#ロシアの長期的衰退は不可避か #2015年のインフレ率は12.5%に達する一方、実質賃金は減り続けている。経済低迷で改革不可避のロシア 2016年01月21日(Thu) 岡崎研究所 Social Bookmark,Share共有 2015年12月6日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の社説は、ロシアは、経済改革に直ちに取り組まないと長期的に衰退すると警告しています。 iStock 2〜3年で深刻な財政難に直面する可能性
プーチン大統領の年次演説は、テロとの戦い、シリアのロシア軍への称賛等で始まったが、その大半は、ロシア経済の問題等に割かれた。 クレムリンは対外脅威を強調し、経済は後回しにしてきた。しかし、石油価格下落、西側の経済制裁、近代化の失敗は無視できないほど害がある。 ロシア経済は予想より強靭で、今年の縮小は4%で、来年は安定するように見える。しかし、石油価格が現状にとどまると、クレムリンの経済政策は維持できない。軍事支出と年金など社会的支出は最近急激に増えており、教育、保健、インフラへの歳出は来年、削減されるだろう。石油がバレル50ドル(最近の価格よりかなり高め)でも予算は3%の赤字になると予想される。社会支出の削減等の長期計画を立てなければ、ロシアは2〜3年で深刻な財政難に直面しよう。 低い生産性、資源への過剰依存、弱い投資等がロシアの潜在成長率を年1.5〜2%に制限している。そして、実質家計収入が、プーチン時代で初めて減少している。インフレは15%で、平均実質所得は今年5%減るだろう。 「民主主義的自由はないが、生活水準は上げる」という、プーチンの最初の国民との契約が掘り崩されている。クリミア併合とシリア介入による、「倹約をしよう、しかしロシアは栄光を取り戻す」という新しい契約は今のところ国民に支持されているようだが、さらなる軍事的冒険は大きなコストと危険をはらむ。 プーチンは経済改革の必要性を認識しているが、年金改革など重要な措置は2018年の大統領選挙後に延期する計画らしい。しかし、先送りは経済の遅れを拡大する。プーチンが主張した法執行機関によるビジネス攻撃を差し控える暫定措置は歓迎できるが、それだけでは不十分である。 12月4日、長距離トラック運転手が道路通行料に抗議してモスクワの環状道路を封鎖したように、人々の不満はくすぶっている。 プーチンは、軍事力は偉大さの一つの要素に過ぎないことを認めるべきである。経済力は、同様に重要である。ロシアを含むBRICSが世界経済で重みを増すと思われた時期は過ぎ去った。今はロシア政府自身、GDP減少を予想している。改革を2018年まで先延ばすことなく行わないと、ロシアの将来は復活ではなく、長期衰退になる、と警告しています。 出 典:Financial Times ‘Reform of Russia’s ailing economy cannot wait’ (December 6, 2015) http://www.ft.com/intl/cms/s/0/bdb1481c-9a9b-11e5-a5c1-ca5db4add713.html#axzz3tafxfpS6 ロシアの長期的衰退は不可避か このフィナンシャル・タイムズ紙の社説は、ロシアについて多くの人が考えている常識的な見方を表明しています。 上記社説は、ロシアが基本的改革を2018年まで先延ばしせず、今すぐ取り組まないと長期停滞になるのではないかと言っていますが、その通りでしょう。 ただ、大統領選挙を控えて、そういう改革に乗り出せるか、極めて悲観的にならざるを得ません。したがって、ロシアの長期的衰退は不可避ではないかと思います。石油価格が高く、余裕のある時に、資源依存体質の改革をすべきでありましたが、諸般の事情で出来なかったのに、今出来るはずがありません。そして、石油価格は、シェールやイラン石油などでここしばらくは低いままでしょう。 ロシアは、国際政治でいう「資源の呪い(資源国では資源開発で暴利を得られるので、製造業が育たず、いびつな経済しか作れない)」にかかった国です。プーチンは、それを変える努力もしましたが、その権益網の一部になってしまった面があります。 ロシアが影響力を増していることを国民に示し、国民の支持を得るのが今のプーチンのやり方ですが、これにはお金がかかりますし、また危険を引き寄せる面があります。