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焦点:日経平均がITバブル高値接近、成長戦略の持ち合い解消も好感
2015年 06月 23日 18:12 JST
[東京 23日 ロイター] - 日経平均.N225が2000年4月につけたITバブル時の高値2万0833円に接近した。ギリシャ問題の進展期待に加え、日本の成長戦略への評価も高く、海外勢の買いを誘ったとみられている。ただ、急ピッチの上昇で過熱感も強まっており、ここからの上値追いは限られるとの見方も出ている。
<持ち合い株解消に海外勢が高い期待>
23日の日経平均は、前日比で350円を超す2万0809円まで上昇。ITバブル時の高値にあと24円に迫った。ドル/円JPY=EBSは123円台後半にとどまっているが、三菱UFJ(8306.T)やみずほ(8411.T)、第一生命(8750.T)など金融株がけん引した。
金融株の買い材料となったのが、政府が22日に提示した「日本再興戦略」改訂2015(素案)における成長戦略だ。
金融機関のガバナンスや経営体質などの強化に向けた「独立社外取締役の選任」や「政策保有株式の縮小」、3メガバンクにおける経営支援機能の発揮を目的とした「株価変動リスク等の縮減」などを盛り込んだ。
持ち合い株式について「議決権行使のあり方の検討」や「保有目的の記載」にとどまっていた前回の成長戦略とは一線を画し、持ち合い解消に向けて一歩踏み込んだことが評価されたという。
メガバンク3行の政策保有株式は、推計で6.4兆円。売却資金で自社株買いを実施すれば銀行株にとって需給面での後押しとなりやすいが、政策保有株式の放出は市場全体に重しとなる可能性がある。
需給的には決してプラスとは言えない材料だが、市場では持ち株解消が日本企業のコーポレート・ガバナンス改善につながるとの期待が大きい。
ゴールドマン・サックス証券アナリストの田中克典氏は、今回の持ち合い解消に関する言及を受けて「政策保有株の問題を成長戦略で取り上げることは、コーポレートジャパンとしての課題であるということの明確化の表れであり、(政策保有株売却の加速に必要な)事業会社の理解を得る上では、重要なポイント」と指摘した。
BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏も「金融株は金利低下に伴い足元で調整していたため、いったん見直し買いや買い戻しが入った側面も大きい」としながらも「海外投資家にとって、持ち合い解消の動きは日本のガバナンス改善の象徴として重要視され、日本株に対する評価が高まりやすい」と述べている。
今回の「日本再興戦略」では、ロボットやIoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータの活用など生産性の向上が掲げられ、CYBERDYNE (7779.T)や菊池製作所 (3444.T)など関連銘柄への物色を誘った。「息の長いテーマ株として物色されやすい」(松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)という。
<ポジション整理一巡で需給改善>
上値をとっていく買い方は、やはり海外勢が主体とみられている。6月第2週と第3週の海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は、計1兆0674億円の売り越しとなっており、ポジション整理の進展で買いも入れやすくなっていたようだ。
6月12日のメジャーSQ(特別清算指数)通過に伴い、裁定買い残高は24億株台から足元で17億株台へと大幅に減少。短期筋による売りは一巡したとみられている。今週は株主総会がピークとなるため、信託経由の売りが出にくく株高地合いが崩れないとの期待も出ているという。
22日のユーロ圏緊急首脳会議で、ギリシャ政府が新たに提出した財政再建策を評価し、週内にも支援策の合意に至るとの期待が広がった。ギリシャ問題に対しても楽観的な見方が広がったことで「欧米株が大幅に上昇し、海外投資家を中心にリスクをとりやすくなった」(大手証券)という。
6月第4週以降は「6月決算を確定させた欧米投資家が、新たな資金を配分する傾向がある」(大手証券トレーダー)との指摘もある。朝方には海外投資家とみられる大口の買い注文が複数観測され、売り方の買い戻しを誘ったとみられている。
もっとも、日経平均は2日間で600円を超す上昇となり、急ピッチな上げに対する警戒感から、上値は限られるとの見方もある。
