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もはや「飢えた虎」…中国が日本の知財を爆買いし始めた 東芝の半導体にも魔の手が
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160116-00000500-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2016/1/18 10:35
「中国、終わりの始まりか」
年初からの上海株式市場の急落と人民元相場の大幅下落、そして通貨防衛の為替介入や、導入したばかりの株価急落時の緊急取引停止措置の運用中止に追い込まれた当局の慌てふためきぶりにそんな印象が強くなった。といっても経済崩壊といった類いの話ではない。政府の“過保護”“ごまかし”で不動産バブルや国有企業の非効率経営といったゆがみを覆い隠せる時代が本格的に終わるという予感だ。
人民元が世界の主要通貨に仲間入りすれば、国際金融市場と中国市場との連動性が高まっていくのは当然。米国が利上げにかじを切った中で、景気が減速し、経済に多くの構造問題を抱えたままの中国から資本が流出するのは想定されたこと。当局の介入は急場しのぎにしかならず、年初の相場の混乱を目の当たりにした習近平政権は構造改革の取り組みを加速させるかもしれない。そこで注目したいのが、人民元の下落が進む中で、近年活発化していた中国企業の対外直接投資の動き、特に産業の高度化を狙った製造業のM&A(企業の合併・買収)の戦略に変化が出てくるかだ。
昨年、一部の経済専門誌などが取り上げた半導体業界での中国企業の買収攻勢を覚えている人はいるだろうか。代表的なのは清華大学が出資する政府系の半導体大手、紫光集団によるDRAM世界3位の米マイクロン・テクノロジーに対する230億ドル(約2兆8000億円)の買収提案だ。同社はすでに米ヒューレット・パッカードの子会社H3Cテクノロジーを55億ドルで買収、半導体受託の世界大手台湾のTSMCの株式25%の取得にも乗り出しているとされる。企業買収を通じて、合法的かつ短期間に先端技術の知的財産を取り込む思惑で、董事長の趙偉国氏の知財買いあさりはハイテク業界で「飢えた虎」とも呼ばれているという。
半導体と聞いてピンとこない人も、パソコンの「インテル」といえば何となくわかるだろうか。パソコンに限らず、スマートフォンや家電、自動車、ロボットなどさまざまな機器の制御の頭脳などに使われる中枢技術が半導体だ。紫光の買収攻勢の背景には、産業の高度化で日本や韓国、軍事技術や宇宙産業で米国を追い上げることを目指す習近平政権の意向があり、紫光の攻勢に続き今月6日には、米老舗半導体メーカーのフェアチャイルド・セミコンダクターの買収をめぐり、中国の華潤集団などの投資グループの提案が優位にあることも明らかになった。ちなみにフェアチャイルドは、インテルの共同創業者のゴードン・ムーアや同社の最高経営責任者を務めたアンドルー・グローブらを輩出した名門だ。
こうした中国企業の対外直接投資は年々拡大。昨年1〜11月の中国の対外直接投資額(非金融)は前年同期比16%増の1041億3000万ドルに達し、通年では初めて受け入れ額を上回った可能性があるとされる。特に製造業は1〜11月の伸びは約95%増と著しい。これに対し米国は、政府が知財流出への警戒感を強めており、マイクロンについては当局が買収を認めない公算が大きいとされる。翻って日本はどうか。実は、中国の「飢えた虎」の触手は日本の知財にも伸びてきている。昨年、データ記憶装置大手の米ウエスタン・デジタルが発表した約190億ドルでの半導体メモリー大手、米サンディスクの買収。その裏にいるのはこれに先だって、ウエスタン・デジタル株式の約15%を取得して筆頭株主の座についた紫光だ。サンディスクの件は、米国企業同士の買収案件のため日本国内での関心は薄かったようだが、そこに落とし穴がある。
サンディスクは東芝と設備投資を折半し、二人三脚で事業を拡大してきた。スマホ用の半導体メモリーで韓国サムスン電子と世界首位を争う東芝の技術を知る立場にある会社だ。この買収が完了すれば、サンディスク→ウエスタン・デジタル→紫光という経路で、東芝の技術の一部が中国に流れる懸念が出てくるわけだ。東芝は、一時は買収に名乗りを上げていたサムスンの手にサンディスクが渡らなかったことにホッとし、相手がウエスタン・デジタルなら米国当局の目が光っているとたかをくくっているのかもしれないが、中国企業の存在を甘くみてはいないだろうか。
東芝に関しては、官民ファンドの産業革新機構の資金を活用して白物家電事業をシャープと統合する再編案が浮上している。雇用影響などを踏まえた救済案としては理解できるが、産業革新機構や機構を所管する経済産業省が成長戦略や知財流出の観点でもっと注視しなければならないのは半導体事業の方だろう。
半導体事業の競争力維持には1000億円単位の巨額投資の継続が不可欠。東芝に十分な資金力があれば、単独投資で知財防衛に万全を期すこともできるだろうが、ご存じのように、不正会計問題で青息吐息の同社にその力はない。投資資金を安定的に調達する力がなければサムスンに引き離されるが、今後も投資負担をサンディスクに頼れば、その背後にいる紫光の影響力が及ぶ可能性を排除することはできない。紫光は、産業革新機構が売却を検討している車載半導体大手のルネサスエレクトロニクスの株式取得にも関心を示しているとされる。ルネサス株の売却先にはソニーの名前があがっているが、紫光は表に立たず、ファンドなどと共同で取得に動く可能性もある。
年初からのドル高人民元安の進行は、買収額や資金繰り負担の増大となって中国企業のM&A意欲をそぐことになるかもしれないが、逆に中国政府が構造改革を急ぐことになれば、知財“爆買い”のターゲットは半導体以外の先端産業分野にも広がりかねない。狙われそうなのは、たとえばロボット産業だ。
中国紙の人民網日本語版(電子版)は、製造業の競争力強化策として中国政府がロボット技術を重視していることをたびたび取り上げている。年初の4日にも「中国のロボット産業 発展の潜在力は大きいが、重要部品を輸入に依存」と題した記事を掲載。中国政府が今後10年の製造業発展計画「メイド・イン・チャイナ2025」でロボットを重点分野に位置づけ、現在ロボット産業の第13次5カ年計画(2016〜2020)を策定中と指摘したうえで、「部品を含めたコア技術を飛躍させ、次世代ロボットの開発で主導権を握るべきだ」とする専門家の意見などを紹介している。そして中国紙に「ロボット大国」「ロボット製造強国」として名前を挙げられているのが日本だ。中国が、国産化にあたって日本の高性能部品や制御ソフトなどロボット関連技術の知財に注目しているのは明らかだ。ロボット開発でも重要な役割を果たす半導体分野の産業育成を強化していることとも相通じる。
「アベノミクス」は日本経済の稼ぐ力の向上に向けて、自動運転や医療用ロボットなど先端産業技術の実用化を後押ししているが、それらを支える基盤技術の知財流出への官民の警戒は十分だろうか。液晶やスマホのように、気がついたら韓国や中国企業の存在感が市場で大きくなっていたなんてことにはならないようにお願いしたい。(池田昇)
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