シナイ半島でのISによるロシア旅客機爆破、トルコによるロシア軍機撃墜は、対外冒険のコストの始まりでしょう。シリア介入が泥沼化する危険も、モスクワでのテロの危険もあります。 プーチンの任期は、2018年まであり、2018年に再選されれば、2024年まで大統領です。それを実現するために、プーチンは改革先送り、対外冒険主義を実施していますが、それが裏目に出て、経済困難に伴う国民の不満に直面することが十分にあり得ます。 プーチン政権の2024年までの継続を与件として考えることは間違いにつながりかねません。ロシアでは欧化主義者とスラブ主義者が交代しながら、政権を担ってきた歴史があります。今でも欧米とうまくやっていくことがロシアにとって良いとの意見は多いです。そろそろ欧化主義者の出番が来ているようにも思われます。 なお、IMF推計で、2015年ロシアのGDPは1兆2358億ドル、日本のGDPは4兆1162億ドルです。 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5898?page=2 ロシア通貨ルーブル、史上最安値を更新 2016.01.21 Thu posted at 12:45 JST スイス・ダボス(CNNMoney) ロシアの通貨ルーブルが20日、1ドル=82ルーブルへと4%下落し、2014年末につけた最安値を更新した。 原油価格が1バレル当たり27ドルを切り、2003年9月以来の水準に落ち込んだことを受けてルーブルが急落した。ロシア経済はエネルギーへの依存度が極端に高いため、ルーブルは原油の値動きに連動しやすい傾向がある。 石油とガスの輸出による利益はロシア政府の歳入のほぼ半分を占め、予算の均衡を保つためには1バレル82ドルで売る必要がある。 それでもルーブル安にはメリットもあるとみる関係者もいる。ロシアの鉱山会社セベルスタリのアレクセイ・モルダショフ最高経営責任者(CEO)は、スイス・ダボスで開かれている世界経済フォーラムでCNNの取材に応じ、「現状は困難だが、ルーブルの大幅な下落で我が国の製品の競争力は高まる」と強調した。 ルーブル安は国民の生活を圧迫している。2015年のインフレ率は12.5%に達する一方、実質賃金は減り続けている。公式統計によると、ロシアの貧困層は国民の約14%に当たる2000万人を超えた。2014年の時点では1600万人にとどまっていた。 http://www.cnn.co.jp/business/35076570.html ベネズエラが「経済緊急事態」を宣言し経済危機に 筆者 鳥羽賢 | 01/19/2016 - 21:09
ベネズエラは15日に経済非常事態宣言を発令。 南米の産油国ベネズエラは原油安によって経済が急速に悪化していたが、今月15日になってついに「経済緊急事態」を宣言した。これでベネズエラは本格的な経済危機に陥ったことになる。 通貨安から高インフレに 原油価格が2014年後半から急落しているため、原油を輸出している国の多くは経済危機に陥る可能性があると見られていた。特にベネズエラは輸出の95%が石油であり、経済危機の可能性がかなり高いと見られていた。 ベネズエラが経済危機になった理由としては、単純に原油安による国としての収入減が1つ。そしてもう1つに、経済の弱体化にともなってベネズエラの通貨が暴落している要因がある。 ベネズエラの通貨は「ボリバル」と呼ばれる。そしてベネズエラは複雑な為替制度を採用しており、政府が決めた公定レートが3種類もある。公定レート1では、1米ドル=6.3ボリバル、公定レート2では1米ドル=12ボリバル、そして2014年に新しく設定された公定レート3では1米ドル=50ボリバルとなっている。 ところがこれらはあくまで公定レートで、ボリバルの実際の価値が全く反映されていない。ベネズエラの市中で両替をする場合、多くのケースで闇レートが採用されている。そして闇レートは、2015年1月時点で1米ドル=175ボリバルだったが、今月には1米ドル=865ボリバルにまでなっていた。 つまり過去1年間でボリバルの価値は5分の1以下になってしまったことになる。またこのレートは、公定レート1の1米ドル=6ボリバルの100分の1未満でしかない。 通貨の暴落は、輸入品の価格を高騰させ激しいインフレを起こす。ベネズエラのインフレ率は去年1〜9月の公式発表で100%程度となっているが、実態はその2倍の200%だったという意見もある。 急激な通貨安とインフレによって、ベネズエラ市民にとって生活必需品の価格が高騰。