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再開発ラッシュで街並みが変わる。株式市場も大きく動き出す〔PHOTO〕gettyimages
読まないと損をする!経営者が明かす「2016年ニッポン経済」私はこう見ている 経営トップと専門家50人が注目する会社一覧付き
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47316
2016年01月18日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
不確実とリスクがばら撒かれた世界の様相は、今年も変わらず続いていく。ただし、この不透明な霧の世界に、段々と目は慣れてきた。先を読む者だけが勝つ。戸惑いと迷いの2015年から、確信と決断の2016年へ。
■ヒト、モノ、カネが動き出す
「2015年はインバウンド(訪日観光客)需要が爆発的に増加して騒がれました。そろそろ頭打ちではないかという声もありますが、私はそうは思いません。日本の経済力や人口を考慮してアジア各国と比較をすると、むしろ、インバウンド需要はまだまだ伸びシロが大きい。欧米でテロ事件が多発していることを考えると、日本の観光地としての魅力が相対的に高まるとも見られます」
日本航空元社長の西松遙氏が言う。
「さらに言えば、'15年はインバウンドに見られるように日本と外国の間を『ヒト』が数多く動いた年でしたが、一般的に『ヒト』が動いた後には『モノ』の移動がついてくる。しかも、TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意で、モノの動きがより活発になるのは目に見えている。2016年は『ヒト』と『モノ』の両方が大きく動き、日本経済の牽引力になることが期待できるわけです。
日本の観光資源のエース的存在であるディズニーランドはさらに活況を呈するでしょうから、オリエンタルランドは期待できる。モノが動けば、活躍するのは商社。中でもTPPで食糧流通が盛んになると考えると、伊藤忠商事に注目したい」
経済を人体にたとえるならば、モノとヒトの動きは血液の流れそのもの。血液が勢いよく体内を流れ始めれば、体温が上がり、活気が生まれ、経済全体にパワーがあふれ出す。
2016年の経済は明るいのか、暗いのか—。今回、そんな問いを経営トップらに投げかけると、思いのほかに、「明るい」という答えが多かった。
これまでは一部の限られた企業・業種にしか好景気の恩恵は感じられなかったが、今年は違う。日本全国でモノとヒトが慌ただしく動きだし、各地に活況の声が響きわたるというのだ。
モノもヒトも、すでに大きく動き出している。
「各地の物流施設や倉庫は高稼働状態が続いており、新しい物流施設用の用地取得競争が激化しています。物流施設の管理・開発などで業界トップのシーアールイーは、施設や倉庫の高稼働で高収益を達成。物流施設に特化したJ‐REIT(不動産投資信託)にも、続々と資金が集まっている」(スプリングキャピタル代表兼チーフ・アナリストの井上哲男氏)
「ビジネスホテル業界が空前の大活況です。都内だけではなく、福岡など地方でも、出張サラリーマンが予約が取れないと嘆くほどの満室続き。アパホテルは3万円台の室料を提示して、業界では『帝国ホテル並み』と話題になったほどです。業界最大手の東横インは『おもてなし』を超えたゆっくり落ち着ける『我が家感』が大人気で、勢いが止まらない」(ジャーナリストの塚本潔氏)
今年は日本全土で開発ラッシュも巻き起こる。これがモノとヒトの流れをより一層加速させ、景気を力強く回していく。
「いよいよ今世紀最大の大工事と言われる、リニア中央新幹線の工事が本格化します。日本列島の中心を貫く巨大工事。2027年の開業に向けて、新駅建設、トンネル、橋梁、電気工事などが続々と着工していくわけですから、波及効果は莫大です。たとえば、特種東海製紙という製紙業界の中堅企業は、一見関係ないようでリニアの恩恵を受ける。同社が静岡県内に持つ社有林の下をリニア新幹線が通る予定なので、工事用地や土砂置き場としての賃貸収入が入ってくる」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)
