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東京のオフィスの需給は、渋谷、新宿などがタイト。ただ2017年後半からは緩む可能性も。(撮影:今井 康一)
オフィス賃料、「2017年ピーク説」は本当か 渋谷・新宿は堅調だが、港区・中央区には懸念
http://toyokeizai.net/articles/-/78373
2015年08月01日 茨木 裕 :東洋経済 編集局記者
東京のオフィスビル賃料は回復傾向が続いている。不動産サービス大手のCBREによると、都心部の築年数の浅い大型ビル(グレードA)の今年4〜6月の月額想定成約賃料は、1坪当たり3万3600円と前年同期比で6.2%上昇。他のグレードも同様に改善している。
2007年ごろの不動産ミニバブル期において、東京全体(オールグレード)の空室率は1.2%まで低下。賃料は5万2350円のピークをつけた。が、リーマンショックを受けて市況は急激に悪化。その後も「2012年問題」と呼ばれた新築オフィスの供給過剰で低迷が長期化した。
■現在は貸す側が強い売り手市場
しかし、景気回復で足元の空室率は3.7%まで改善。おおよそ5%が売り手市場と買い手市場の境目といわれており、現在は売り手市場だ。賃料も最悪期の1坪当たり2万9050円から、3万3600円まで回復している。
賃料上昇を牽引しているのは、1フロアの面積が広く取れるオフィス。複数階や複数棟に分散した社員の集約による職場コミュニケーションの改善や、フリーアドレスなど新しいワークスタイルの導入といった、企業の新たなニーズへの対応が売りだ。
立地では丸の内が強い。「丸の内の大家」と称される三菱地所では、同地区の自社ビルの空室率が足元で1.8%まで低下。「リーマンショック後に賃料減額に応じた分、今は賃料を戻させてもらっている」(三菱地所)という。
賃料上昇トレンドは今後もしばらく続きそうだ。CBREは東京グレードAオフィスの賃料について、「2015年から2017年までの3年間で2割程度上昇する」と予想する。
だが、賃料アップが実現しているのは、立地やスペックに優れた物件に限られている。テナントを引き抜かれる立場の既存ビルの賃料は改定がなかなか進んでいない。
足元では過熱感が一部指摘されているものの、不動産ミニバブル期の水準まで賃料が短期間で駆け上がっていくことはなさそうだ。
■2017年の消費税増税が鬼門
2017年後半以降については慎重な見方が多い。不動産仲介・三幸エステートの今関豊和チーフアナリストは、「2016年の新築ビル供給が多いこと、2017年4月の消費税再増税で景気が冷えることを考えると、2017年下期あたりが潮目となる」と分析する。
都心部でもエリアによって、空室率と賃料の動向に違いが出てきそうだ。今関氏は、「渋谷区はIT業界の旺盛なオフィス需要に対して供給が足りない。新宿区も開発余地が限られて供給不足」と、“西側”の需給が逼迫していることを指摘する。
一方、港区や中央区など“東側”に関しては、新築ビルの大量供給に伴い、すでに今年に入って空室率の上昇も見られる。判明している今後のオフィスビル竣工計画を概観しても、港、中央区に集中している。
さらに空室率が上昇していくことになれば、回復途上にあった賃料の反落は、東側から始まるかもしれない。
(「週刊東洋経済」2015年8月1日号<7月27日発売>「価格を読む」を転載)
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