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世界がなびく経済力と影響力 AIIB騒動に見る中国の台頭
http://diamond.jp/articles/-/69605
2015年4月7日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
「英文学で最も有名な生徒は誰か? ハリー・ポッターだ。彼の最初のガールフレンドは誰か? 最初にキスした相手は誰か? 中国人だ」
ボリス・ジョンソン・ロンドン市長が2013年秋に北京大学を訪れた際、彼はそう言って北京の人々に愛嬌を振りまいた。そして、同行したジョージ・オズボーン英財務大臣は「(デービッド・)キャメロン首相はもうダライ・ラマには会わない」と断言して、ロンドンのオフショア(海外)人民元市場の相談を中国政府と進めた。
さらに今年3月12日、中国主導で準備を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーに英国は参加すると表明した。
そのとき、米政府高官は「中国へ常にへつらう傾向があるのが懸念される」と怒りをあらわにしたが、英政府には馬耳東風だった。前述の通り英国は中国へ熱烈なラブコールを送り続けている。
キャメロン首相は2月23日、中国の春節を祝うため、首相官邸に中国大使館や中国企業の関係者を招いた。このパーティは近年では毎年開催されている。彼は次のようにあいさつした。「最初に祝いたいのは、現代中国の異例ともいえる台頭と成功である。中国は再び世界最大の経済になった(購買力平価ベース)。あなた方の投資を最も歓迎する国にわれわれはなりたい」。
また、英政府は昨年から上海市に数学教育の指導を仰ぐようになった。経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に行った学力調査の数学で、上海は世界1位の600点を取った。英国は492点と先進国では低い点数だった。
そこで英政府は数学教師の交換留学を提案した。まず、昨年9月に71人の英国人教師が上海を訪れて中国の数学教育を学んだ。11月には29人の中国人教師が英国に約1カ月滞在し、小学校で教え方の「模範」を示した。今年2月には上海の教師が中国の教科書を持ち込んで授業を行った。教師の交換留学は今後も続く。
このように「そこまでやる?」というぐらい、英国は表面的なプライドを捨ててでも中国とのパイプを太くしたがっている。ドイツもそうだ。アンゲラ・メルケル首相の訪日回数は3回だが、訪中は8回にも及ぶ。欧州勢は明らかに中国の経済規模になびいている。
中国(香港を含む)の名目GDP(ドル建て)は国際通貨基金(IMF)予想で19年に日本の3倍になる。購買力平価ベースのGDPでは前述のように中国は既に米国を上回った。欧州勢にとっては地理的に安全保障上の衝突が起きる心配はないだけに、“商魂”優先の外交となっている。
しかも今回の件では、アジアの国々が切実にインフラ投資資金を欲していたことを米国は見誤っていた。英「エコノミスト」誌は「米国は意図的なのか、あるいは愚かなのか、AIIBを外交問題にすり替えてしまった。これが大失敗だったことが明らかになっている」と辛辣に批判していた。
韓国政府がAIIB参加を表明した際にたまたまソウルにいたが、新聞は「出遅れを挽回して出資比率を大きくできるよう図るべきだ」という論調であふれていた。
米外交問題評議会(CFR)が先日発表したスチュワート・M・パトリック氏の論文は、「もはや米国はゲームを独占できない」と現実の直視を米政府に求めていた。好むと好まざるとにかかわらず、巨大化した中国といかに戦略的に接していくかが重要な時代になってしまっている。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
- 中国になびく豪州 AIIB参加、土壇場の「変心」 あっしら 2015/4/07 03:06:38
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