「象徴的な案件になりそうなのが、平和不動産が手掛ける兜町の再開発プロジェクト。証券街の兜町を再開発し、個人投資家や次世代を担う企業家なども集う新たな金融街化しようとする意欲的で画期的なものです。日本マーケットに外国人の目が向いているいま、この再開発案件が注目されることで、新規マネーの呼び水になるかもしれない。兜町復活が日本再生の起爆剤となる可能性もある」(セゾン投信社長の中野晴啓氏)
ヒトとモノにカネが加わり、これらが一体となって動き出す。そんな好循環の兆しが、もう手の届くそこまで来ているわけだ。
冷え込みばかりが強調される消費の現場でも、期待できる新しい動きが出てきた。ジャパネットたかた前社長の田明氏が言う。
「いま、アクティブシニア消費がどんどん増えているんです。日本では65歳以上の高齢者が3300万人ほどいますが、このシニアマーケットがいよいよ活況を呈してきた」
3人に一人が高齢者となる日本では、このマーケットこそが爆発力を秘めた巨大市場となる。これまでは預金をため込む傾向にあった高齢者だが、アクティブシニアがいよいよそのカネを使い出し、高齢者市場を牽引し出した。
田氏が続ける。
「アクティブシニア消費の特徴は、単に価格が安い物というのではなく、いい物が少し安くなってきた時に商品が動くということ。7万~8万円の高級炊飯器が5万円になると買われたり、現在では4Kテレビや50インチの大型テレビが手頃価格になって売れてきました。長くテレビ不況と言われていましたが、2016年はテレビ復活の年になるでしょう。
高齢者の方は、これまで若者向けと思われていたタブレット端末なども購入します。今後は新しい高齢者向け商品が続々とヒットする可能性が出てくる。注目している会社は、接客サービスから価格、配達体制も充実しているヨドバシカメラさんです」
■新しい消費市場が誕生する
高齢者だけではない。若者や中年層の間では、また別の消費の新潮流が起こっている。
「音楽業界ではCDの売り上げこそ減少しているものの、コンサートやイベントの需要が急増しています。ライブ・エンタメ市場は過去最高と言われるほど活況で、地方会場も満員になる。一方、都心部では大規模イベント施設が改修などのタイミングで、会場不足が見込まれるほどです。東京ドームが需要を取り込んで、大幅に業績を伸ばす可能性が高い」(ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)
「外食業界は価格競争と効率化ばかりを優先した企業が消費者から三行半を突きつけられ、独自の付加価値を提供できる店へお客が流れています。たとえば、クリエイト・レストランツHDの『磯丸水産』は、24時間営業の多用途飲食店という新しい業態。朝食、ランチ、夜食から、朝飲みや昼飲みなど、幅広い客層に使い勝手のいい店作りに成功している。鳥貴族は280円均一ながら、鶏肉は全品国内産というこだわりを真面目に守り、お客に信頼されている。今後はさらに、小規模型、オーナーシェフ型の店の人気が高まっていくと思います」(すかいらーく元会長の横川竟氏)
1万円近くするライブチケットが完売し、多少値段は張っても納得できるレストランから予約が埋まる—。日本の現場で起きているのは、デフレ社会からインフレ社会への大転換にほかならない。
格安競争で経済全体が縮小均衡するデフレスパイラルは終了。値段は高くても中身のいいモノへとヒトが流れていき、そのインフレ循環が経済のパイを膨らませていく景気拡大局面に入ろうとしているのである。
■中国で本当の闘いが始まる
「2016年の日本株は、夏場あたりに調整局面はあるでしょうが、年末にかけて2万2000~2万3000円を目指すと考えています」
アサヒグループHD社長の泉谷直木氏は言う。
「円安傾向は変わらないと思うので、グローバル戦略から一連の技術革新で世界的にリードしているトヨタさんには追い風でしょう。セブン&アイHDさんは、現在の商品の流れを非常にうまくとらえられていて、次の時代への転換もスピード感を持って進められている。伊藤忠さんは、中国を含めた一連のアジア戦略が功を奏してくる年になるのではないでしょうか」
今回本誌は、経営トップから専門家まで経済のプロ50名に、「2016年に注目の3社」を挙げてもらった。
共通して多く聞かれた意見は、減速しつつあるとはいえ中国経済はまだ高い成長率を維持しているので、中国を中心としたアジア需要を取り込める会社が躍進するというものである。
カルビー元社長の中田康雄氏が言う。
