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強まるリスクオン、株高/円安進展の声 世界景気に楽観  揺らぐFRB発言、注視すべき米利上げ延期リスク 
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/346.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 04 日 19:27:34: tW6yLih8JvEfw
 

強まるリスクオン、株高/円安進展の声 世界景気に楽観
2015年 06月 4日 17:48 JST
[東京 4日 ロイター] - 世界的な金利上昇の下で、米欧日の株価は堅調地合いを維持している。株式と債券が同時に買われる金融相場から、景気回復に市場が自信を持ち始め、「リスクオン」相場に移行しつつあるとの見方が急浮上している。外為市場でも円独歩安の色彩が濃くなっており、「リスクオンの円安」が進む兆しがあるという。背景にはギリシャ問題や世界景気への楽観的見方の広がりがあるが、中国株が不安定さをみせるなど懸念材料もくすぶっている。

<金利上昇でも株価は堅調>

「起点」は再び欧州だった。ユーロ圏の5月消費者物価指数(CPI)が強かったことや、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が「(資産価格の)ボラティリティーが高い状態に慣れる必要がある」などと発言したことがきっかけで、欧州金利が上昇。米国や日本にも波及し、世界的に金利が軒並み上昇している。

今年4月末にも、欧州発の金利上昇が世界に広がったが、その際は日経平均.N225が500円超下落するなど、マーケット全体に動揺が走った。しかし、今回は日米欧いずれも株価は堅調。潤沢な緩和マネーをベースに、株高と債券高が同時に進行するこれまでの金融相場とは異なる動きをみせている。

「金利上昇は緩和効果を削ぐ要因にもかかわらず、株価が上昇したことは、QE(量的緩和)を続けなくても、景気回復に対して楽観的な見方が出ているのではないか」とクレディ・アグリコル証券・チーフエコノミストの尾形和彦氏は話す。

10年債利回りで比べると、3日の市場で米国が2.36%、ドイツが0.887%に上昇。日本は4日、昨年11月18日以来となる0.5%を一時付けた。水準としては前回を上回り、今年最高となっているが、株式などリスク資産市場には前回の様な動揺はみられない。

<リスクオンの円安>

為替市場でも「リスクオンの円安が進む兆しがある」(東海東京調査センターのシニアストラテジスト、柴田秀樹氏)との声が出ている。

これまでの円安はドル高が主導してきた。しかし、ここ2日間では、対ユーロでドルが下落したにもかかわらず、ドル/円はほとんど下がらず堅調な動きを続けている。ユーロ/円が上昇し、対ユーロでの円安とドル安がきっ抗したことで、ドル/円は円高に進まなかったとの解釈も可能だが、これまでのドル主導の動きとは異なる。

リスクオンによって円が売られる理由は特にないのだが、リスクオフ時に円高が進みやすかった、これまでと逆転の発想になっている。

一方、海外投資家が、日本株を買う際に、円安による目減り分を補てんするために円売りヘッジを行う動きもあるようだ。

これまで対ドルで円安は進んでいたが、対ユーロでの円安はそれほど進まず、欧州投資家にとって円売りヘッジの必要性は低かった。

しかし、足元でユーロ/円は140円台に上昇し、今年1月以来の円安水準となっている。米系だけでなく、最近、日本株投資で存在感が増す欧州系の投資家が円売りヘッジの動きを強めれば、円安を一段と加速させるフローになるとみられている。

「ギリシャ問題や世界景気への楽観ムードが高まってきた。世界的に長期金利が上昇するなか、まだわずかな動きだが、リスクオンによる円安の動きも見え始めてきた」と三井住友銀行シニアグローバルマーケットアナリストの岡川聡氏もみる。

<リスクオンの「裏付け」には不安も>

世界景気に関しても、1─3月期の低迷からの底入れ期待が強まり始めている。賃金はなかなか上昇しないが、米国でも住宅や生産、雇用などは改善を続けている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの主席エコノミスト、榊原可人氏は「この先、世界景気が1─3月期と同じような悪いことが起きると予想しなくてはならない要素は特にない」と話す。

ただ、4月以降の経済指標には弱さもみられる。米国の製造業受注では、民間設備投資の先行指標となるコア資本財(資本財から国防関連と航空機を除く)の受注は0.3%減と、速報ベースの1.0%増からマイナスに転じた。

米供給管理協会(ISM)が3日発表した5月の非製造業総合指数(NMI)は55.7と、4月の57.8から低下した。市場予想の57.0を下回った。景気拡大とみなされる50を大きく上回ったままだが、高い市場の期待には届かなかった。

経済協力開発機構(OECD)は3日、世界の経済見通し(エコノミックアウトルック)を公表し、実質国内総生産(GDP)成長率予想を前年比3.1%増に下方修正した。昨年11月時点の予想は3.7%増だった。

