http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/638.html
Tweet |
東芝の事業所(「Wikipedia」より/Waka77)
東芝、危険水域に突入…深刻な財務悪化、1万人削減、さらに巨額損失の懸念も
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13401.html
2016.01.21 文=編集部 Business Journal
室町正志・東芝社長の2016年年頭挨拶は、「小さく強靭な本社を目指す」だった。社内カンパニー制に移行し、本社はグループ全体の戦略を決定するなどの機能に絞り込み、スリム化を図る。
昨年、不正会計で2248億円の利益の水増しが明らかになり、大規模リストラを断行した。16年3月期の純損益は過去最大の5500億円の赤字になる見通し。V字回復を実現するためには、各事業で売り上げや利益をしっかり確保するのはもちろんのことだが、キャッシュフローを重視し、財務基盤の整備に努めなければならない。
「新生・東芝」に向けて歩みだした同社は、新年早々から悪いニュースを受けた。不正会計不祥事について同社が損害賠償請求訴訟を起こさなかったことを理由に、個人株主が3月末までに室町氏ら役員に対し株主代表訴訟を起こすことが判明したのだ。報道によれば、請求額は総額80億円前後になる見通しで、室町氏のほか、不正会計がなされた当時の副社長や執行役上席常務も含まれるという。
この個人株主は昨年9月、現旧役員28人に総額10億円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう東芝に要求。同社は昨年11月、西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代3社長と、最高財務責任者(CFO)だった村岡富美雄氏と久保誠氏に計3億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。このとき、室町氏らは訴訟対象外とされた。
歴代3社長への損害賠償訴訟と金融庁への課徴金納付により、現経営陣は不正会計問題の幕引きを図るつもりだったが、目算が狂った。
■大リストラ
「新生・東芝として再生するには、痛みを伴うリストラをこのタイミングで断行することが必要だと判断した。来年度(17年3月期)からのV字回復が最大の責務だ」
15年12月21日に記者会見した室町氏は、徹底したリストラを断行する考えを強調した。不祥事の温床となった家電事業に大ナタを振るうことを決断。テレビ、パソコン、白物家電のライフスタイル部門は収益力の衰えが顕著だ。
パソコン事業は16年4月に分社化し、富士通、ソニーから分社したVAIOとの事業統合を進める腹づもりだ。テレビ事業は自社生産をやめ、他社の工場に委託した高価格帯のテレビ販売だけに特化する。15年3月期の世界販売台数535万台を17年3月期には国内のみの60万台と9分の1に減らす。
冷蔵庫や洗濯機の白物家電もシャープの白物家電事業と統合し、新会社に政府系ファンド、産業革新機構が出資する案が浮上している。産業革新機構は東芝の救済に動いている。
テレビとパソコンの開発拠点である東京都青梅市の青梅事業所は閉鎖、売却する。家電部門全体で6800人の人員を削減。半導体部門では白色LED事業からの撤退などで2800人を削減。本社の管理部門では全体の1割にあたる1000人を減らす。
こうした1万人規模のリストラ関連費用を盛り込むことで、16年3月期の最終損益は5500億円の赤字になる。世界的な金融危機に発展したリーマン・ショック直後の09年3月期の3988億円の赤字を上回り、赤字額は過去最大に膨らむ。
■優良資産も売却
1万人の人員削減や家電など不採算事業からの撤退で東芝は再生できるか。市場の反応は冷ややかだ。財務体質があまりにも悪化しているからだ。16年3月期連結決算の巨額赤字で自己資本は4300億円と15年3月期比で6割減少する。財務の健全性を示す自己資本比率も8%前後と、15年3月期末の17%の半分に急落。経営再建中のシャープ並みの危険水域に突入する。
リストラ原資の確保と財務改善のために、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズ(非上場)の株式を51%以上売却する。80%売るという案もある。東芝メディカルはコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)、超音波診断装置など医療用の画像診断機器を手掛け、国内シェアは首位。世界でも4位で12%のシェアを持つ。15年3月期の売上高は4056億円。企業価値は5000億円規模に達するとみられている。
この優良資産を手放さざるを得ないほど、東芝は深刻な状況に陥っているわけだ。買い手には、ライバルだった日立製作所やキヤノン、ソニー、富士フイルムホールディングス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下の英GEヘルスケア、韓国サムスングループなどの名前が挙がる。
今後は米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)を中心とする原子力などのエネルギー事業と、スマートフォン(スマホ)用フラッシュメモリなどの半導体事業に経営資源を集中する。フラッシュメモリは、繰り返しデータの書き込みができ、電源を切ってもデータが消えないことから、スマホやデジタルカメラなど身近な商品から航空機のボイスレコーダーまでさまざまな分野で活用されている。
三重県四日市の半導体工場に、米サンディスクと共同で5000億円規模の投資を行い新棟を建てるとの報道もある。17年に稼働し、NAND型フラッシュメモリの最新型を増産する。東芝は現在、「特設注意市場銘柄」に指定されており、増資や社債発行による資金調達は難しい。新棟の建設費は金融機関からの借り入れに頼らざるを得ない。
ただ、今後も半導体事業は巨額の投資が必要なため、同事業を分社化して株式を公開することも検討している。
東芝の経営においてリスクが高いとみられているのが、WHだ。これまでWHに関する数字を公表してこなかったため、「東芝のブラックホール」(市場筋)といわれてきた。WHを買収した際ののれんが3000億円以上ある。減損テストの結果によっては、巨額損失の計上を余儀なくされるかもしれない。V字回復に向けた最初のハードルが、WHの減損テストだ。
■ガバナンスの問題
東芝のガバナンス(企業統治)は、いまだに長老が支配している。室町氏を社長に登用したのは、相談役で日本郵政社長の西室泰三氏だった。西室氏は日本郵政の定例会見で、「本人(室町)は辞めると言っていたが、私が絶対に辞めないでくれと頼んだ。ひとりはリーダーシップを取る人が必要なので残ってもらった」という内幕を語った。自分が東芝のキングメーカーであることを、問わず語りで明らかにしたわけだ。
三菱ケミカルホールディングス会長(経済同友会代表幹事)の小林喜光氏、アサヒグループホールディングス相談役の池田弘一氏、資生堂相談役の前田新造氏は西室氏の財界人脈だ。「直接、口説いて社外取締役に就任してもらった」と西室氏本人が語っている。前田氏は東芝取締役会議長を務める。一相談役にすぎない西室氏が、社内でいまだに大きな影響力を持っている。
現在、社外取締役を中心に相談役制度や顧問制度の廃止を検討している。相談役には80歳未満の社長や会長の経験者が就く。1996〜2000年に社長を務めた西室氏と、00〜05年まで社長だった岡村正氏が現在、相談役になっている。西室氏は、昨年末の日本郵政の記者会見で「私の相談役の任期は(16年)6月までだが、そこまで続けることにはならない」と早期退任の意向を表明した。この発言に社外取締役は、「相談役制度の廃止を決めるのは我々だ」と強く反発している。
これまで東芝は、OBの影響力が強く派閥抗争が不正決算の背景にあると指摘されてきた。屋上屋を架する相談役の廃止で、新生・東芝をアピールする狙いがあるのだろう。
新しい出発の決意を示すためには、新たな体制にすることが不可欠だ。果たして「西室町体制」の延長線上に、新生・東芝はあるのか。
(文=編集部)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民104掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。