卵、ミルク、衣料品など生活になくてはならないものが買えなくなってしまった。政府は配給制まで導入したが、それでも物資不足が続いている。 このような切迫した状況の下、「経済緊急事態」が宣言された。この宣言の効力は2ヶ月続き、その間はマドゥロ大統領が企業の経営に介入したり、為替取引を制限するなどの権限を与えられる。 しかしベネズエラの根本的な問題は、原油安によって国としての収入が激減したことにある。その原因が取り除かれない限り、立ち直るのは難しい。そして原油安が続くと、このような経済危機がロシア、ブラジル、サウジアラビアなど他の原油輸出国にまで拡大する可能性がある。 http://www.iforex.jpn.com/news/%E3%83%99%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%81%8C%E3%80%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%B7%8A%E6%80%A5%E4%BA%8B%E6%85%8B%E3%80%8D%E3%82%92%E5%AE%A3%E8%A8%80%E3%81%97%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%81%AB-3845 Business | 2016年 01月 22日 07:53 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス ユーロ、ECB総裁会見後の下げから戻す 原油反発=NY市場 [ニューヨーク 21日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで上昇した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が3月10日の理事会で追加緩和策を打ち出す可能性を示唆したことでユーロは売られたが、引けにかけて下落分を取り戻した。 原油相場が回復し資源国通貨が対ドルで上昇、ドルは主要通貨に対してほぼ横ばいとなっている。 ユーロ/ドルEUR=はドラギ総裁会見後、1.08ドルの大台を割り込み約2週間ぶり安値を付けたが、終盤の取引では0.1%高の水準となっている。 前回開かれた昨年12月の理事会で打ち出された緩和策は、量的緩和策の増額には踏み切らず市場の期待に届かなかったことで、ユーロ/ドルは1日の上げ幅としては2009年3月以来の大きさとなる3.1%を記録した。その記憶が残っていたため、ユーロの下げは一時的なものにとどまった。 FXアナリティックスのパートナー、デービッド・ギルモア氏は「市場参加者は、「『ちょっと待て。昨年12月3日の理事会を思い起こそう』と言っていたのではないか。総裁は今回と同様の約束をしたが、目いっぱいユーロの売り持ちとドルの買い持ちになっていた市場には期待外れだった」と述べた。 米商品先物取引委員会(CFTC)のデータに基づいたロイターの推定値では、ECBの政策発表前の週に市場は440億ドル超のドルの買い持ちポジションを持っており、その大きさはここ8カ月で最大だった。 前出のギルモア氏は「ドラギ総裁についてはいま市場では信用問題となっている。多くのヘッジファンドが年間を通して(ユーロ安の)一方向のポジションにかけていたが、やられてしまった」と付け加えた。 終盤のドル/円JPY=は0.45%高で、117円台で堅調に推移している。前日には2015年1月以来の安値となる115.97円まで下落していた。 この日の原油相場は回復。13年ぶり安値圏から反発し、資源国通貨の豪ドルやカナダドルが対ドルで上昇した。豪ドル/米ドルAUD=D4とドル/カナダドルCAD=D4は終盤それぞれ、1.4%高の0.7003ドルと1.5%安の1.4276カナダドルで取引されている。 ドルの主要6通貨に対するドル指数.DXYは、0.005%安の99.025とほぼ横ばい。ドラギ総裁発言後は、12月3日以来の高値となる99.799を付ける場面があった。 http://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKCN0UZ2Y3 International | 2016年 01月 22日 06:52 JST 関連トピックス: トップニュース スイスにデフレスパイラルの脅威ない=ジョルダン中銀総裁 [チューリヒ 21日 ロイター] - スイス国立銀行(中銀)のジョルダン総裁は、同国でデフレスパイラルの脅威はほとんど見られないとの認識を示した。