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最悪のシナリオも浮上しつつあります(写真:ぺかまろ / PIXTA)
日本株「1万円割れ」シナリオを外せない理由 値動きはリーマンショック前を彷彿とさせる
http://toyokeizai.net/articles/-/101517
2016年01月22日 冨田 晃右 :株式スクール冨田塾代表総括 東洋経済
■株式市場が大荒れだ
世界的な株式市場の大荒れが収まる気配を見せません。1月21日の東京株式市場は日経平均株価が前日比398円安の1万6017円で取引を終えました。前日の20日に昨年来安値を割り込んだことで、取引開始直後こそ値戻し基調がありましたが、結局は下落に転じてしまいました。年初からの下げ幅は約3000円と半月余りで15%前後も下げてしまっています。
日経平均はそもそも昨年6月に付けた2万0952円の高値から大幅に下げてきたことで、足元は安値圏に見え、ちまたでは「そろそろ底値で反発する」「絶好の買い場だ」などという声も飛び交います。ただ、現時点の日本株相場を見るかぎり、筆者は「今が買い場」という予想は鵜呑みにできないと考えています。
時計の針を少し戻してみましょう。例年、たいてい年末が近づくと、評論家やアナリストなどが次の年の相場見通しを発表します。昨年末に各方面から発表された「2016年相場予想」はどうだったかというと、「2016年の日経平均は2万5000円まで上昇する」とか「3万円もありうる」などの予想も見受けられました。強気予想は耳に心地よいものの、現状を冷静に見てみると、昨年来、安値を更新してしまった日経平均が2万5000〜3万円まで急上昇するシナリオは描きにくいといえます。
株式市場関係の評論家やアナリスト、ストラテジスト、ファンドマネージャーなど特に「強気派」の人々は相場状況がいかなる時でも、基本的にはいつも「今が買い場」という買いスタンスのコメントや見方をされることが多いものです。株価が下げ基調にあるときほど、こうした見解が「そろそろ上昇に転じて欲しい」という市場参加者の願望ともあいまって有望視されるかもしれませんが、アテにならないときも少なくないのです。
2016年から続く日本株の下落要因は、一般的には中国経済の減速や緊迫する中東情勢、北朝鮮の水爆実験などの海外要因や円高ドル安などといわれています。筆者はそれらとはまったく別の見方で、株式市場の今後を考えています。判断材料に使っているのは、株価チャートです。
株価チャートとは過去から現在までの株価の動きの推移を見やすく表したグラフで、過去にどのような動きをしてきたのかを見る時に使用します。株価チャートには、よく使われるものとして3つあります。まずは、毎日の動きを表す「日足」毎週の動きを表す「週足」毎月の動きを表す「月足」があります。
■特に注目なのは75日移動平均線
75日(休日を除く営業日ベース)という期間はざっと3〜4カ月半、基調の変化が起こる四半期(3カ月)のタイミングと近い(1月19日までで作成)
まずは「日足」チャートを見てみましょう。日足の株価チャートには毎日の値動きが「ローソク足」で示されていますが、株価の動向を把握して予測を立てるうえで重要なのは「移動平均線」です。過去の一定期間における株価を平均化して線で示すのですが、特に注目しているのが75日移動平均線です。
移動平均線には多くの種類がありますが、75日(休日を除く営業日ベース)という期間はざっと3〜4カ月、つまり基調の変化が起こる四半期(3カ月)のタイミングと近く、日足チャートで短期的な株式相場の方向を推し量るときにちょうどいいからです。
今年最初の取引となった1月4日の大発会で、日経平均は日足の75日移動平均線近辺で始まりました。その当日は少し上がり、75日移動平均線の上で推移したものの、75日移動平均線を大きく割り込むほど下落しました。
75日移動平均線の上で株価が推移しているときは、過去75日間買い続けた人にとっては利益が出ている状態になります。一方、75日移動平均線の下で株価が推移しているときは逆で、過去75日間買い続けた人は損をしています。
こうした損をしている人の目線で考えると、75日移動平均線からさらに株価が下がってくると損失が膨らみかねなくなります。すると起こりやすいのが、売れないほどに損失が大きくなる「塩漬け」になる前に損失を小さくするための売りです。下げが加速すると投げ売りが加速します。
このメカニズムでずるずると下げる日々が続き、1月20日の終値は1万7000円を割り込み、昨年来の安値を更新してしまったのです。
■まだまだ下げる可能性がある
このようにどこまで下がるかわからない状況なのに、株式専門家の中からは「2015年9月の時はこのあたりの価格から反転上昇した。今回も同じ価格近辺であることから考えるとそろそろ底打ち反転なのではないか」という声が聞こえてきています。日足チャートから考えてみると、筆者はその考えに同意できません。株価が75日線を下回っている現状は、短期的ではあるものの、まだまだ下げる余地があります。
一方で、長期的に見るとどうでしょうか。これは「月足」の株価チャートで考えられます。毎月の株価の動きをグラフ化したもので、特に過去24カ月の株価を平均化した24カ月移動平均線を見ていきます。
考え方は日足チャートの75日線の場合と同じです。24カ月移動平均線の上にあれば過去2年買い続けた人は利益が出ていますし、下回っていれば過去2年間買い続けた人が損をしている状態になっています。
約3年前を振り返ってみましょう。2012年11月です。このあたりから月足の株価は24カ月移動平均線を上回っていくようになりました。いわゆる「アベノミクス」が始まった時期と重なるのです。
それから3年が経ち、日経平均は月足チャートでみると約3年ぶりに24カ月移動平均線を割り始めた状態です。これはアベノミクスにあった期待の否定を示唆していると読み取れるのです。そもそも3〜4年は株価の周期のひとつでもあり、大きな転換を迎えているとしても不思議ではありません。
3〜4年は株価の周期のひとつでもあり、大きな転換を迎えていたとしても不思議ではありません(1月19日までで作成)
過去を振り返ってみますと、リーマンショックの起こった2008年秋の布石は2007年にありました。
この年、2003年の底から4年間上がったのち、月足の24カ月移動平均線を割り込んだのです。その後、2008年秋の大暴落へとつながります。
今回はその時と構図が似ているのです。杞憂に終わってほしいとも思いますが、「歴史は繰り返す」のだとしたら、その規模はともかくこれからそう遠くないうちに、大暴落が起こってしまっても不思議ではありません。もちろん反転上昇のシナリオもあります。それは逆にここから相場が持ち直し、この24カ月移動平均線の上で推移できるかどうかにあると筆者は見ています。
筆者は株価の方向を一方に偏らせることなくつねに上下両方のシナリオを描くようにしていますが、現時点では下降シナリオが有力ではないかと感じています。株価チャートがリーマンショック前を彷彿とさせるパターンにも見えることを考えると、日経平均は今年、1万5000円割れ、時と場合によっては1万円を割り込む最悪のシナリオもありえないとは、言い切れないのです。
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