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今年、「お金」に革命的激変が起こるかもしれない…ビットコインが中国のせいで暴落中?
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13423.html
2016.01.22 文=平野敦士カール/ビジネス・ブレークスルー大学教授、ネットストラテジー代表取締役社長 Business Journal
本連載前回記事で、Finance(金融)とTechnology(技術)を融合させた造語「フィンテック」が今後、金融を激変させる可能性を説明した。今回はさらにお金の概念そのものを変えてしまったビットコインとその基盤技術であるブロックチェーンについて、わかりやすく説明したい。
ビットコインは「仮想通貨」「暗号通貨」とも呼ばれるが、正確には「通貨のような役割をもつコードによる通貨のようなもの」と呼ぶべきかもしれない。それらの基礎となる技術が、ブロックチェーンという帳簿の連鎖のようなものだ。
従来の通貨とは各国の中央銀行が発行するもので、その発行量などは中央集権的なコントロールが行われている。そして人々は通貨への信頼を置くことで転々流通していくものだ。
しかし、ビットコインはそれとはまったく異なるものだ。
そもそも、Aさんが甲銀行の自分の口座から乙銀行のBさんの口座に100万円送金するとは、どういうことだろうか。実際に甲銀行が乙銀行に現金を配達するわけではなく、甲銀行の帳簿では「Aさんの口座から100万円引かれた」と記載する一方で、乙銀行では「Bさんの口座に100万円入金された」と記載される。Aさんの口座からは手数料が引かれる。そして甲銀行と乙銀行のやり取りは、両行間のほかの取引総額ベースで差額を、日銀にある両行の口座間で差額決済される。
つまり、実際に資金移動があるかどうかではなく、甲銀行と乙銀行での記録こそが、送金されたことの証拠となるといえる。たとえば行員が「1000万円送金」と記帳データを改ざんすれば、外見上はそうなってしまうのだ。もちろん行内のチェックが厳しいので、そうした不正を簡単にすることはできない。そして、実際に銀行で不正が起きても、ほとんどのケースでは外部に知られない。なぜなら、銀行とは信用が第一の事業だからだ。
■お金=データ
以上より、お金というのは実は「データ」なのではないかと考えることができる。そして、「信頼性を保持するためには衆人の監視下に置けばよいのではないか」と考える人がいた。それがサトシ・ナカモトと名乗る人物であり、同氏の『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』と題された論文に基づき09年に運用が開始されたのが、ビットコインだ。
コインと名付けられているが、厳密には通貨ではなく通貨と同様の機能をもったコンピューター上の「コード(Code)」といえる。機能としては、通貨同様に決済や送金などに使うことができる。
通常の通貨は、中央銀行が管理している。たとえば円であれば日本銀行だ。一方、ビットコインには中央銀行のようなものは存在しない。あらゆる取引は、すべて誰でもが参加できるインターネット上の個人間やり取り(ピアツーピア・ネットワーク)で行われる。
そしてビットコインの信用は、ネットワーク参加者全体で相互監視されることで形成されている。あらゆる取引は、ブロックチェーンと呼ばれる元帳のようなものに、ネットワーク上の参加者(=ノード)に分散して記録される。過去のすべての取引が記録されるため、誰でも過去の取引を確認・検証することができる。データが分散しているために、仮に1人がネット上で攻撃を受けてデータを喪失しても安全だとされている。
■決済手段として広がるビットコイン
ビットコインの通貨単位はビットコイン(BTC)だが、最小単位は1億分の1BTCで、その単位は発案者にちなんでSatoshiと呼ばれる。ビットコインの受け渡しはウォレット(財布)ソフトウェアを使って行う。
たとえばAさんがBさんに1BTCを送金する場合を考えてみよう。まずAさんは銀行の口座番号にあたるビットコインアドレスを取得する。これは乱数であり公開鍵になっており、誰でもが見ることができる文字列だ。さらに秘密鍵を取得する。これは絶対に他人には見せてはならない文字列だ。
