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パニック売りを伴わない、静かな暴落が意味することは(撮影:尾形文繁)
静かな暴落が意味する「株式市場の終わり」 「セリングクライマックス」なき反発の怖さ
http://toyokeizai.net/articles/-/101727
2016年01月22日 小幡 績 :慶應義塾大学准教授 東洋経済
今回は、セリングクライマックス(みなが悲観的になり大量の売り注文が出て、相場がアク抜けする状態)なしの反発は何を意味するのかがテーマだ。それは「恐怖と安堵」の両方であり、だからこそ危険なのだ。
■ドラギ発言にすがった投資家たち
1月21日のニューヨークの株式市場は、セリングクライマックスはなかったが反発した。まず欧州がECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁の3月の追加緩和示唆で反発し、米国は原油在庫が予想を大きく上回って減少し反発。NY原油は4%とこの3カ月で最大の上昇となった。ただし、水準が下がっているので上昇と言っても29ドル台で30ドルを割ったまま。しかし、さらに大きく下げるかと思われたところでの反発だったので、センチメントに対して大きく安堵させる効果があった。
ドラギ総裁の記者会見の発言は、いつものリップサービス過ぎない。それをわかっていながら、どんな材料にもすがりたい投資家たちが飛びつき、買い戻しの流れとなった。ただし、3月にはまた失望することは目に見えている。今日上がった分は下がるだろう。もともと、今年の3月は危険な月。原油関連、シェールガス関連への銀行融資のロールオーバーが難しくなるのが3月末と言われており鬼門となる。警戒が必要だ。
一方、日本の株式市場だ。1月21日、セリングクライマックスではなかったが、極端な乱高下が起きた。日経平均は、18日19日と今年初めて2日連続の陽線が出現。20日の朝は300円を超える上昇で1万7000円台回復まであったが、その後一気に下落。終わってみれば632円安で、1日で1000円近い値動きとなった。
21日は大きく反発して始まり、一瞬の安堵があったのも午前高、午後からは一本調子の急落で日経平均先物は1万6000円ちょうどで取引を終えた。最後の乱高下は16時半以降の夜間相場で、先物は開始と同時のさらなる急落で1万5800円割れ、一転急騰し1万6200円へ。その後も乱高下し、米国の反発を受けて1万6400円水準に上昇して終えた。乱高下は仕掛けそのものだが、米国を受けての回復はウソでもいいから信じたい、というのが翻弄されている投資家側の心理だろう。
もう少し長いスパンで見ると、ここで一連の下げが終了し、乱高下をしながら戻っていくという可能性もある。セリングクライマックスのないまま暴落が終了するというのは、何を意味するのだろうか。
「暴落は2回来る」が私のバブル理論で、このセオリーでいうと、2015年8月と2016年1月が1回目と2回目となるのか、それとも、2回目の下落のこれは前半に過ぎないのか、見極めが難しい。欲張ると逃げるのが難しくなる。2回目の可能性があれば、逃げておくのが安全策だ。
さて、ポイントを整理しよう。今回の下落はパニック売りを伴わず淡々と直線的に下がってきている。これは、仕掛けても誰も反応しない、仕掛け側の自作自演の割合が高すぎて、売り仕掛けではそれほど儲けられず、盛り上がらない、だから、このままあっさりと仕掛け側が手仕舞う、という解釈がひとつ。
もうひとつの解釈は、200ドルの下げを400ドルにしているのは仕掛けだが、200ドルの下げは実需の下げで、オイルマネーが売り、ジャンク債で行き詰まったファンドが売り、資源関連通貨、関連株でやられた投資家が売れば、彼らが静かに売ったとしても下がってしまう、というものだ。
■下落の大きさに比して市場が静かすぎる理由
静かな暴落継続は恐怖感を伴う。なぜなら、本当の売りだからだ。個人的には、こちらのシナリオだと考えているし、多くの黙っているマーケット筋もこれを恐れているが、意外と、派手で下手な仕掛けの部分も多いと思っている。下落の大きさに比してマーケットは静かすぎるのだ。恐怖に凍り付いた市場を表しているのか、リーマンショック以後、上場株投資などばかばかしくてまともな投資家はやらなくなったからなのか、どちらかなのだが、真実は両方であると考える。
上場株市場というのは大分前に終わっていたという指摘があり、学問的にも裏付けられている。この15年、とりわけリーマンショック後は、乱高下というリスクはトレーダーにとってはチャンスを意味し、価格変動リスクを狙って、変動の大きい株ほど割高となり、大手の投資家(トレーダー)はそれを好んで買っているという分析がある。
リーマンショック前と違い、投資家層は薄くなっている。そのため、取引も一方的、トレーダー的な売買の仕掛けに脆弱と言うよりは、その流れに流されるままになっており、むしろ仕掛け側としても儲ける機会が減っていることを意味する。そう考えると、今後、株式市場が反転したとしても、長期的にみて上場株市場は期待できない。私はそう考えている。
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