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安倍首相は官邸執務室にあるボードでチェックするほど株価の動きを意識するという。年金積立金から株式に投資する枠も倍増させた(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・大島千尋)
老後の蓄えが「人質」に…アベノミクス株高の代償〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160115-00000002-sasahi-bus_all
AERA 2016年1月18日号より抜粋
アベノミクスの成果として取り上げられるのが、株価の回復だ。もちろん日本経済に望ましいことだが、差し出した「代償」をあなたが知ったら、もろ手を挙げて喜んでくれるだろうか。
「もはやデフレではない。私たちは3年間で、そういう状況をつくり出すことができました」
安倍晋三首相は1月4日の新年会見で、誇らしげに語った。これに、英フィナンシャル・タイムズ紙の外国人記者が異を唱えた。
「インフレ率は0%に近い。デフレ脱却というには、早過ぎるのではないか」
首相の答えは、戸惑い気味に聞こえた。
「私は、デフレではないという状況をつくり出すことはできた、こう申し上げておりますが、残念ながらまだ道半ばでありまして、デフレ脱却というところまで来ていないのも事実で……」
「デフレでない状況」と言いながら「道半ば」とも認める首相。言ったモノ勝ち、みたいな経済状況で、首相が頼みにするのが、株価である。
安倍氏が自民党総裁に返り咲いた2012年9月の日経平均株価は8000円台だったが、昨年4月には2万円台を回復。株高が支持率を持ち上げた、とも言われる。
記者会見が行われていたころ、東京・兜町の東京証券取引所では株価が急落していた。中国の経済不安、イランとサウジアラビアが断交した中東の政治不安を材料に、日経平均はこの日、一時639円の大幅安になったが、最終的には582円安まで戻した。
「今日も“年金”の買い支えが入ったようだ」(市場関係者)
ここで言う「年金」とは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を指す。公的年金の積立金を運用する世界最大の機関投資家だ。
国内総生産(GDP)や物価の数字をいじるのは難しいとされるが「株価はある程度なら人為的に操作できる」と市場関係者は言う。GPIFは政府の意に沿って株価維持に一役買っている、と市場では疑われている。
証券アナリストの吉見俊彦さんは「株価買い支え」に協力した経験がある。東京五輪のあった1964〜65年の「証券不況」でのことだ。「平均株価1200円防衛」というお達しを大蔵省(当時)から受け、大手証券が週単位の輪番で株を買い支えた、と振り返る。ただ、人為的な相場は長持ちせず、防衛ラインは半年で崩れ、福田赳夫蔵相が景気対策のため、戦後初の赤字国債の発行を決めるまで下げ相場は続いたという。
バブル崩壊後の92年には、簡易保険などの資金を動員する「株価PKO(プライス・キーピング・オペレーション)」と呼ばれる買い支えがあった。
「株価は経済政策の結果としてつくもので、政府の都合で押し上げるのは本末転倒。買い手のない株を買って相場をゆがめれば、結局は損をかぶることになる」と吉見さんは指摘する。
その役割を今は、GPIFが担っているのだろうか。
「年金に8兆〜10兆円規模の損失が出たらしい」
昨年11月、こんなうわさが兜町を駆け巡った。GPIFが7〜9月の運用成績を発表する直前のことだ。
6月末に2万円台をつけていた日経平均は、9月末に1万7000円台に下落した。中国の株式市場で暴落が起き、世界で株が売られた局面で、いち早く逃げようと投資家が売る株をGPIFは買っていたからだ。
結局、7〜9月は7兆8899億円の損失。年金積立金の市場運用を始めた01年度以降で最大の四半期損失だった。
東証がまとめる投資部門別株式売買状況をみると、7〜9月に株を集中的に売ったのは「海外投資家」で約4兆円の売り越し。これに対し、「信託銀行」が1兆円を買い越した。信託銀行はGPIFの窓口とされ、GPIFが世界的な株安を向こうに回して買い続けたとみられている。
7兆円超の損失といっても帳簿上のことで、赤字額が確定したわけではない。01年度以降の運用の通算成績は45兆円以上のプラスで、厚生労働省は「今回の損失でいまの年金額が減ることはない」と強調する。とはいえ、貴重な老後の蓄えが市場の動きに振り回される性格を強めたのも間違いない。
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