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フジマキ氏「TPP、農家への補填は円安誘導で」〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/485.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 15 日 07:33:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

            TPPの参加12カ国による首脳会合の冒頭、記念写真に納まる首脳ら (c)朝日新聞社


フジマキ氏「TPP、農家への補填は円安誘導で」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160115-00000001-sasahi-bus_all
週刊朝日  2016年1月22日号


 賛否両論分かれ、今なお議論される環太平洋経済連携協定(TPP)。伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、そのデメリットに対し、円安誘導で解決できると提案する。

*  *  *
 私は必ず立って講演を行う。座りながらやると、姿勢が崩れていき、とんでもない姿になるからだ。「藤巻は酔っぱらっている? そうか、酒ではなく自分の説に酔っているのか」と言われるほどだ(苦笑)。

 自分で話すときでさえそうなのだから、人の話を聞いているときの姿勢などすさまじい。貧乏ゆすりさえしてしまう。昔、スイスの大金持ちとの面談の前に、長時間待たされているうちに貧乏ゆすりを始めて部下のナカガワ君に怒られた。「大きなお金を預けてくれと、お願いするんですよ。貧乏を連想させることはやめてください!」。ん〜? スイスでも“貧乏ゆすり”というんかね?

★   ★
 今年は例年より早く1月4日から通常国会が始まった。論点の一つは昨年妥結した環太平洋経済連携協定(TPP)だろう。関連法案の審議と国会承認が必要だからだ。昨年11月11日に参議院予算委員会で閉会中審査が行われた。審議は午前8時55分から午後5時13分まで続いたが、姿勢を正し、貧乏ゆすりが出ないよう苦労した。

「なぜ譲歩した? 先方の言いなりではないか」という批判があったが、TPPは交渉事だ。相手国がある。駄々っ子のように「いやだ、いやだ」では交渉は進まない。「譲歩をしたからTPP合意は反対」は無理筋だ。追及するとしたら「その譲歩は必要だったか否か」だけだろう。

「こんな問題がある。そんな問題もある。だからTPPの合意反対」というのも疑問だ。こういう交渉事が、すべての産業・企業で有利になることなどはありえない。有利になる産業、不利になる産業がある。政府は「総合的にみて日本に有利か否か」で決断し、不利な産業・企業には何らかの補填をするのが筋だ。と、言いながらも、我々野党は「補填が過剰にならないか」を監視する義務がある。

 この日も「農業が大変だ。酪農が大変だ」のオンパレードだった。「壊滅的な被害がある」との指摘さえあった。しかし交渉を始めてから円はドルに対してかなり安くなっている。20%の関税が廃止されても円が20%安くなれば外国産の輸入価格は以前と変わらない。それなのに「関税がなくなると壊滅的な被害がある」と言われても違和感がある。為替は大きく動く。農業の浮沈は関税よりも為替の動向だと私は思っている。

 政府からは「TPPをチャンスと捉え輸出を増やそう」という積極的なアイデアも出た。いわば日本農業の販売促進案である。賛成だが、問題もある。販売促進で最も重要なのは価格だ。その価格に関する議論が全く出てこなかったのだ。1ドル=120円が1ドル=240円になれば日本産農産物は外国人にとって半分の価格となる。安全で形もいい日本産農産物は爆売れだろう。一方、輸入する外国産農産物は日本人にとって2倍の価格となる。関税などなくても日本人は国内産に回帰する。円高(=価格が高くなる)になれば、いくら体質強化をしても限界がある。米国の農業団体はすぐ「ドル安を!」とデモをして米国政府に圧力をかける。日本の農業団体からは一度も「円安を!」の主張を聞いたことがない。なぜ?? TPPに対する補填は農家へのばらまきではなく円安誘導だ。


 

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コメント
 
1. 2016年1月15日 08:38:42 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[146]
アベノミクスは「損切り」のときだ 首相は財政改革に指導力を発揮せよ
2016.1.15(金) 池田 信夫

