の予防と対策は万全にしておきたい。
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