強気が広がるマーケットだが、バブル的な上昇の反動が警戒される中国株など不安要因もある。今後は、市場の期待に沿うように実体経済が回復していくかが、本格的なリスクオン相場に移行できるかのポイントになりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OK0RM20150604

コラム:揺らぐFRB発言、注視すべき米利上げ延期リスク
2015年 06月 4日 13:33 JST
田巻 一彦

[東京 4日 ロイター] - 年内の米利上げを前提にドル/円JPY=EBSはいったん125円台まで上がったが、どうも直近の米経済の様子がおかしい。

個人消費が弱く、4─6月期国内総生産(GDP)も1%前半にとどまる可能性がある。2%台の潜在成長率を下回る状況が続けば、物価下押し圧力が働き、利上げ実施に逆風が吹く。米連邦準備理事会(FRB)幹部の発言もにわかに慎重さが増してきた。利上げ延期とドル安のリスクシナリオにも目配せが必要だ。

<注目されるアトランタ連銀のGDPナウ>

このところ、にわかにFEDウオッチャーの注目を集めているデータがある。米アトランタ地区連銀が出している「GDPNow(ナウ)」だ。米商務省経済分析局が使っている予測モデルと同種のモデルを使って、GDPを試算している。

1−3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比・年率プラス0.2%と市場予想の同1.0%を大幅に下回ったが、GDPNowは同0.1%と予想。その的中率に「プロ」を自認するFEDウオッチャーの多くが驚いた。

直近で4−6月期GDPを同1.1%と試算している。米経済の減速は一時的で、米経済は巡航速度に回復すると見てきた人々にとって、この通りのGDPに収まってしまっては、大変な見込み違いとなる。

<揺らぎが見え出したFRB幹部発言>

FRB幹部の発言も、揺れ動き出した。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日、「経済への短期的な懸念がある」と発言。これまでのタカ派的な発言からトーンを変化させた。また、懸念されるトレンドとして、小売売上高などの消費関連データが予想を下回っていることなどに言及した。

ハト派的な発言をしてきた米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は3日、さらに慎重な見方を示し、現時点で利上げに踏み切るハードルは極めて高く、来年まで利上げの用意が整わないとの見解を示した。

ブレイナードFRB理事は2日、米景気の低迷は、一時的なものにとどまらないおそれがあるとの認識を示した。その根拠として、消費支出の弱含み、低調な投資、ドル高などを挙げ、中国経済の減速に伴うリスクなどにも触れ、米景気への逆風は、当面続く可能性があるとの見通しを示した。

FRB幹部が一致して懸念しているのは、消費の弱さだ。米商務省が1日に発表した4月の個人所得・消費支出統計によると、消費支出は前月比横ばいで市場予想の同プラス0.2%を下回った。インフレ調整後の消費支出も、3月のプラス0.4%から横ばいに落ち込んだ。

米GDPの7割を占める個人消費の弱さは、米経済の回復力の弱さを端的に示すデータとみることができる。アトランタ地区連銀のGDPNowが試算した4−6月期のプラス1.1%は、この面から見れば、かなり実態に近い可能性がある。

<弱いGDP、物価押し下げ圧力に>

潜在成長率が2%前半から半ばとみられている米経済にとって、1.1%成長というのは、需給ギャップが短期的にはっきりとしたマイナスになっていることを示す。需給ギャップがマイナスなら、物価に下押し圧力が働くことになる。

FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数が、3月のプラス0.2%から4月に横ばいとなり、食品とエネルギーを除いたPCEコア物価指数の前年比が、3月のプラス1.3%から4月に同1.2%と勢いがなくなっているのも、GDPの動きと整合的と見ることができるだろう。

<懸念されるドル高転換の落とし穴>

このように今年9月に利上げすることが「確実」とは、とても言いにくい状況になっているのは明らかだ。足元でのドル高/円安は、米利上げが前提として完全に織り込まれている。この前提に「ひびが入っている」ことが、市場関係者の多くにわかるようになれば、ドル/円の基調が、ある日突然に逆方向に向かうことも、荒唐無稽と笑うことはできないだろう。

世界の金融・資本市場は米欧日を中心にした量的緩和政策に慣らされ、一方向に市場が動くことを「当然視」する風潮が知らぬ間に強くなってきた。

ところが、足元の欧州市場を見れば、ドイツの長期金利DE10YT=TWEBが急上昇し、ボラティリティが急速に上がり出した。市場変動の波は、まず、欧州債券市場から発生し、その余波は4日の東京市場で長期金利JP10YTN=JBTCの0.5%への上昇として波及してきた。

大きな価格変動が、外為市場で発生しても何ら不思議ではない地合いが、いつの間にか整えられているように見える。

ドルの流れを変える大きな材料が、いつ表面化するのか──。それは「神のみぞ知る」ところだろうが、16、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のイエレンFRB議長の会見が、一段と注目されることになるのは間違いないだろう。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0OK07H20150604


 

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