株価が下落する中、安倍政権のスタンスが微妙に変わり始めている。(資料写真)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News〕
 東京株式市場は、年明けから大幅続落となった。1月14日の日経平均株価の終値は前日比474円安の1万7240円。昨年末から1週間余りで1割以上も下がった。もともと成長率も物価上昇率もほぼゼロになる中で株価だけが上がっていたが、これも中国株の暴落をきっかけに全世界株安になった。
 そんな中で安倍政権のスタンスが、微妙に変わり始めている。かつては「デフレ脱却で日本経済は再生する」と自信満々だった国会答弁が、最近は「デフレ脱却とは言い切れない」という後ろ向きのニュアンスになり、彼の側近であるリフレ派の本田悦朗氏(内閣官房参与)を大使に転出させる方針を決めたと伝えられる。
デフレに戻った日本経済
 日本経済は、デフレに戻りつつある。日本銀行の指標とする消費者物価指数(生鮮食品を除く)は8月から連続3カ月マイナスで、14日に発表された12月の企業物価指数は前年比3.4%の大幅マイナスだ。これは原油価格が暴落し、一時は1バレル=30ドルを切った状況が影響している。
 ただし今のところ、それほどあわてるような状況ではない。デフレ自体は悪いことではなく、エネルギー価格が下がることは望ましい。ただ株価の水準訂正は経済に影響を与えるだろう。これを証券業界で使われるバフェット指標で見てみよう。これは上場企業の時価総額を名目GDP(国内総生産)で割ったもので、1を超えるとバブルだとされる。
名目GDPと東証の時価総額(年末)、出所:東証ほか
 図のようにバフェット指標で見ると、1980年代後半は大幅なバブルだったが、その後はずっと日本株は過少評価され、小泉政権のときにやっとGDPに近い水準に回復した。その後はリーマン・ショックでまた大幅に下落したが、第2次安倍政権になった2013年からは過大評価になっている。
 図の右端は年明けの暴落をプロットしたものだが、まだGDPに比べてやや割高なので、もう少し下がるのではないか。要するにアベノミクスの「偽薬効果」が剥げ落ち、日本経済の実力に近い水準になっているだけで、それほど悲観する必要もない。
 ただ実体経済が民主党政権と変わらない中で、唯一の好材料だった株価が下がる政治的な影響は大きい。株価は内閣支持率に影響し、内閣支持率は選挙に影響するからだ。
アベノミクスの崩壊は政局に影響する
 内閣支持率なんて単なるアンケートじゃないかと思うが、政治家と話すと小数点まで知っている人が多くて驚く。これが選挙に大きく影響するからだ。
 永田町でよく知られている青木の法則という経験則がある。これは参議院の幹事長だった青木幹雄氏が発見した法則で「内閣支持率+与党支持率が50を切ると内閣は倒れる」というものだ。
 NHKの世論調査によれば、安倍内閣の支持率は46%で自民・公明の支持率の合計が41.8だから、「青木指数」は87.8と高く、2014年末の解散・総選挙のときとほぼ同じだ。
 この数字は選挙の議席数とも相関が高いので、今のままなら与党の勢力は維持できるが、内閣支持率が落ちると参議院選挙は危ない。青木指数は選挙の議席との相関が高いこともよく知られているので、安倍政権も株価には敏感だ。
 図でも分かるように民主党政権の時代には日経平均は8000円台まで落ち、青木指数も2012年末には36.1まで落ちたので、内閣が倒れるのは当然だった。その株価を一挙に引き上げたのが、アベノミクスだった。
 安倍政権が民主党政権で沈没しかけていた日本経済を元気にした偽薬効果は評価できるが、実体経済はほとんど改善していない。図でみるとその効果は2013年いっぱいで終わり、あとは円安バブルだったと思われる。
 政権が唯一の成果として誇る雇用の改善も、以前の当コラムで指摘したように雇用の「非正規化」で賃金が下がったためだ。
原発の再稼動でリーダーシップを示せ
 安倍首相も年明けからは「参院選では憲法改正を争点にする」と明言し、最近は「アベノミクス」という言葉も使わなくなった。日銀の黒田東彦総裁は依然として「2%のインフレ目標の達成」を繰り返しているが、今では首相も関心をもっていない。
 結果の出せなかったアベノミクスにこれ以上こだわっていると景気が悪化し、ダブル選挙どころか参院選も危なくなる。本田氏だけでなく、ことごとく予想を誤ってきたリフレ派を政権から追放し、「損切り」すべきだ。
 まず必要なのは、財政改革だ。国会でも野党の「安倍政権の財政再建計画は3%以上の成長を見込んだ空想的なものだ」という批判に、首相は答えられなかった。まず経済財政諮問会議を一新して御用学者を追放し、軽減税率も思い切って廃止すべきだ。
 財政再建に避けられないのは、社会保障の見直しだ。これも現在の給付水準を維持できないことは明らかであり、長期的に維持可能なシステムにする必要がある。こうした改革は成長率がマイナスになるような状態では実行できないので、GDPを高める政策も必要だ。
 その中でもっとも簡単なのは、原子力規制委員会が違法に止めている原発を正常化することだ。これは民主党政権が思いつきで止めたまま放置されているので、首相が田中委員長に「法令に従って定期検査の終わった原発は再稼動してください」といえばよい。もちろん政治的には強い反発があるだろうが、法的には何の障害もない。
 安倍首相は彼の祖父、岸信介にできなかったことをやろうという意志がうかがえる。岸は占領下で結ばれた不平等条約を改正し、60年安保で退陣したときは悪役扱いされたが、今では戦後最大の宰相の1人と評価されている。
 安保法案で示した首相の決断力はリーダーシップが感じられたが、経済政策は祖父の嫌ったポピュリズムだ。彼は国会をデモ隊が取り囲む中で「ここにいるのは国民の一部にすぎない。隣の後楽園球場は満員だ」と言い放った。
 憲法改正という念願を達成するためにも、首相はアベノミクスのようなポピュリズムとは縁を切り、祖父のような強い指導力を発揮してほしい。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45785 

