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安倍晋三首相
日本経済に変調?政府の「バラ色シナリオ」崩壊か…先行指標が大幅減
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13373.html
2016.01.20 文=町田徹/経済ジャーナリスト Business Journal
不思議なほど、悪いことは重なる――。
年初から2週間、世界的な株価暴落に歯止めがかからないなかで、安倍政権が強気を崩さない根拠にあげてきた順調な日本経済に気掛かりな黄色信号が灯った。
内閣府が先週木曜日(14日)に公表した機械受注統計(昨年11月分)の「船舶・電力を除く民需」が、前月比14.4%減の7738億円と3カ月ぶりのマイナスに転落したのだ。マイナス幅も、事前の市場予想(QUICKまとめ、7.8%減)を大きく上回った。
「船舶・電力を除く民需」は、企業の設備投資の先行きを占う先行指標として知られる。調査対象が主要308社で大型案件の動向次第で振幅が大きくなるとはいえ、今回のような大幅な落ち込みは、設備投資主導の景気拡大というバラ色のシナリオを描いていた政府経済見通しを狂わせる予兆と受け取れなくもない。そうなれば、好調な経済というシナリオを前提に、安倍政権が当て込んでいた税収増や財政再建路線にも支障をきたしかねない。今こそ、事態を深刻にしないための機敏な手立てが必要だ。
今回の統計によると、民需、官公需、外需、代理店の4需要者を合わせた受注総額は前月比23.2%減の2兆1456億円。このうち、外需が同25.0%減の9700億円と3カ月ぶりの大幅マイナスを記録したほか、民需が同22.3%減の9140億円と急激に落ち込んだことが、総額の大幅な減少に直結した。
民需の内訳をみると、企業の設備投資の先行きを占う「船舶・電力を除く民需」は、10月の10.7%増の反動から大きなマイナスになった面もある。しかし、業種別にみると、そうとばかりはいえないことがわかる。プラスが石油製品・石炭製品、化学工業、食品製造業など5業種にとどまったのに対し、その他輸送用機械、鉄鋼業、精密機械、一般機械、電気機械など川上産業の業種を含む10業種でマイナスとなったからだ。景気の先行きの弱さを裏付けたものと素直に受け止めたほうがよさそうだ。
ちなみに、非製造業では、卸売・小売業、通信業、情報サービス業など4業種でプラスだったものの、電力業、運輸業・郵便業、金融業・保険業、鉱業・採石・砂利採取業、農林漁業など8業種がマイナスとなっている。
■要人たちの強気発言の狙い
ここで指摘せざるを得ないのが、安倍政権が昨年暮れ(12月22日)に閣議了解した2016年度の政府経済見通しの甘さだ。政府はGDPの伸びが実質で前年度比1.7%増とかなり強気の見通しを掲げていた。これは、13年度(2.5%)以来の高い水準である。そのバラ色のシナリオを根拠に、政府は大幅な税収増が見込めるとか、財政再建路線が盤石だとしていたのだ。
気掛かりなのは、その高い成長の牽引役として政府が挙げていたのが民間企業の設備投資である点だ。政府は16年度の設備投資が前年度比で実質4.5%伸びると見込んでいた。ところが、今回の機械受注統計は、昨年晩夏の第1次チャイナ・ショックを受けて、早くも昨秋のうちに企業が設備投資の縮小に動いていたことを裏付けたのである。
さらに、年初からは、第2次チャイナ・ショックというべき異例の世界同時株安が続いている。こうした状況では、企業の投資マインドが一段と冷え込むのが普通だ。そうなれば、企業の設備投資は、経済成長の牽引役どころか一転して経済の足を大きく引っ張る原因に変容しかねない。
もともと発足以来、安倍政権は法人税減税などを呼び水にして、財界に積極投資や賃金の引き上げを再三呼びかけてきた。それにもかかわらず、企業の腰は重かった。そもそも16年度の政府経済見通しが描いたシナリオそのものが華やかすぎた面も否定できないだろう。
ところが、安倍首相や閣僚たちは異口同音に「株安は中国や中東に原因があり、日本経済は順調だ」と判で押したような発言を繰り返している。
まず、安倍首相は1月8日の衆院予算委員会で「株式市場はその国の経済の実態を表している場合もあるが、今の市場(の下落)は中国の先行きや中東情勢、あるいは北朝鮮の核実験などの要素を映した短期的なもの。短期的なものをみて、日本経済の実体に当てはめるのは間違いだ」と言い放った。
同日の記者会見では、麻生太郎財務大臣が「日本の経済のファンダメンタルズは悪いわけではない」ので、「おたおたする話ではない」と述べたほか、甘利明経済財政・再生大臣も「(日本株安は)外的要素が大きい」と首相に足並みを揃えた。そして、先週になっても、菅義偉官房長官が14日の記者会見で「日本経済は足腰がしっかりしている」と主張し続けているのだ。
要人たちの言葉には、安倍政権が今夏に参議院選を控え、あわよくば衆議院とのダブル選挙に持ち込み、両院で一気に憲法改正の発議が可能な議席を確保しようとの狙いがあるのだろう。不都合な話は認めたくないという思いを感じさせるものだ。
株安は企業の投資マインドと家計の消費マインドを冷え込ませる要因になる。グローバル化に伴い、中国や中東、米国の経済情勢が日本の外需を大きく揺り動かすリスクもある。安倍政権には、せめてそうしたリスクの存在を真摯に認めてもらいたい。そして、G7やG20を通じた国際協調策を構築するためのリーダーシップを発揮すべきだ。今年は、伊勢志摩サミットでG7首脳会議の議長国の役割もある。安倍政権の鼎(かなえ)の軽重が問われている。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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