「日本が人口減少していく中で、莫大な人口を抱える中国や東南アジア各国の市場をどれだけ取れるかが勝負になる。日本企業はこれまで果敢に攻め、苦戦したところも多いが、ようやく果実を得る段階に入ってきたともいえる。ユニ・チャームはインドを含めたアジア市場で着々と生産体制を整えてきた。'14年9月に中国に投入した新製品『マミーポコ』がアジア市場でのさらなる普及に一役買いそうです。栗田工業は水処理関連事業の国内最大手ですが、中国の排水規制の強化が最大のチャンスとなる。アジア各国での需要爆発も期待でき、大きな成長可能性を秘めている」
中国は「世界の工場」から、「世界の消費地」へと転換している真っ最中。10億人以上の人口を抱える新市場が誕生するインパクトは巨大であり、そこに適応できるかどうかがチャイナビジネスの成否を決めるキーとなることは間違いない。
「2016年は、中国が消費大国として成長していく始まりの年となるでしょう。中国で歯ブラシなどの製品が販売好調なライオンなどは、さらなる上振れが期待できる。ファーストリテイリング、ユニ・チャーム、P&Gなど中国に強い企業と取り引きしている東レは、それらの企業の成長をそのまま享受できる」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏)
「中国を低コストの生産拠点から、高付加価値の市場としてすでに捉え直しているのがダイキン工業。『一帯一路』によって成長が促進されている内陸部への販売網を拡大しているし、上海近くの蘇州の工場で年間150万台生産する工場も本格始動させている。『日本を主、中国を従』から、『日本を従、中国を主』への経営大転換を実行しているように映る」(シグマ・キャピタルのチーフ・エコノミスト田代秀敏氏)
■これは第4次産業革命だ
中国経済と並んで、今年のポイントとなるのが製造業の大転換。日本のお家芸である製造業だが、「第4次産業革命と呼ばれるイノベーションが本格的に広がる」と、元サムスン電子常務の吉川良三氏が言う。
「いま世界の製造業の現場では、通信(ネット)技術と製造業のテクノロジーを融合させた新しい『モノづくり革命』が巻き起こっている。ドイツ主導のこの流れが全世界的に広がり、モノづくりが新しい形に革新されようとしている。日本の大手製造業も、過去の成功体験に甘んじていれば生き残れない激変の時代に突入するわけです。
モノのインターネット化(IoT)と呼ばれる分野では、コマツが先行している。建設機械に搭載したGPSやセンサから収集したビッグデータをリアルタイムで解析し、ユーザーに最適な保守サービスなどを提供している。工場自動化もますます進み、その自動化技術で使用されるセンサに強いのがオムロン。人間の目の代わりになるほど精密で、これから飛躍的に成長する可能性がある」
実は、新たなモノづくり時代に開花しそうな日本企業は多い。
「パナソニックは車載事業への事業転換に大成功しているが、これから本格化する自動運転技術への取り組みにも手を付けている。自動運転の実用化が、新たな成長ドライバーとなる」(岡山商科大学教授の長田貴仁氏)
「ビッグデータの時代に入って、システムの力が見直され始めてきた。システム開発とコンサルティングの両方を巧みに手掛ける老舗の野村総合研究所に改めて注目が集まる」(多摩大学大学院教授の徳岡晃一郎氏)
長い不況を耐え抜いた日本企業はいま、大きく羽ばたく絶好の好機を迎えようとしている。三越伊勢丹HD社長の大西洋氏は言う。
「今年は5月に伊勢志摩サミットが開催され、日本を世界に広く発信できるチャンスになります。中でも、これから10年後の日本経済を支える若い世代の元気な会社が飛躍するアニバーサリー(記念年)になるでしょう。国内外のウェディング事業から、レストラン、ホテルまで手掛けるPlan・Do・Seeは、合弁事業を一緒にやらせて頂いているが、社長のもと社員が生き生きとしている。サイバーエージェントも社内競争が厳しいが、意思決定のスピードが速く、若い人が鍛えられているなと感心する」
変化の激しい時代は、先を読み間違えれば致命傷を負う。どこが明るく照らされ、なにが暗く沈んでいくのか—。経営トップなど50人の意見をまとめた表をじっくりご覧いただければ、「この先」が見えてくる。
「週刊現代」2015年1月16日・23日合併号より
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