 


2016年1月15日 秋山謙一郎
西成は好況、山谷は不況!?
現場取材で見えた景気の現実
今の日本の景気は良いのか悪いのか、議論が分かれている。では、日雇い労働者たちの“景況感”はどうだろうか。彼らが集まる大阪・西成と東京・山谷で現場取材を敢行。見えてきたのは意外な現実だった。(取材・文/フリージャーナリスト?秋山謙一郎)

西成の労働者に聞いた景況感
「景気、ようなった思うで」


大阪・西成区「あいりん福祉労働センター」の周辺の様子??Photo by Kenichiro Akiyama
?大阪の新名所、「あべのハルカス」から歩くこと約15分。12月末、日雇い労働者たちが集う西成区の「あいりん地区」を訪れた。地元では“センター”と呼ばれ、彼らの集会場としての役割を果たす「あいりん福祉労働センター」の周辺は、年の瀬ということもあってかごった返していた。

?その雰囲気はまるで教科書に出てくる“戦後すぐの日本”そのままだ。平成の現代にあってこの「あいりん」の一角だけ異質な空気感が漂う。10代、20代の若年層はほとんど見られない。多くは60歳以上の高齢者だ。路上に布団を敷き寝ている者、ゴミ箱を漁っている者、なかには靴代わりなのかコンビニ袋に足を突っ込みくるぶしの辺りでそれを縛って歩いている者もいる。

“センター”横の路上で布団を敷いて寝ていた労働者の一人に景況感を聞いてみた。

「景気、ようなった思うで。ここ6、7年ほど仕事の数は増えてきた気がするわ。賃金のほうはさほど増えたとは思わんけどな。仕事は確かに増えてるで」

?今年57歳になるというこの労働者は、あいりんではまだまだ“若手”に分類される年齢だという。

「数年前、東日本大震災の前がいちばんきつかったわ。それから徐々に仕事は増えてきた気がするな。去年はぎょうさん仕事もあったしな。景気は上向いているとちゃうか?」

?大阪・西成のあいりん地区に匹敵する“東”の労働者の街、東京・山谷ではどうか。労働者の生の声を聞くべく山谷へと向かった。

山谷の景況感は西成と正反対
「とても好景気とは思えねえよ」


山谷の労働者のブルーシート内の様子?Photo by Kenichiro Akiyama
?南千住駅南口から歩くこと数分、「涙目橋」を超え、「マンモス交番」と呼ばれる日本堤交番を東側に行けば、そこに労働者やホームレスが集う場として知られる公園がある。ここからは東京の新名所、「東京スカイツリー」が望める。西成から見える「あべのハルカス」を思い起こさせる。