みずほ証券・シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は「米国株の上値の重さが気掛かりなうえ、日本株の割安感も乏しい。ITバブルの高値は更新しそうだが、日経平均2万円─2万1000円のレンジ相場となりそう」との見方を示している。
(杉山容俊 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P30UC20150623
アングル:年初来騰落率でインバウンド関連株躍進、急追の製造業も
2015年 06月 23日 18:28 JST
[東京 23日 ロイター] - TOPIX500構成銘柄の年初来の騰落率をみると、インバウンド関連株の躍進が目立つ。上昇率トップはコーセー(4922.T)。外国人観光客による化粧品販売増への期待が大きい。一方、医薬品株の上昇ピッチは一服。割安感の強かった自動車部品株や素材関連株の一部銘柄が急追している。総合電機や半導体製造装置は依然としてさえない。
<化粧品メーカーが上位に>
コーセーは「雪肌精」など中価格帯の化粧品販売が、足元で堅調に推移。「インバウンドの効果も出ている」(広報)という。2016年3月期純利益は過去最高の見通し。TOPIX500構成銘柄のうち、3月末時点では年初来の上昇率が10位だったが、4月以降、上昇ピッチを速めた。23日の終値は9760円となり、約6カ月間で106%上昇と倍化した。
化粧品関連では資生堂(4911.T)も年初来で63%上昇。「訪日外国人の増加に伴う販売面での効果や、円安による海外への輸出面でのメリットが意識されている」(内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏)という。
J.フロント リテイリング(3086.T)、丸井グループ(8252.T)も上位にランクイン。小売をはじめインバウンド関連株が物色される傾向が鮮明だ。
半面、3月末時点では医薬品株が上位20社のうち5社を占めていたが、参天製薬(4536.T)と協和発酵キリン(4151.T)の姿が消え、直近では3社となっている。
全体的に内需株が好調だが、例外もある。下落率トップ20に入ったサッポロホールディングス(2501.T)だ。ビール市場での低価格競争への懸念もあるが、同社の14年12月期のROE(株主資本収益率)が0.2%と低いことも、市場がROE重視に傾くなかで嫌気されたとみられている。
<マブチ、アルプス電がランクイン>
一方、製造業でも、年初来上昇率ランキングに食い込んできた銘柄がある。マブチモーター(6592.T)が3月時点の21位から10位に上昇。アルプス電気(6770.T)が56位から16位、村田製作所(6981.T)が61位から17位にランクアップした。
堅調な業績に加え「スマートフォンや自動車向けなどで競争力があり、ファンダメンタルズに基づいて上昇している」(コモンズ投信の糸島孝俊運用部長)と評価する声が出ている。
4月以降では、製造業では小糸製作所(7276.T)やトヨタ紡織(3116.T)など自動車部品メーカーや東洋紡(3101.T)、フジクラ(5803.T)、東ソー(4042.T)など素材関連のパフォーマンスが好調だ。不透明な海外環境が警戒され年序盤は動きが鈍かったが、「バリュエーション面で割安なところが多く関心が向かった」(国内証券)という。
一方、自動車用塗料大手の日本ペイントホールディングス(4612.T)は4月以降の下落率で4位となった。原油安メリット株として3月までは物色されていたが、原油価格の下落に一服感がみられていることに加え、新興国景気の不透明感が嫌気されている。「急ピッチな株高を受け利益確定売りも続いている」(中堅証券)との声も出ており、銘柄選別色も強まっている。
<最大の下落率はシャープ>
年初来での下落率では、経営再建中のシャープ(6753.T)が39%と最大となった。不適切会計問題が発覚した東芝(6502.T)も16%と大きく下落している。このほか、ブラザー工業(6448.T)、マツダ(7261.T)など欧州関連銘柄や、アドバンテスト(6857.T)、東京エレクトロン(8035.T)といった半導体製造装置関連株などもさえない。
「設備投資関連ではまだ強気に見れる状況にはなく、足元で極端に為替が円安方向に進んでいない」と、高木証券・企業調査部長の藤井知明氏は話している。
(長田善行 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P30UL20150623
- ギリシャ危機でもユーロはなぜ堅調なのか 欧州株4日続伸 ユーロ圏総合PMI4年ぶり高水準 債券ファンドが市場崩壊に備え rei 2015/6/23 18:55:10
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