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高齢者に多い眼の病気の正しい治療法とは(※イメージ)
視力悪いと認知症になる?“眼”との正しい付き合い方〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160405-00000002-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年4月8日号より抜粋
「年だから見えなくても仕方ない」「眼を手術するのは怖い」など、白内障手術に踏み切るのはハードルが高い。しかし、手術後の成績はよく、QOL(生活の質)とともに認知機能が改善されるのではと、研究が進んでいる。現在発売中の週刊朝日MOOK「眼のいい病院」から高齢者に多い眼の病気の正しい治療法を解説する。
高齢者の視力低下は、学習や理解、記憶といった認知機能に影響を及ぼすことが、臨床研究によって明らかになってきた。奈良県立医科大学の眼科学教室が12年から県内の高齢者約3千人を対象におこなっている大規模疫学調査「藤原京アイスタディ」もその一つだ。
この調査の目的は、自分で歩くことができる65歳以上の男女に健康診断を実施し、さまざまな項目の検査結果から「元気な高齢者の秘訣」を探ること。視力などの眼科健診と、「MMSE」という認知機能検査の結果を解析し、関連を調べた。MMSEは、数値が小さくなるほど認知機能が低いと判定される。眼科学教室教授の緒方奈保子医師はこう話す。
「視力のいい人のほうが明らかに認知機能は高く保たれていました。また検査を受けた人の中には、MMSEが認知症レベルまで下がっている人も約6%含まれていて、視力の悪い人はいい人の約2倍、認知症の発症リスクが高いこともわかりました」
なぜ視力が悪くなると、認知機能も低下してしまうのだろうか。緒方医師は言う。
「眼は重要な感覚器で、脳に送られる情報の80%以上は眼を通して入ってくるといわれています。視力が低下して眼からの情報が減れば、脳に送られる情報も減少する。見えにくい状態をそのままにしておけば、脳の働きはおのずと低下してしまいます」
加齢とともに老眼や眼の病気で視力は低下していくが、白内障は「手術」で回復が期待できる。
筑波大学では、白内障手術を受けた55〜93歳の88人(認知症ではない人)を対象に、術前と手術2カ月後で「本人が感じる見えやすさ(アンケート方式)」や「認知機能(MMSE)」がどう変化したかを調べている。
その結果、術後はものが見えやすくなってQOLが向上しただけでなく、認知機能も明らかに改善した。ただし、調査対象者には「すでに認知症を発症している人」は含まれていない。前出の緒方医師はこう話す。
「われわれの調査でも、認知症の発症後に白内障手術をしても認知機能は改善しないことがわかっています。認知症は進行性の病気なので、なってしまえば認知機能を元に戻すことは期待できません。発症前に手術し、視力の改善を図ることが大事です」
白内障による視力低下で生活に不便を感じていても、手術まで時間がかかったり、手術しないままだったりする人は少なくない。
神奈川県在住の小澤和弘さん(65)は、見えづらいために外出先で転ぶのを恐れて引きこもりがちになり、口数も減った。「認知症ではないか」と心配した家族に連れられ、病院のもの忘れ外来へ。検査をしたところ認知症ではなかったが、担当医があまり見えていないことに気づき院内の眼科へ紹介してくれた。
「年なので見えにくいのは仕方がないと考えていた。自分から眼科を受診しようとは思いませんでした」
と、小澤さんは話す。白内障の手術を受けてよく見えるようになると、以前より活動的になり、ハイキングや登山にも出かけるようになった。
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