「仕事??滅多にないね。アブレ手当*1を貰える人でも、ほとんど仕事はないと聞くよ。実際、俺たちもいつ仕事に出てもいいように準備はしているけれど声はかからないね」

?今年60歳になるというホームレスの日雇い労働者男性は語る。ホームレスといっても、その根城であるブルーシート内は自家発電機を完備。パソコンも使えばテレビも見られる。仕事先からの連絡をいつでも受けられるようにスマホも持つ。仕事道具の電動ドリル、ドライバーの整備を欠かさず作業服のアイロンも怠らない。近くの銭湯で汗も流す。

?西成では、手に職のある職工はその多くが「ドヤ」と呼ばれる木賃宿、簡易宿泊所や月額家賃3万5000円から3万9000円程度の「福祉アパート」に住む。対してここ東京・山谷では、職工でも住まいを持たない。いつでも全国の現場に赴けるよう、常日頃から身軽であるほうが都合がいいからだという。だが仕事先と連絡がつくという点においては自宅を持つ者と何ら遜色ない。西成の日雇い労働者たちと大きく異なるところだ。西成のホームレスにはスマホや携帯電話を持つ者は極めて少ない。

「雑工や土工をしている人はもっと深刻だと思うぜ。西成のほうがずっとましだと聞くよ。仕事には恵まれていると言うね」

?公園に住むホームレスの人たちは異口同音にこう語る。そこで雑工や土工と呼ばれる仕事に就く人が集まることで知られる「公共職業安定所上野玉姫労働出張所(ハローワーク)」に足を運んでみた。

「ただ寝ているだけだよ。何も仕事がない。世間では好景気というけど嘘だね。とても好景気とは思えねえよ」

?東北出身で現在62歳だという労働者は、昨今の日雇い労働者市場の冷え込みをこう嘆く。昨年11月の1ヵ月で見ると、この労働者が仕事にありついたのはわずか7日に過ぎない。その間、金があれば1泊1700円の簡易宿泊所で寝泊まりしたが、ほとんどは“アオカン”と呼ばれる野宿で過ごした。持ち物は下着と3着ある作業服、そして布団だ。もちろん、預貯金など一切ない。

*1:日雇労働被保険者手帳(通称・白手帳)を持つ労働者が、就業できなかった場合、就業できなかった日に属する月の直前2ヵ月の間、通算26日分以上の雇用保険印紙保険料の納付日数に応じて1ヵ月間に最低13日から最高17日分まで「日雇労働求職者給付金(アブレ手当)」が支給される。その額は第1級給付金7500円、第2級給付金6200円、第3級給付金4100円となっている。

日雇い労働者需要は減っている
なぜ西成は“活況”なのか


西成「あいりん福祉労働センター」周辺の様子。路上生活者達の“根城”が並ぶ?Photo by Kenichiro Akiyama
?いったい、西成と山谷のこの景況感の差は何なのだろうか。

?実のところ、労働者たちの“食い扶持”となる公共事業の数が増えているわけではない。国の公共事業関係費は、1998年の14.9兆円をピークに右肩下がりで、2014年には約6兆円にまで落ち込んだ(出所:国土交通省「公共事業関係費(政府全体)の推移」)。アベノミクスで活況のような印象もあるが、実際は事業の数はめっきり減っている。

?国土交通省、厚生労働省、大阪市など行政、日雇い労働者やホームレス支援に携わってきた関係者らは、「とても日雇い労働者の雇用が好調とは思えない」と口を揃える。地元NPO関係者は次のように語る。

