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ネット社会ではアレルギーの情報を集めやすくなった半面、間違った情報で子どもを危険にさらしてしまうリスクが高まっている(撮影/写真部・植田真紗美)
アレルギーだと思ったら大丈夫だった…「思い込み」なぜ起こる?〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160301-00000007-sasahi-hlth
AERA 2016年3月7日号より抜粋
アレルギーだと思って避けてきたのに、食べても大丈夫だった。そんな事例は珍しくない。なぜそのような、食品の「無駄な除去」は起こるのだろうか。
卵、牛乳、小麦……。特定の食物に対してアレルギー反応を起こす食物アレルギーの子どもは、乳幼児の5〜10%。原因となる食物(アレルゲン)を食べると、多くは2時間以内に、じんましんや唇の腫れ、せき込むなどの症状が現れる。重症の場合は、呼吸困難やショック状態といったアナフィラキシー(全身性の反応)を起こし、命を落とすこともある。
都内に住む真穂ちゃん(5)は生後半年でじんましんが出たことがきっかけで、近所の小児科開業医を受診した。血液検査と皮膚テストで卵と小麦に高い陽性反応が出たため、医師から除去するよう指導された。以来、母親の優子さん(40)は除去食づくりに取り組み、真穂ちゃんも友だちが食べているお菓子を横目で見ながらがまんするなど涙ぐましい努力を重ねてきた。
しかし今年初め、父親の転勤にともなって転院し、新しい主治医の指示で「食物経口負荷試験」(後述)を受けたところ、「卵にも小麦にもアレルギーはありません。普通に食べてください」と告げられた。
優子さんは病院の売店で買ったパンを恐る恐る口にする娘の姿を見て、うれしい半面、「今までの努力は何だったんだろう……」と呆然となった。
「除去食をがんばっている子どもの中には、真穂ちゃんのようにその食べ物に対するアレルギーはなく、本当は食べられる子がいっぱいいます。外来に初診で来る患者さんの中にも、そういう子どもたちが少なくありません」
こう話すのは、昭和大学講師の今井孝成医師だ。
真穂ちゃん親子のような「無駄な除去」をしてしまう最大の原因は、血液検査や皮膚テスト(アレルゲンとして疑われる物質を皮膚に直接付けて反応を見るプリックテストなど)の結果だけで、アレルギーと決めつけてしまうことだ。この段階で、医師に除去を指導されるケースも多い。
「これらの検査は『食物アレルギーの疑い』を示しているにすぎない。血液検査で陽性となったことで除去してしまうと、子どもの成長に必要な栄養までも奪いかねません。本当に除去が必要な食物を特定するためには、『食物経口負荷試験』が不可欠です」(今井医師)
食物経口負荷試験は、原因と考えられる食物を食べさせて反応を見る検査だ。この試験をすれば、「その食物に対して本当にアレルギーがあるか」に加えて、「どの程度(量)なら食べられるか」もわかる。血液検査で陽性と出ても、食物経口負荷試験で陰性になることは珍しくないという。
「原因食物によって違いますが、成長とともに免疫や消化吸収のシステムも成熟するので、鶏卵、牛乳、小麦、大豆は3歳までに5割、6歳までに8〜9割は自然な経過の中で治って、食べられるようになります。食べると症状が誘発される食物は除去しなければなりませんが、最初は除去が必要でもずっと必要なわけじゃない。そのためにも、定期的に食物経口負荷試験をして確認すべきなのです」(同)
(ライター・熊谷わこ)
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