スイス放送協会(SRF)とのインタビューで述べた。 総裁は「原油の急落や輸入物価の下落を背景に、インフレ率は低い水準かマイナスとなっている」とし、「現時点でデフレの現実的なリスクは見られない」と述べた。 その上で、中銀の目標は中期的に物価安定を確実にすることだと強調。金融政策では短期的にこうした変動を吸収することは不可能とし、「インフレがプラスに回帰するよう、時間とともに調整される必要がある」と語った。 http://jp.reuters.com/article/swiss-snb-jordan-idJPKCN0UZ2W7 Business | 2016年 01月 22日 00:45 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨 [フランクフルト 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。金利据え置きは予想通り。 上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.30%に据え置いた。 ドラギECB総裁の会見での発言要旨は以下の通り。 <行動の用意> 理事会には、行動する能力や意欲、決意がある。当然われわれの使命の範囲内だが、行動に制約が無いというのが事実だ。 <金利> われわれは(政策金利が)長期にわたり現在の水準以下にとどまると予想する。 <リスクは増大> 新興市場国の成長見通しをめぐる不透明性の強まりや金融・商品(コモディティ)市場の変動、地政学的リスクに伴い、下振れリスクが年初以降、再び増大した。 <政策スタンス、3月に再考の可能性> マクロ経済に関する新しいスタッフ予想が入手可能となる3月初めの次回会合で、われわれの金融政策スタンスを見直し、恐らく再検討する必要があるだろう。 <回復進む見通し> 景気回復が進むとみている。財政再建や構造改革におけるこれまでの進展や、われわれの金融政策措置、金融情勢への好ましい影響が内需を一段と下支えするだろう。 <成長見通しめぐるリスク> ユーロ圏の成長見通しへのリスクは依然下向きだ。 <インフレは著しく低下する見通し> 現在の原油先物相場の動向を踏まえると、2016年の欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(HICP)見通しは、昨年12月初旬に示した予測を著しく下回る。 インフレ率は今後数カ月、極めて低い水準もしくはマイナスで推移し、年内のより後の段階でしか上向かないと見込む。 <二次的影響リスクを注視> ECBの金融政策措置や、想定される景気回復を追い風に、インフレ率の回復継続が見込まれるが、二次的影響のリスクを注視すべきだ。 <限度は無い> インフレ率が2%を下回るが近辺という目標を達成する使命の範囲内で、政策手段を講じる意欲に上限は無い。そのことを疑うべきでなく、われわれは周知の通り数多くの手段を持っている。 <政策を状況の変化に適応させる> ECBが政策手段を状況の変化に適応させていることは明白だ。国際情勢が要因となり、状況は変化する。 <金融危機前のような状況ではない> ECBの金融政策が金融不安定性の要因になっていないかどうかを見極めるため、金融、銀行セクターを中心に市場の動向を常に監視している。 これまでのところ、金融危機前に見られような金融不安定性の兆候は確認していない。 <原油相場動向の二次的影響> 原油相場の動きに伴う二次的影響はないが、警戒する必要はある。 (コアインフレ率と賃金を踏まえ)楽観的となる根拠はさほど見当たらない。 長期的な原油価格の下落が二次的影響を及ぼす可能性があるという事実を真剣に受け止める必要があり、ECBは二次的影響に対し、断固として行動する考えだ。 <中国の金融当局> 中国当局は責任ある行動を取ることで高い評価を得ており、過去2週間で実施した措置は、しっかりとした金融政策の舵取りを行っていることを示している。 http://jp.reuters.com/article/highlight-draghi-idJPKCN0UZ1VW?sp=true
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