「2008年のリーマンショック以降、西成の日雇い労働者需要は減少傾向にある。大阪市が行っている“特掃”と呼ばれる日給5700円の清掃作業の仕事ですらありつくのも大変だ。日雇い労働者需要を見る限り、今が活況期という認識はない」

?にもかかわらず、なぜ西成の労働者たちは「景気がいい」と考えるのか。

?大きな理由として、“賃金の水準”がありそうだ。長年、大阪市で生活保護行政に携わってきた課長代理は言う。「1990年代後半、西成では手に職のない雑工や土工と呼ばれる労働者の賃金は日給1万3000円くらいだった。だが今では朝から晩まで働いても7000円もあればいいほう。一般的な相場は5000円、安価なところだと4000円という話も聞く。最低賃金法違反の安価な賃金の仕事だが、その数は増えている。それを労働者は“活況”と錯覚しているのだろう」。

?つまり、全体としては減っているが、西成では“安い仕事”は増えているのだ。

?この大阪市課長代理は、西成・あいりん地区における労働者心理として、「給与そのものの多寡を問わない傾向にある」とする。「西成にいる労働者たちは束縛されることを極度に嫌う。安価でもその日のうちに賃金を貰い、根城に戻れればそれでよしとするところがある。彼らが重視するのは賃金の良し悪しよりもアゴ足*2がついているかどうか。これに尽きる」。

?実際、西成・あいりん地区のメインストリーム、「萩之茶屋南公園(通称・三角公園)」を根城にするホームレスで日雇い労働者の一人(63歳)はこう語る。

「安うても仕事が増えると行政の奴らから働け言われてかなわんねん。わしらにとっては景気なんて関係ないよ。今日の飯代と酒代が稼げたらそれでええんや」

?一方、東京・山谷では全く事情が異なる。

*2:アゴはかみ砕くの意味から食事、足は交通を意味する。それぞれの費用を企業や雇い主側が賄うことを指す。

山谷の賃金相場はずっと高い
ただしピンハネも横行


山谷の工員募集看板。日給の相場は西成よりずっと高い??Photo by Kenichiro Akiyama
「山谷では雑工や土工は日給1万1000円が相場だね。手に職がある俺たちは最低でも1万5000円から2万5000円くらい貰ってるよ。もちろんアゴ足付きだよ。サラリーマンの人と一緒でさ。業界長いから日給も高いんだよ。だから仕事にもありつけない。困ったもんだね」。山谷で話を聞いた労働者は語った。

?ただし、この賃金が額面通りに貰えるとは限らない。

「朝仕事に出て、夜帰してくれる仕事がなかなかない。泊まり込みでの仕事は嫌だからね……」。なぜ日帰りの仕事にこだわるのか。僻地の工事現場での住み込みでの仕事は厳しい環境下に置かれるためである。

?この労働者の話によると、数年前、日雇い労働者を募り現場まで連れて行く“手配師”と呼ばれる人材派遣業者から「日給1万5000円、衣食住も心配ない」という条件を提示されたのでこれに応募。マイクロバスに乗り故郷でもある東北地方のある現場に赴いた。だが行ってみるとまったく話は違っていた。

「確かに日給は1万5000円だった。でも寮費として3000円、食費に3000円、風呂代が2000円、洗濯・トイレットペーパー代という理由で2000円差し引かれた。手元に残るのは5000円だ。ちょっと酒を飲もうにもワンカップの酒1杯500円、缶ジュース1本300円。僻地なので輸送料がかかるからと聞いたけれど納得できなかった」

?さらにこの日給、雨などで建設、剪定などの作業が行えない場合は支払われることはない。その場合でも寮費や食費、風呂代など合計1万円は差し引かれる。

「過去、事件になったような“タコ部屋”ほどではなくても、それに近いものは山ほどある。僻地に連れて行かれても衣食住完備というわけではない。自己負担の経費を差っ引くとマイナスになることもある。それが嫌で逃げ出す者もいるくらいだ。暴力的なことはなかったし仕事が終わると山谷まで帰してくれたけど、条件は悪かったね。でも今思えばそれでも仕事があったからよかったよ。今はそんな仕事すら山谷ではないね」

