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日銀ウオッチ
「世界で最も孤独」な黒田総裁[日経新聞]
2015/1/29 6:00
「世界で最も孤独な男のひとりだ」――。24日の世界経済フォーラム(ダボス会議)の討論会に参加した日銀の黒田東彦総裁は、司会の米資産運用会社ブラックロックのローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)からこんな紹介をされた。30日には政府の経済財政諮問会議に出席し、四半期ごとの金融政策と物価情勢の集中審議に臨む。2%物価目標の早期達成を目指す黒田総裁にとっては、改めて孤独を味わう場になるかもしれない。
「真意が見えない」。23日、政府の月例経済報告の文言変更を巡って、日銀内にどよめきが走った。日銀に期待する政策姿勢を巡る表現がガラリと変わったからだ。これまでは2%物価安定目標を「できるだけ早期に」実現するよう求めていたが、「経済・物価情勢を踏まえつつ」に変わった。
「できるだけ早期に」は2013年1月に政府・日銀が共同声明で2%物価目標を導入した際、安倍晋三首相の強い意向を受け、日銀の“約束”として盛り込まれた文言だ。当初は2%を中長期に実現する目標と位置づけようとした日銀にとっては苦い記憶もにじむ。月例経済報告でも13年1月から記載されてきたが、今回2年ぶりに姿を消した。
「具体的にいつまでに2%を達成するか、厳格な期限を政府も日銀もコミット(約束)しているわけではない」。甘利明経済財政相は28日の記者会見で、文言削除の狙いを補足説明。原油価格の急落で「2年程度(での目標達成)に向かう環境が極めて大きく変化していることは勘案しないといけないと思う」と語った。
すでに大量の長期国債を買い入れ、緩和マネーを量的に拡大する手段が狭まっている日銀にとって、政府の緩和圧力の低下は“助け舟”にもなる。しかし、黒田日銀は市場の期待を刺激してデフレ心理の転換を図ってきた。それだけに事情は複雑だ。
「2年程度を念頭にできるだけ早期に2%目標を達成するために必要なことをする。全く変更は無い」。黒田総裁は21日の金融政策決定会合後の記者会見で、目標達成が16年度以降にずれこむ可能性をみとめたものの、「2年程度で2%」という旗にはあくまでこだわる姿勢をみせた。
決定会合を終えて駆けつけたダボス会議では海外メディアの取材にも積極的に対応。英国放送協会(BBC)のインタビューでは、2%目標について「原油価格しだい」としつつ「まだ15年度末までに達成できると思っている」と強調した。目標達成時期の後ズレを認めた印象が強かった記者会見とは対照的に強気な姿をみせた。
物価2%の早期達成を引き続きアピールし、企業や家計のデフレ心理転換を支え続けたい――。「2年程度で2%」の旗をかたくなに守り続ける黒田総裁の姿にはそんな思いがにじむ。昨年10月末の追加緩和も2%の早期達成への日銀の強い意志を見せつけることで、脱デフレへの企業や個人の期待がしぼむのを避ける狙いがあった。
それだけに、このタイミングでの月例報告からの「できるだけ早期に」の削除は、期待に働きかけてきた黒田日銀にとってなんとか支えようと躍起になっている期待を損ねかねない側面もある。
30日の諮問会議では、改めて急激な原油安の下での2%目標達成を巡って政府と日銀が意見を交わす。四半期に1度の物価・金融政策の集中審議は2%目標の導入と同時に始まった。もともとは日銀に緩和圧力をかける場としての狙いも込められていた。しかし今回は2%目標の早期達成へなお前のめり姿勢を崩さない黒田日銀を、政府がなだめる場面となり、黒田総裁は「2年程度で2%」の旗を守り続けているのが自分だけだと気付かされるかもしれない。政府・日銀が足並みをそろえて、がむしゃらに「第1の矢」をアピールし続けてきた局面が変わりつつある。
(森本学)
http://www.nikkei.com/markets/features/53.aspx?g=DGXMZO8251803028012015000000&n_cid=DSTPCS007
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