そのうえでBさんのアドレス宛に1BTCを送金する、という内容を公開鍵とともにマイナー(採掘者)と呼ばれるノードに送信する。マイナーは受け取った取引情報をブロックにまとめて、ブロックチェーンの末尾に記録する。ただし、新しいブロックを記録するためには10分ほどで解けるように調整される難問(計算量の大きい問題)を解く必要がある。マイナーたちはその問題を解き、最初にブロックを追加することに成功したマイナーだけが規定された報酬を得ることができる仕組みになっている。
なお、最終的に発行されるビットコインの総量は約2千万BTCに決定されており、ビットコイン生成に対して得られる報酬額は4年おきに半減する。このため単位(BTC)当たりのビットコインの価値が急騰したり、予想するマイナーによる採掘競争が過熱することもある。
ビットコインの送金手数料は銀行の送金手数料やクレジットカードの手数料より安価であること、365日24時間利用可能であること、個人情報、口座番号、カード番号などの入力も必要ないこと、カントリーリスクがないことなど大きなメリットがある。そのため、送金やECサイトの決済手段として広がりつつある。特に海外送金の制限がある国や通貨の信用度が低い国などでは、通貨の代替手段としても注目されている。
■リスクと課題
ただし、リスクもある。記憶に新しいが、当時世界最大級の取引所であった日本のマウントゴックスが14年2月、数百億円相当のビットコインが消失したと発表し破産した事件だ。真相は解明されていないものの、取引所経営者による横領という見方があり社長は逮捕された。この段階ではビットコインの仕組みそのものの安全性が棄損されたわけではなかったが、取引所における人為的な不正の可能性が明らかになった。
また、理論上は監視を行う51%(過半数)が悪意で不正取引を「適正」としてしまえば、不正も可能だ。もっとも、現実には単一の攻撃者がネットワーク全体の過半数の計算能力を保持するのは困難だと考えられていた。ビットコインはこうした多数による監視(プルーフ・オブ・ワーク)によって、その信頼性を担保していることになっていた。
しかし年が明けた今月、それが現実のものとなっていると、ビットコイン開発のコアメンバーが自身のブログで明らかにした。今月、ビットコインの開発コアメンバーだったマイク・ハーン氏が離脱した。
同氏は、自身のブログで、「マウントゴックスの不正とは次元が異なる、ブロックチェーン仕組みそのものの信頼性の破綻が起きた。ビットコインは10人以下に支配され、運営コミュニティとして破綻している。中国政府のファイヤーウォールによる遮断も一因。取引の1秒当たりの処理速度が限界になり、そのため処理されないバックログ(未処理取引)が大量に発生したことで手数料が大幅に引き上げられてしまい、クレジットカード以上に高くなってしまっている。しかし、まだ完全に破たんしたわけではない」という趣旨のコメントをし、今後どのような展開になるのか、全く読めない状況だという。
ブロックチェーンなどのビットコインの仕組みは、暗号通貨だけではなくほかにも応用できる考え方として広まりつつあり、「ビットコイン2.0」「ブロックチェーン2.0」などと呼ばれている。たとえば、契約書の自動化、個人や団体が自由に通貨発行できる仕組み、所有権のデジタル化、取引所の分散化などがある。しかし、常にそのリスクを認識する必要がありそうだ。実際儲け話として、ビットコインを騙る詐欺的な行為が頻発している。
今年以降、日本でも銀行の規制緩和によりフィンテックが一気に普及する可能性がある。利用者にとってはより安くより簡単・便利になるサービスが受けられることは大きなメリットだが、一方でセキュリティ、事業者の倒産・不正リスクから利用者をいかにして守るかも同時に検討しなければならない。
日本の金融が世界から取り残されないように、今後金融とITの両方を熟知した経営陣の存在や人材の育成がカギとなるだろう。
(文=平野敦士カール/ビジネス・ブレークスルー大学教授、ネットストラテジー代表取締役社長)
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