?山谷の労働者は話し終えると、「もし可能ならば西成に行きたい」と語った。

「悪条件でもまだ人が集められる」
西成に流れる全国の手配師と労働者


日雇い労働者が集まる西成の某公園。労働者同士の喧嘩で警官が出動。同地では日常茶飯事?Photo by Kenichiro Akiyama
?実際に、山谷の労働者が西成に流れる動きがあるようだ。

「東京・山谷には、もう日雇い労働者そのものが少なくなっている。日雇い労働者の高齢化、労働需要の減少も相まって生活保護を受ける人が増えたためだ。そのため生活保護受給を潔しとしない人たちは大阪・西成に流れてきている。雇用があると言われているためだ」(前出の大阪市課長代理)

?山谷に限らず、全国の日雇い労働者たちが、職にありつこうと大阪・西成にやって来ていることは手配師たちも承知している。だが、その雇用条件ははっきり言って悪い。

?早朝4時頃、西成・あいりん地区の労働福祉センター近辺を歩いていると、「行かんか、行かんか。ちょっと遠いけど行かんか」と威勢よく労働者たちに声かけしている手配師の姿が目についた。どこの現場かと尋ねてみると「北海道」だった。

?今、大阪市内では、「北海道で長期間働きませんか」「地方で仕事をしませんか」といった人材派遣業者の手による看板やビラを目にする。

?早速、大阪市内でこれら看板やビラを掲げている企業いくつかに、雇用条件について問い合わせてみた。すると、その回答はおおむね次の内容に集約された。「勤務地は牧場やスキー場。作業内容は建設関連。賃金などの待遇については面談の上、詳しく説明したい」。

?うち1社に面談に訪れると、「北海道開発の建設作業員。日給1万3000円。衣食住など完備」という条件だった。それ以上の詳細は応募しなければ話せないという。この条件が必ずしも信用できないのは、先の話の通りである。

?前出の大阪市課長代理は言う。「公共事業に限らず、地方、それも僻地の建設現場では雇用条件の悪さから労働者の供給が追いついていない。そんな悪条件でも働きたい人がいる西成・あいりん地区を擁する大阪なら応募があると見越してのことではないか」。

?あいりん地区で声かけしていた手配師の話にも、それがうかがえる。「低賃金だと山谷では敬遠される。だから山谷ではもう人を募ることは難しい。しかし西成だと悪条件でも募集に応じる労働者もいる。もっとも肌感覚だが応募するのは山谷から流れて来た人が多い感じがする。生粋の西成に住む人の応募は少ないね」。

?年末年始、12月29日から1月5日まで。大阪市では無償で西成に住むホームレスや労働者を臨時宿泊所に収容している。だがここでも長年西成に住み着いている人よりも東京・山谷など全国から流れて来た人が目立つ。

超低賃金の仕事の集中が
西成の“好景気”の正体

?西成と山谷の“景況感の違い”は、つまりこういうことだ。

?先述したように、今、公共事業数は全国的に減少傾向にある。それでも日雇いの労働力は必要だ。だが高い賃金は支払えない。安価な労働力に頼らざるを得ず、結果、条件の悪い仕事が増える。

?しかし東京・山谷をはじめとする全国各地では、低賃金、長期拘束など、悪条件での募集に応じる者は少ない。こうした状況を見越して募集側もそれらの地域では、募集を控える傾向にある。

?ところが西成ならば、条件の良くない仕事でも応じる者がいる。そのため募集業者も西成に集中する。これがもともと賃金の多寡にはこだわらない西成の労働者には好景気と感じる要因だ。一方、山谷などでは、さらに仕事が減り不景気と感じる。安価でもいいのでとにかく仕事が欲しい労働者は、いきおい、西成に流れ着く。

?西成での“活況”は、超安価な賃金で働く労働者を求める業者と、それでも構わないと考える労働者の間で繰り広げられているだけに過ぎない。実際は好景気でも何でもない。

?西成、山谷の現地に足を運び見えたのは、そんな厳しい現実だった。
http://diamond.jp/articles/-/84622


 

世界のパソコン出荷台数、過去最大の落ち込み市場はいつ回復するのか?
2016.1.15(金) 小久保 重信
PCデータが「人質」に、身代金要求型のランサムウエア
仏パリで、パソコンでウェブサイトを閲覧する女性〔AFPBB News〕
?米国の市場調査会社IDCがこのほどまとめたパソコン市場に関するリポートによると、昨年(2015年)1年間における世界のパソコン出荷台数(速報値)は2億7620万台となり、前年実績から10.4%減少した。

7年ぶりに3億台下回る

?昨年は10〜12月期の出荷台数が前の四半期から若干持ち直したものの、年間全体の落ち込みは補えなかった。この10.4%という減少率は2013年の9.8%を上回っており、パソコン市場の歴史で過去最大。また年間出荷台数が3億台を下回ったのは2008年以来、7年ぶりという。

?IDCによると、パソコン市場は引き続き買い替え周期の長期化という問題に直面している。またスマートフォンとタブレット端末の市場は成長が減速しているものの、パソコンは依然これらモバイル端末との競争に直面している。

?2015年は、物価の下落と各国の通貨安がパソコン市場に大きな影響を及ぼした。またEMEA(欧州、中東、アフリカ)やアジア太平洋地域における社会混乱が、各国市場の成長を妨げたという。

?同社によると、これに加え、基本ソフト(OS)の変化も影響した。2014年は「Windows XP」のサポート終了と低価格パソコンの販売促進が重なったため買替え需要が高まったが、2015年はその反動が出た。

?さらに2015年は「Windows 10」の無料アップグレードプログラムがあり、新規パソコンの購入が抑制されたと、IDCは分析している。

上位5社、軒並み前年割れ

?別の調査会社である米ガートナーも同様のリポートを公表している。こちらによると、2015年の世界パソコン出荷台数(速報値)は2億8870万台で、前年実績に比べ8.0%減少した。これでパソコンの世界出荷台数は4年連続で前年実績を下回ったという。

?IDCはパソコンの定義に、米マイクロソフトの「Surface Pro」などのタブレットPCを含めていないが、ガートナーはこうした機器もパソコンのカテゴリーに入れている。両社の数値に違いがあるのはこうしたことが理由のようだが、いずれも見解はほぼ一致している。

?例えば、ガートナーの主席アナリスト、北川美佳子氏は、「2015年は各国の通貨安が市場環境に大きな影響を及ぼした」と指摘している。

?同氏によると、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、中南米、日本の市場で通貨安の影響があり、出荷台数はこれらの地域で2桁減少した。一方米国とアジア太平洋地域にはこうした通貨問題はなく、出荷台数はほぼ横ばい、あるいは1桁台前半の減少にとどまった。

?ガートナーによると、2015年のメーカー別出荷台数は、中国レノボ・グループ(聯想集団)が首位で、その市場シェアは19.8%だった。これに米HPが18.2%のシェアで次ぎ、このあと米デルの13.6%、台湾エイスース(華碩電脳)の7.3%、米アップルの7.2%、台湾エイサー(宏碁)の7.0%と続いている。

?これら上位6社の合計出荷台数は、世界市場全体の73.1%を占めており、この比率は前年の70.4%から拡大した。

?ただ、上位6社の中で出荷台数が伸びたのはアップルのみだった。アップルの前年に比べた出荷台数伸び率は5.8%。これに対し、レノボ、HP、デル、エイスースは、それぞれ3.1%、4.4%、3.3%、6.5%減少。またエイサーは15.3%減と、最も大きく落ち込んだ。

「2016年は回復が見込める」

?なおIDCによると、今年のパソコン市場は回復の見込みがあるという。

?同社によると、Windows 10を搭載した新たなパソコンは評判が良く、法人向けパソコンの買い替えが過去のWindows搭載パソコンよりも速いペースで進む可能性があるという。消費者向けパソコンも今年後半には安定するだろうと、IDCは見ている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45782



[32初期非表示理由]:担当:関連が薄い長文


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